【拙訳】「フォーゴトン・レルム探訪」ドラフトガイド by Tom Anderson(Card Kingdom)
さて、いよいよ発売間近となった「フォーゴトン・レルム探訪」。MOやMTGAでは既にリリースされていますが、皆さんプレイしていますか?
今回はCard Kingdom(https://www.cardkingdom.com/)ライター・Tom Anderson氏によるドラフトガイドの翻訳をお送りします。
前回の事前研究記事(https://note.com/tokei_mawari/n/n30a85af9a71d)とは違い、実際にプレイを積み重ねたプレイヤーの知恵が詰まっています。全体的なゲーム内容俯瞰やアーキタイプ別戦略が載っているので、是非参考にしていただければと思います。
↓前回記事はこちら↓
※今回も1万字超えのボリュームです。
※全文無料で公開していますが、作業にかなりの労力がかかっており、皆さまからの記事購入によるご支援、またはエントリ末尾からのサポートをいただけると大変励みになります。ぜひよろしくお願い申し上げます。
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ADVENTURES IN THE FORGOTTEN REALMS DRAFT GUIDE
TOM ANDERSON JULY 13, 2021 LIMITED
■はじめに
MtGプレイヤーの皆さん、遂にこの日がやってきました――発売から28年の時を経て、クリーチャー同士でパーティーを組み、ダンジョンを探査し、素晴らしい出来事を分かち合う日がやってきたのです! 「フォーゴトン・レルム探訪」のドラフトガイドをお送りしましょう!
(注釈:このセットには「パーティ」も「探査」も「出来事」もありません――しかし《ドリッズト》や《オルクス》は出てきますよ!)
リリース時期の関係で、このセットを「基本セット2022」と位置づける方もいるようですが、メカニズムや戦略は非常に特異で、初心者用セットというには無理があるでしょう。ダンジョン、ライフゲイン誘発、ダイスロール、宝物トークンなど、初見では評価しづらい戦略が求められます。ほとんどのコモンがこうした要素と密接に絡み合いシナジーを形成するので、効果を使うタイミングが非常に重要になってくるのです。
「ストリクスヘイヴン」ドラフト同様、セット全体のメカニズムやアーキタイプを表層的に理解していても、「基本的なドラフト戦略」を理解していなければ、深刻なリソース不足という避けるべき落とし穴に陥ってしまいます。
そこで今日は、ドラフトすべきカード選択とサポートの手厚い戦略を紹介するだけでなく、その戦略を強化できるよう、メタゲームの文脈まで含めてお伝えできればと思います。最初から最後まで目を通していただければ、今後、ドラフト戦略において優位に立った状態でゲームを進められますよ!
■知識確認の時間です
「フォーゴトン・レルム探訪」(以下「AFR」)のドラフトにおけるゲームは、カードパワーの高いボム、そしてマナフラッドの受け皿によって、時間経過とともにリソースを生み出すカードに支配される環境で、長期戦がメインとなります。このセットのデザインのいくつかの要素は、このようなゲームスタイルを推奨しています。
アンコモンにもいくつか似たようなスタッツのクリーチャーがいます。
そもそも、どの色にも2マナにタフネス3のコモンがしっかり存在する一方で、それと対抗しうるパワー3の2マナ域は白と赤にしかおらず、それも1体ずつだけです。全体的にクリーチャーのパワーが低くタフネスが高い傾向にあり、戦線が膠着することが往々にして起こります。
いくつかの例外はあるものの、基本的にはこうした膠着状況を打破するための除去はマナコストが高く設定されています。白と青はオーラによる疑似除去がありますが、(バウンスなどの)メインデッキに積むことができる除去で簡単に破壊されてしまいます。緑、赤、そしてとりわけ黒は、従来の除去よりも数マナ高く設定されています。そうした選択肢のほとんどがソーサリータイミングでしか繰り出せません。
