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パイオニア環境分析のつもり(6/13~27)任務了解。5色、お前を殺す

■はじめに

 皆さんこんばんは。「モダンホライゾン2」が各フォーマットに与えた影響はすさまじいようで、知人界隈でも「デルバーで一番弱いクリーチャーがデルバー」「先手3Tの攻防で手札が空になった」「1ターン目に2枚ハンデス」などの報告が聞かれました。

 そうしたフォーマットに比べると、パイオニアは近頃話題が少なく大会数も減り……と思っていたら、ここに来てメタゲームが動きました。本日は新たなメタゲームの主役を紹介したいと思います。

■メタゲームブレイクダウン

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 今までトップの地位を不動のものとしていた5色ニヴミゼットが急激に後退。変わってトップに躍り出たのはスピリットロータスコンボの2者です。どちらも根強い人気のあるデッキですが、ここに来て使用率増加に拍車がかかりました。

 また、グルールアグロの使用率が急激に高くなり、4位に急浮上。とはいえ採用カードや枚数がバラバラで、ひとくくりにしてはいるもののアーキタイプとしての完成度は低い状態です。これについては後ほど詳しく見ていきます。

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 ミッドレンジはかなり減少傾向。元来苦手なコンボに加え、アグロ、テンポ系のデッキが打倒ニヴミゼットとして立ちはだかった格好です。

■注目デッキ1:スピリット

KARATEDOM (1ST PLACE)
PIONEER CHALLENGE 12302290 ON 06/13/2021

 
creature (33)
4 《霊廟の放浪者/Mausoleum Wanderer》
2 《幽体の船乗り/Spectral Sailor》
2 《無私の霊魂/Selfless Spirit》
3 《鎖霊/Shacklegeist》
4 《鎖鳴らし/Rattlechains》
4 《至高の幻影/Supreme Phantom》
4 《天球の見張り/Watcher of the Spheres》
2 《スカイクレイブの亡霊/Skyclave Apparition》
4 《天穹の鷲/Empyrean Eagle》
4 《呪文捕らえ/Spell Queller》
 
instant (4)
4 《集合した中隊/Collected Company》
 
land (23)
4 《神聖なる泉/Hallowed Fountain》
4 《連門の小道/Hengegate Pathway》
3 《植物の聖域/Botanical Sanctum》
1 《繁殖池/Breeding Pool》
2 《樹皮路の小道/Barkchannel Pathway》
2 《寺院の庭/Temple Garden》
2 《枝重なる小道/Branchloft Pathway》
2 《マナの合流点/Mana Confluence》
1 《平地/Plains》
2 《島/Island》
 
sideboard (15)
3 《蔓延するもの/Permeating Mass》
2 《エメリアのアルコン/Archon of Emeria》
2 《スカイクレイブの亡霊/Skyclave Apparition》
1 《傑士の神、レーデイン/Reidane, God of the Worthy》
2 《安らかなる眠り/Rest in Peace》
2 《霊気の疾風/Aether Gust》
2 《神秘の論争/Mystical Dispute》
1 《残骸の漂着/Settle the Wreckage》

 「対アグロの後手番で弱い」という致命的な弱点を抱えており、しばらく下火となっていたスピリット系デッキですが、6/14のPioneer Challengeで優勝、その後使用率が一気に上昇しました。

 すべてのフォーマットでコンスタントに入賞を続けるMTGO界屈指の強豪、KARATEDOM氏がこの日の優勝者になりましたが、5/30のPioneer Challenge優勝のREMF氏と75枚同一のリスト、さらに言えばIvan_Draw_Go氏が1月頃から今年の1月頃から調整を重ねてつくり上げたリストになります。

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 それまでのスピリットと違い、3マナ域の《ネベルガストの伝令》《玻璃池のミミック》をカット。3マナ域を絞り、2マナ域中心の構成に修正しています。

 重視しているのは展開力。《天球の見張り》はスピリットではないですが4枚採用。2マナ域が1マナに減少するためキープ基準になります。《集合した中隊》も戦線リカバリーに寄与します。

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 運用上、土地1枚1枚が非常に重要になるため、《マナの合流点》でマナバランスにも気遣いが見られます。青18、白15、緑12のバランスで、青マナ2回以上の行動も余裕です(※小道サイクルもダブルカウントしていますので、実際の運用はタイトです)。

 やや厳しいマッチアップが多い印象ですが、今のメタゲームにおいて必ず意識すべきデッキなので、要チェックです。

■注目デッキ2:グルール

darthkid (10th place)
pioneer challenge 12305275 on 06/19/2021

 
creature (32)
4 《エルフの神秘家/Elvish Mystic》
4 《ラノワールのエルフ/Llanowar Elves》

4 《炎樹族の使者/Burning-Tree Emissary》
2 《終わりなき踊りのガリア/Gallia of the Endless Dance》
4 《砕骨の巨人/Bonecrusher Giant》
4 《ゴブリンの熟練扇動者/Goblin Rabblemaster》
4 《無謀な奇襲隊/Reckless Bushwhacker》
4 《グルールの呪文砕き/Gruul Spellbreaker》
2 《運命の神、クローティス/Klothys, God of Destiny》
 
instant (4)
4 《アタルカの命令/Atarka's Command》
 
artifact (2)
2 《エンバレスの宝剣/Embercleave》
 
land (22)
4 《踏み鳴らされる地/Stomping Ground》
4 《根縛りの岩山/Rootbound Crag》
4 《岩山被りの小道/Cragcrown Pathway》
2 《マナの合流点/Mana Confluence》
3 《山/Mountain》
5 《森/Forest》
 
sideboard (15)
1 《漁る軟泥/Scavenging Ooze》
3 《暴れ回るフェロキドン/Rampaging Ferocidon》
1 《秘密を知るもの、トスキ/Toski, Bearer of Secrets》
2 《変容するケラトプス/Shifting Ceratops》
2 《墓掘りの檻/Grafdigger's Cage》
2 《削剥/Abrade》
2 《焦熱の竜火/Scorching Dragonfire》
2 《反逆の先導者、チャンドラ/Chandra, Torch of Defiance》

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 高い順位での入賞はありませんが、ここ最近入賞数が増えてきているのがグルールアグロです。以前から細々と存在し続けるアーキタイプではありましたが、6/13、6/14のPioneer Challengeに両日とも6位入賞した頃から、少しずつ見かけるようになり、ここ数日で一気に数を増やした印象です。しかし、トップ8入賞は上記以後ありません。

 特筆すべきは、異様なほどのリストの散らかり具合です。

FINGERS1991 (6TH PLACE)
PIONEER CHALLENGE 12302286 ON 06/12/2021

 
creature (30)
3 《エルフの神秘家/Elvish Mystic》
3 《ラノワールのエルフ/Llanowar Elves》
4 《炎樹族の使者/Burning-Tree Emissary》
3 《漁る軟泥/Scavenging Ooze》
1 《僻境生まれの保護者/Wildborn Preserver》
4 《砕骨の巨人/Bonecrusher Giant》
4 《無謀な奇襲隊/Reckless Bushwhacker》
1 《不屈の神ロナス/Rhonas the Indomitable》
1 《老樹林のトロール/Old-Growth Troll》

3 《グルールの呪文砕き/Gruul Spellbreaker》
2 《運命の神、クローティス/Klothys, God of Destiny》
1 《ゴーア族の暴行者/Ghor-Clan Rampager》
 
instant (7)
3 《アタルカの命令/Atarka's Command》
4 《集合した中隊/Collected Company》
 
artifact (1)
1 《エンバレスの宝剣/Embercleave》
 
land (22)
4 《踏み鳴らされる地/Stomping Ground》
2 《根縛りの岩山/Rootbound Crag》
3 《岩山被りの小道/Cragcrown Pathway》
3 《獲物道/Game Trail》
2 《燃えがらの林間地/Cinder Glade》
3 《山/Mountain》
5 《森/Forest》
 
sideboard (15)
2 《空殴り/Skylasher》
2 《スズメバチの巣/Hornet Nest》
1 《暴れ回るフェロキドン/Rampaging Ferocidon》
1 《探索する獣/Questing Beast》
2 《乱動する渦/Roiling Vortex》
1 《自然に帰れ/Back to Nature》
2 《破壊的な享楽/Destructive Revelry》
2 《減衰球/Damping Sphere》
2 《神々の憤怒/Anger of the Gods》

MOGGED (19TH PLACE)
PIONEER CHALLENGE 12305279 ON 06/20/2021

 
planeswalker (2)
2 《ビヒモスを招く者、キオーラ/Kiora, Behemoth Beckoner》
 
creature (31)
4 《エルフの神秘家/Elvish Mystic》
4 《ラノワールのエルフ/Llanowar Elves》
4 《砕骨の巨人/Bonecrusher Giant》
4 《恋煩いの野獣/Lovestruck Beast》
1 《不屈の神ロナス/Rhonas the Indomitable》
4 《グルールの呪文砕き/Gruul Spellbreaker》
2 《運命の神、クローティス/Klothys, God of Destiny》
4 《栄光をもたらすもの/Glorybringer》
4 《黄金架のドラゴン/Goldspan Dragon》