戦線膠着によりライフが持ちこたえられる状況であれば、マナフラッドの受け皿が活躍するのです! 色を選ばず、またカードを使わずにアドバンテージを得る方法が用意されています。《ダンジョンの地図/Dungeon Map》《50フィートのロープ/Fifty Feet of Rope》《保有の鞄/Bag of Holding》(加えてレアの《ダンジョンの入口/Dungeon Descent》《アイ・オブ・ヴェクナ/Eye of Vecna》)といった無色のカードは、時間をかけてゲーム全体のリソースを提供してくれます。しかし、すべての色に存在する装備品や、クリーチャーを強化する「クラス」エンチャント、クリーチャー自身の持つパンプアップ能力など、プレッシャーを生み出すアグロ向けのマナのつぎ込み先もあります。AFRのデッキには必ず何らかのマナ消費先が必要で、それがなければ対戦相手に「戦線を膠着させれば何とかなる」と思わせてしまうのです。
■各色のベストコモン/アンコモン
その色のどんなデッキにもよいカードが存在し、ボムレアが使えない場合は優先して採用すべきカードです。
▼白
白のカードは防御的なデッキ(白緑や白黒)、あるいは攻撃的なデッキ(白赤)のどちらかに特化しているカードで、両方に採用できるカードはごく少数です。
《メイス+2/+2 Mace》
《ドワーフホールドの勇者/Dwarfhold Champion》
《幽閉/Minimus Containment》
《結集の策略/Rally Maneuver》
《不動のパラディン/Steadfast Paladin》
《黎明運びのクレリック/Dawnbringer Cleric》
《板金鎧/Plate Armor》
▼青
青の定番である打ち消しと飛行クリーチャーは、平時よりもかなり弱めです。特に打ち消しは、非常に特殊な構築のコントロールでしかプレイに値しないでしょう。
《大気教団の精霊/Air-Cult Elemental》
《魔法の眠り/Charmed Sleep》
《ウィザード・クラス/Wizard Class》
《ピクシーの案内人/Pixie Guide》
《魂刀のスパイ/Soulknife Spy》
《ペテン師のタリスマン/Trickster's Talisman》
《君は川にたどり着いた/You Come to a River》
▼黒
大方の予想通り、黒のリストは環境屈指の除去で埋め尽くされています。《マンティコア/Manticore》は「壁」となるブロッカーが多く、(優秀な)飛行持ちが少ないこの環境では、予想以上の活躍を見せてくれます。
《ミルクルの死の僧侶/Death-Priest of Myrkul》
《不気味な報奨/Grim Bounty》
《パワー・ワード・キル/Power Word Kill》
《ゾンビ・オーガ/Zombie Ogre》
《よろめく怪異/Shambling Ghast》
《マンティコア/Manticore》
《墓所のグール/Sepulcher Ghoul》
《ミルクルの死の僧侶》は多くの黒いクリーチャーのロードとして扱えるだけでなく、追加の軍勢も引き連れて来てくれます!
▼赤
ゴブリン関連のカードはすべて及第点の活躍を見せてくれます。特に《雄叫ぶゴブリン/Battle Cry Goblin》は軸となるカードで、これ独自の(非常に優れた)アーキタイプになります。
《雄叫ぶゴブリン/Battle Cry Goblin》
《ドラゴンの火/Dragon's Fire》
《ブーツ・オヴ・スピード/Boots of Speed》
《ゴブリンのモーニングスター/Goblin Morningstar》
《ホブゴブリンの隊長/Hobgoblin Captain》
《略取するバーバリアン/Plundering Barbarian》
《群がるゴブリン/Swarming Goblins》
▼緑
緑は最も安定した強力なコモンが揃っている反面、アンコモンがパワー不足です。しかし《君は林に差し掛かった/You Happen On a Glade》だけは例外です――使用するボムレアのための色マナを整え、再利用も可能になる強力な一枚です。
《ノールの狩人/Gnoll Hunter》
《アウルベア/Owlbear》
《ネヴァーウィンターのドライアド/Neverwinter Dryad》
《狩りの戦利品/Spoils of the Hunt》
《君は林に差し掛かった/You Happen On a Glade》
《雄牛の筋力/Bull's Strength》
《隠れ潜むローパー/Lurking Roper》
▼多色/無色
《ブルーノー・バトルハンマー/Bruenor Battlehammer》は他のアンコモンの伝説クリーチャーの中では無二の性能です。可能なら、装備品を採用するなら色をタッチしてでも採用するべきでしょう。アンコモンのアーティファクトは、マナのつぎ込み先やアドバンテージ源を必要とする低速デッキに採用することができます。
《ブルーノー・バトルハンマー/Bruenor Battlehammer》
《ダンジョンの地図/Dungeon Map》
《保有の鞄/Bag of Holding》
《とげの落とし穴/Spiked Pit Trap》
《進化する未開地/Evolving Wilds》
《ドラゴンの女王の寺院/Temple of the Dragon Queen》
■アーキタイプ別の優先カード
1パック目ピック完了、あるいは2パック目の開始あたりで、どの色の強力カードが流れてくるかが分かるようになれば、その色を含む2色のアーキタイプ中心にピックを絞り込むことができるようになります。
▼青白:ダンジョン探索型コントロール
AFRではほぼすべてのデッキにダンジョン探索のメカニズムが内包されますが、その中でも青白は、ダンジョン探索にフォーカスすれば最高の機会を与えてくれるアーキタイプです。白と黒に比べ、青のカードは確実なダンジョン探索を誘発させてくれますが、実際にダンジョンをクリアしてもボーナスを得られるカードは少なめです。この事実は、要するに、青白は《狂える魔術師の迷宮》に挑戦し、大量の財宝を獲得し、打ち消しを駆使しながら余剰マナでゆっくりと踏破していく、という戦略を目指すべきだ、ということを示しているのです。戦略に合致するレアやタッチ赤によるカード補強を行なえば、よりアグロ寄りな構築も可能です。
指標となるカード群:
《回廊のガーゴイル/Cloister Gargoyle》
《発掘者の松明/Delver's Torch》
《君は見張り中に物音を聞いた/You Hear Something on Watch》
《ゲートを塞げ/Bar the Gate》
《隠し扉/Secret Door》
《50フィートのロープ/Fifty Feet of Rope》
▼白黒:早期ダンジョン踏破
エスパー色はダンジョン探索型デッキを目指す形になりますが、白黒はアグロ系の選択肢が圧倒的に多く、ダンジョンを踏破することでボーナスを得られるカードを活用していきます。主に《ファンデルヴァーの失われた鉱山》または《魂を食らう墓》に挑むことになりますが、後者は4/4トークンをフィニッシュに使用できるだけでなく、道中でも3~5点のダメージを与えてくれます。攻撃時誘発のダンジョン探索や、攻撃時に恩恵を受けられる効果が多いので、重い除去や後半に価値が高まるカードは避け、代わりに装備品やハンデスをピックしましょう。
指標となるカード群:
《不気味な放浪者/Grim Wanderer》
《急な落下/Precipitous Drop》
《回廊のガーゴイル/Cloister Gargoyle》
《プレイナー・アライ/Planar Ally》
《盗人の道具/Thieves' Tools》
《ユアンティの毒牙刃/Yuan-Ti Fang-Blade》
▼青黒:サボタージュ能力/コントロール
タフネス5ブロッカー軍団に成す術もなく負けた私の図。
黒は白に比べ除去が多く、マナのつぎ込み先も少ないので、純粋な受け身のデッキを使うことになるでしょう。1対1交換を行うカードを優先し、相手を出し抜く方法を探していきます。各クラス・エンチャントや《ダンジョンの地図》のようなアーティファクトに寄せていくか、「戦闘ダメージを与えるたび~」の能力持ちのために除去で道を切り拓いていくか、二通りの構築方法が考えられます。(いずれのプランをとるにしても、他の色の)優良な除去が必要になりますが、黒はその手助けとなる宝物・トークンを生み出す手段に長けています。
指標となるカード群:
《ビホルダーの眼/Eyes of the Beholder》
《精神異常のソーサラー/Aberrant Mind Sorcerer》
《近道探し/Shortcut Seeker》
《君は悪党の住処を見つけた/You Find the Villains' Lair》