 
sorcery (4)
2 《火口の爪/Crater's Claws》
2 《変わり樹の共生/Turntimber Symbiosis》
 
artifact (2)
2 《グレートヘンジ/The Great Henge》
 
land (21)
4 《岩山被りの小道/Cragcrown Pathway》
7 《森/Forest》
6 《山/Mountain》
4 《踏み鳴らされる地/Stomping Ground》

sideboard (14)
1 《獲物貫き、オボシュ/Obosh, the Preypiercer》
3 《ガラクの先触れ/Garruk's Harbinger》
3 《再利用の賢者/Reclamation Sage》
4 《長老ガーガロス/Elder Gargaroth》
1 《墓掘りの檻/Grafdigger's Cage》
2 《原初の力/Primal Might》
RAVENWINGS (23RD PLACE)
PIONEER CHALLENGE 12309180 ON 06/26/2021

 
planeswalker (7)
1 《野獣の擁護者、ビビアン/Vivien, Champion of the Wilds》
2 《ボーラスの壊乱者、ドムリ/Domri, Anarch of Bolas》
1 《反逆の先導者、チャンドラ/Chandra, Torch of Defiance》
2 《炎の職工、チャンドラ/Chandra, Fire Artisan》
1 《ビビアン・リード/Vivien Reid》

 
creature (25)
4 《エルフの神秘家/Elvish Mystic》
4 《ラノワールのエルフ/Llanowar Elves》
1 《漁る軟泥/Scavenging Ooze》
4 《ゴブリンの熟練扇動者/Goblin Rabblemaster》
4 《砕骨の巨人/Bonecrusher Giant》
3 《軍勢の戦親分/Legion Warboss》
3 《グルールの呪文砕き/Gruul Spellbreaker》
2 《探索する獣/Questing Beast》
 
instant (2)
2 《アタルカの命令/Atarka's Command》
 
artifact (4)
2 《エンバレスの宝剣/Embercleave》
2 《キランの真意号/Heart of Kiran》
 
land (22)
4 《踏み鳴らされる地/Stomping Ground》
4 《根縛りの岩山/Rootbound Crag》
4 《岩山被りの小道/Cragcrown Pathway》
5 《山/Mountain》
5 《森/Forest》

sideboard (15)
2 《漁る軟泥/Scavenging Ooze》
2 《変容するケラトプス/Shifting Ceratops》
2 《墓掘りの檻/Grafdigger's Cage》
2 《丸焼き/Fry》
2 《焦熱の竜火/Scorching Dragonfire》
2 《自然に帰れ/Back to Nature》
2 《減衰球/Damping Sphere》
1 《ビビアン・リード/Vivien Reid》

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 冒頭リストの「速攻型」が大半ではあるものの、3マナ域以下に寄せて《集合した中隊》を使用する「カンパニー型」、《オボシュ》を相棒に据えた「奇数型」、さらには速度を抑える代わりにPW採用によって粘り強さを加えた「中速PW型」など、様々な派生形が見られます。

 マナクリーチャー2種、《グルールの呪文砕き》《アタルカの命令》あたりはほぼ当確ながら枚数は定まらず。
 2マナ域も《終わりなき踊りのガリア》だったり《漁る軟泥》メインだったりと定まらず、フィニッシャーも《エンバレスの宝剣》だったり《無謀な奇襲隊》だったりと、固定化されていないパーツが大半です。

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 逆に言えば、それだけ選択肢が豊富であり、構築が難しいということでもあります。MTGOではコピーリストが出回る率が高いため、特定のアーキタイプは75枚一緒ということも少なくありませんが、その中にあっては異例のアーキタイプと言えるでしょう。

 採用カードによって攻撃力や防御力もまちまちで、一概にマッチアップの有利不利を語ることができませんが、速攻生物やインスタントの仕掛けが多く、ミッドレンジやコントロールには強さを発揮します。一方で、最序盤に攻め込まれると受ける手段が少なく、採用カード次第ですが、赤単系などはやや苦戦しそうです。

 総じて「未開拓」という印象が強いグルールアグロですが、出現率も上がってきているため、今後の研究が待たれるところです。
 皆さんも、ぜひ、自分なりのグルールを組んでみてください!


■終わりに

 長らく一強支配体制を敷いていた5色ニヴミゼットが使用率首位から陥落したことはかなりの衝撃でした。デッキとしても依然として強力なだけに、環境終盤に来てのメタゲーム変化は予想していませんでした。

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 ここ最近は、ヒストリックや「モダンホライゾン2」などの話題が続いていましたが、新エキスパンション「​フォーゴトン・レルム探訪」のリリースが来月に迫っています。こちらのプレビューも徐々に始まるので、実装を楽しみに待ちましょう!


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