《突然の洞察/Sudden Insight》
《バルダーズ・ゲートのクライドル/Krydle of Baldur's Gate》
▼白赤:(装備)アグロ
白赤はこのセットでも屈指の直線形アグロで、初動の遅いデッキを問答無用で粉砕します。コモンに2種存在する2マナ3/1という秘密兵器の存在が大きいです。
事前に知っておくべき重要なポイントは、5マナ未満のコモンやアンコモンでは、それ以上の重量級カード群の防御を突破する方法はほとんどない、ということです。インスタントタイミングの装備品やコンバットトリック、除去呪文を使って吹き飛ばすしかありません。そのため、色の合わないレアよりもコモンの軽量カードを優先してピックしていきます。クリーチャーに重点を置いた構築をしたいので、残りのスロットを除去、装備品、コンバットトリックでどう埋めるかが鍵です――様々な選択肢がありますが、私は装備品を重視して構築しています(当然、《結集の策略/Rally Maneuver》の逆転を生み出すポテンシャルにも首肯します)。長いゲーム展開になっても柔軟に取り回しができ、優良なアンコモンも多い色です。
指標となるカード群:
《皮の鎧/Leather Armor》
《巧妙な鍛冶/Ingenious Smith》
《君は二匹のゴブリンを見つけた/You See a Pair of Goblins》
《レンジャーの鷹/Ranger's Hawk》
《虎飼い族の狩人/Tiger-Tribe Hunter》
《君はノールの野営地に出くわした/You Come to the Gnoll Camp》
▼白緑:ライフゲイン/ミッドレンジ
私の経験では、最も安定するデッキのひとつです。緑はプレイアブルなコモンが多く、欲しい白のカードが他のアーキタイプと競合しないためです。《月の踊り手、トレラッサーラ/Trelasarra, Moon Dancer》《天界のユニコーン/Celestial Unicorn》はピックされないことが多いので、早い手番のピックを《アウルベア/Owlbear》のような優良カードに回すことができます。《クレリック・クラス/Cleric Class》はこのデッキの見返りを大きくしてくれる原動力になりますが、早めにピックできれば、この素晴らしいアーキタイプに進む「青信号」が灯ったことになります。戦略的には、相手を圧倒できるような安全な盤面を作りだすために、最高のクリーチャーをプレイし続けて盤面を固めておきたいところです。フィニッシュ手段が不足している場合は、装備品や全体強化呪文(《君は見張り中に物音を聞いた/You Hear Something on Watch》《君たちは酒場で出会った/You Meet in a Tavern》)が役に立つはずです。
指標となるカード群:
《月の踊り手、トレラッサーラ/Trelasarra, Moon Dancer》
《クレリック・クラス/Cleric Class》
《天界のユニコーン/Celestial Unicorn》
《裕福な亭主/Prosperous Innkeeper》
《森の導き手/Sylvan Shepherd》
《古代の伝承の僧侶/Priest of Ancient Lore》
▼青緑:マナ加速/アドバンテージ
10のアーキタイプ中9つが固有の戦略を持つ中で、青緑のテーマにセット特有の真新しさはなく異質な感じを受けます。青緑は全デッキで一番の強力なトップデッキ要素を持ち、ライフ、手札、マナを潤沢に獲得できます。タフネス4以上のクリーチャーを並べ、盤面で押し込むチャンスを最大限に活用しましょう。《コンペルド・デュエル/Compelled Duel》と《雄牛の筋力/Bull's Strength》は、《狩りの戦利品/Spoils of the Hunt》のような除去が手に入らない場合に疑似除去としての役割を果たします。マナ加速の優先順位は《ネヴァーウィンターのドライアド/Neverwinter Dryad》>《ダンジョン・マップ》>宝物関連>>>その他、の順です。
指標となるカード群:
《ディスプレイサー・ビースト/Displacer Beast》
《賢い妖術師/Clever Conjurer》
《霧氷盾のフロスト・ジャイアント/Rimeshield Frost Giant》
《パーティーの分裂/Split the Party》
《グレッチェン・ティッチウィロー/Gretchen Titchwillow》
《ドルイド・クラス/Druid Class》
《アンダーダークのバジリスク/Underdark Basilisk》
▼黒緑:死亡誘発
もうひとつの緑系ミッドレンジは、質の良いクリーチャーを使用しますが、黒の(重めながら)質の高い除去を使って攻めていきます。特に、クリーチャー死亡時誘発能力持ち、そして守りに優れたクリーチャーを活用していきます。このセットは生贄効果がいつもよりも少なく(《ネヴァーウインターのドライアド》は必須です!)、小粒なクリーチャーの「チャンプアタック」に頼るところも出てきます。対戦相手はライフを削られるか、能力の誘発を引き出させてしまうかのジレンマに陥るでしょう。また、宝物・トークンや《君は林に差し掛かった》によって色のタッチが容易なため、ロングゲームも得意としています。
指標となるカード群:
《ユアンティの毒牙刃/Yuan-Ti Fang-Blade》
《鼓舞するバード/Inspiring Bard》
《毒々しいトロール/Loathsome Troll》
《ハダルの伝令/Herald of Hadar》
《命取りの論争/Deadly Dispute》
《死の囁き、シェスラ/Shessra, Death's Whisper》
▼黒赤:宝物コントロール
アーキタイプによって《雄叫ぶゴブリン》の使われ方はやや異なりますが、往々にしてベストピックになります。
このセットで最もユニークかつ斬新なリミテッド環境を提供してくれているのは、赤黒をおいてほかにないでしょう。この色の組み合わせによる《墓所のグール/Sepulcher Ghoul》《足早のローグ/Lightfoot Rogue》を生かしたアグロプランは、《ドワーフホールドの勇者》と対抗しても遜色ありません。しかしながら、他の黒いカードは防御的なスタッツの生物やリソース交換、そして重めの呪文で構成されています。この2色は宝物を中心とした特別なシナジーを持ち合わせているほか、最高クラスの除去に恵まれているため、青黒の時と同様、こうしたリアクティブな要素に目を向けるべきでしょう。テンポのよい2マナ域、重量級フィニッシャー、または非クリーチャーのアドバンテージ源など、好みのフィニッシャーを選択することができます。
指標となるカード群:
《死神のタリスマン/Reaper's Talisman》
《財宝荒らし/Hoard Robber》
《ミミック/Mimic》
《スカルポートの商人/Skullport Merchant》
《ビホルダーの眼/Eyes of the Beholder》
《ラスト・モンスター/Rust Monster》
《溜め込むオーガ/Hoarding Ogre》
▼青赤:ダイスロール/テンポ
「d20を振る」というカードの本質を見極めることが重要です。いくつかの特例は除きますが、カードを評価するにあたって、ダイスロールの結果によってカードの評価を変えることはありません。《森の導き手/Sylvan Shepherd》は常にライフゲインを誘発させてくれますし、《とげの落とし穴/Spiked Pit Trap》は常にクリーチャーにとどめをさせる、などです。重要なのはダイスロールの結果ではなく、あなたがダイスを振った行為そのものです。緑白のライフゲイン同様、青赤はダイスロール誘発を強力なテンポ・アグロの原動力に変えていきます。はっきり明言すると、できる限り早期に攻撃を開始、少しずつでもダメージを与え続け、相手のライフが尽きるまでバウンスや除去、コンバットトリック、打ち消しなどで効果的なブロックを成立させないようにするデッキのスタイルが好まれます。デッキ内の重いスペルは、除去など、すぐに盤面に影響を与えるものにしましょう。黒をタッチしてテーマに沿ったカードを入れるのもいいでしょう。《ハダルの伝令/Herald of Hadar》や《足早のローグ/Lightfoot Rogue》は継続的なダイスロールを提供してくれますし、ハンデスはこのデッキにとって素晴らしい居場所になるでしょう。
指標となるカード群:
《ジンの風予見者/Djinni Windseer》
《フェイワイルドのペテン師/Feywild Trickster》
《混沌の媒介者/Chaos Channeler》
《魂刀のスパイ/Soulknife Spy》
《バーバリアン・クラス/Barbarian Class》
《ブラス・ドラゴンのドワーフ/Brazen Dwarf》
《ファリダの火の玉/Farideh's Fireball》
▼緑赤:グルール集団戦術
(通常のセットの)緑赤のデッキは、赤の攻撃的なカードと緑の堅実なミッドレンジ用カードを組み合わせ、アグロ向けのクリーチャーを繰り出し続けるというシンプルなものです。しかしAFRにおいては、多用途なスペルと様々なサブテーマが用意されており、赤緑デッキの構築に再現性は見られません。このデッキをドラフトする上で最も重要なのは、強力なシナジーを持つラインを確立することです。緑も赤も人気の高い色であり、ただ単にピックをしていくと、ダイスロール、ゴブリン、マナ加速などが入り混じった紙束の出来上がり、となってしまいます。私の経験では、《バーバリアン・クラス/Barbarian Class》を使用するのが有力な選択肢ですが、参入動機としては《雄叫ぶゴブリン》が(どこでも使われますが)常にナンバーワンです。何においても、「どうやったら緑の大型クリーチャーにトランプルを与えられるか」が重要になります。最初から持っているのは《アウルベア》だけですからね。
指標となるカード群:
《君たちは酒場で出会った/You Meet in a Tavern》
《アイアン・ゴーレム/Iron Golem》
《エルターガルドのレンジャー/Elturgard Ranger》
《疲れ切った売剣/Jaded Sell-Sword》
《コンペルド・デュエル/Compelled Duel》
《君は呪いの彫像を見つけた/You Find a Cursed Idol》
■最後に――「宝物」という英知を生かせ
今までのセットがずっとそうだったように、AFRドラフトにおいても大部分のデッキは2色になります。しかし、このセットには「色を完全に固定する」という概念はなく、アンコモンの2種類の土地と緑のスペルによって、容易にタッチが可能です。しかし、どんなレアリティのカードであっても「繰り返し使える」「何色でも出る」カードは存在しません。逆に言えば、すべての色のほぼすべてのデッキが、宝物トークンにアクセスできる、ということでもあります。色を選ばない除去や(宝物を生み出す)独自のコモンカードはなくても、ダンジョンに潜れば2、3回目で宝物トークンにアクセスすることができます。
ここまでのリスクを冒す価値はないかもしれませんが――私は2回とも、デッキに入れた《ティアマト/Tiamat》を出すことに成功しました!
最後に、心に留めておいてほしいことがひとつ。このセットのレアと神話レアは、ごく一部の例外を除いて、強力なコモンやアンコモンを大きく上回る盤面への影響力とパワーを持っています。ドラフトで機能しないものや、そこそこのレア(《オズワルド・フィドルベンダー/Oswald Fiddlebender》《不浄なる暗黒の書/The Book of Vile Darkness》《強き者の下僕/Minion of the Mighty》《オーブ・オヴ・ドラゴンカインド/Orb of Dragonkind》および2色クラス・エンチャントの大半)はあるにせよ、《モンスター見聞家、ヴォーロ/Volo, Guide to Monsters》《ミーティア・スウォーム/Meteor Swarm》《西門の主/Westgate Regent》といったカードの衝撃の前ではすべてが霞みます。この環境の除去が取り回しづらいことも手伝って、盤面に定着してしまいがちです。宝物・トークン生成手段が豊富なため、どのデッキにおいても、色違いのボム1~3枚を繰り出すことができます。3色目を手厚くタッチする代わりに試す価値は十分にあります。
特に《群がる骸骨/Skeletal Swarming》の威力はすさまじく、(色が合わなくても)2枚の基本地形とダンジョン探索による宝物トークンを組み合わせてプレイすべきです。
さて、勇敢なる冒険者の皆さん、私が伝えるべきことはここまでです。酒場で古参に話を聞くだけではレベルは上がりませんよ。ドラフトテーブルに自ら繰り出し、フォーゴトン・レルムの探訪を楽しんでください!
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