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パイオニア環境分析のつもり(11/5~11/15)新アイディアが続々登場

■はじめに

 こんばんは。先週は翻訳やカードリストの作成に作業時間をとられ、パイオニアのまとめや、カラデシュリマスターのリミテッドをやる暇もなく週を終えてしまいました。皆さん、MtGを楽しんでますか?

 というわけで10日ぶりのパイオニア環境分析ですが、先々週と先週末のChallenge/Champ Qualの結果も出ていますので、統計を取ってみました。アーキタイプ内の細やかな採用カード変更や、新しいアイデアも続々登場、コンボ粛清後の健全なメタゲーム推移が見られます。個人的には遊ぶなら今!というタイミングだと感じています。

 以下早速いつもの統計です。

▼Pioneer Preliminary 11/06

5-0
Niv-to-Light
Mono-B Vampire
 
4-1
Sultai Delirium
Boros Aggro
Boros Aggro
Naya Winota
Mono-B Vampire
Rakdos Arcanist
 
3-2
Mono-G Devotion
Niv-to-Light
Boros Aggro
Sultai Delirium
Mono-B Aggro
Boros Aggro
Rakdos Arcanist
Sultai Delirium
Mono-B Aggro
Mono-G Devotion
Lotus Combo
Sultai Reclamation
Sultai Reclamation
Grixis Control
Mono-B Aggro


▼Pioneer Challenge 11/07

7-X
Mono-G Devotion
 
6-X
Niv-to-Light
Sultai Reclamation
Orzhov Aura
Niv-to-Light
 
5-X
Spirit
Boros Aggro
Gruul Aggro
Boros Aggro
Gruul Aggro
Grixis Control
Niv-to-Light
Rakdos Arcanist
Sultai Reclamation
Rakdos Arcanist
Mono-B Vampire
 
4-X(上位)
Orzhov Aura
Jeskai Fires
Boros Aggro
Boros Aggro
Gruul Aggro
Boros Aggro
Mono-B Aggro
The Spy
Lotus Combo
Orzhov Aura
Mono-G Devotion
Mono-G Devotion
Seleznya Aura
Spirit
Temur Aggro
Izzet Prowess


▼Pioneer Challenge 11/08

7-X
Jeskai Fires(優勝)
Mono-G Devotion
Boros Aggro
Boros Aggro
Jeskai Fires
 
6-X
Sultai Delirium(TOP8)
Orzhov Aura(TOP8)
Boros Aggro(TOP8)
Rakdos Arcanist
Mono-B Aggro
Mono-B Vampire
The Spy
Mono-B Vampire
Orzhov Aura
Mono-B Vampire
Temur Reclamation
Mono-G Devotion
Orzhov Aura
Niv-to-Light
Mono-G Devotion
 
5-X(上位)
Seleznya Aura
Boros Aggro
Mono-B Vampire
Sultai Reclamation
Orzhov Aura
Lotus Combo
Mono-G Devotion
Boros Aggro
Boros Aggro
Sultai Reclamation
Mono-G Devotion
Mono-B Aggro


▼Pioneer Preliminary 11/09

5-0
Niv-to-Light
 
4-1
Naya Winota
4C Omnath
Jeskai Fires
 
3-2
Gruul Aggro
Mono-G Devotion
Boros Aggro
Esper Yorion
Mono-G Devotion
Jeskai Fires
Mono-U Devotion
Rakdos Arcanist
Esper Yorion


▼Pioneer Preliminary 11/10

5-0
Niv-to-Light
 
4-1
Temur Reclamation
Sultai Reclamation
Sultai Reclamation
 
3-2
Jeskai Fires
Jeskai Fires
Niv-to-Light
Sacrifice
Mono-B Vampire
Jeskai Fires


▼Pioneer Preliminary 11/11

5-0
Sultai Reclamation
 
4-1
Jeskai Fires
Sultai Reclamation
Mono-G Devotion
Jeskai Fires
Naya Winota
 
3-2
4C Omnath
Sultai Delirium
4C Omnath
Niv-to-Light
Mono-B Vampire
Sultai Reclamation
Mono-B Vampire
Boros Aggro
Niv-to-Light
Niv-to-Light


▼Pioneer Preliminary 11/13

5-0
Sultai Reclamation
Niv-to-Light
 
4-1
Boros Aggro
Boros Aggro
Sultai Reclamation
Boros Aggro
Boros Aggro
Boros Aggro
Boros Aggro
 
3-2
Orzhov Aura
Sultai Reclamation
Naya Winota
Azorius Control
Jeskai Fires
Boros Aggro
Temur Reclamation
Jeskai Fires
Niv-to-Light
Boros Aggro
Boros Aggro
Naya Winota
Sultai Reclamation
Jeskai Fires


▼Pioneer Challenge 11/14

6-X
Lotus Combo
Sultai Reclamation
Orzhov Aura
Orzhov Aura
Jeskai Fires
 
5-X
Mono-G Devotion
The Spy
Sultai Reclamation
Boros Aggro
Jeskai Fires
Jeskai Fires
Mono-G Devotion
Jeskai Fires
Orzhov Vampire
Mono-U Devotion
Gruul Aggro
Boros Aggro
 
4-X(上位)
Boros Aggro
Mono-G Devotion
Lotus Combo
Boros Aggro
Orzhov Aura
4C Omnath
Boros Aggro
Sultai Delirium
Niv-to-Light
Esper Yorion
Boros Aggro
Niv-to-Light
Orzhov Aura
Sultai Reclamation
Boros Aggro


▼Pioneer Champ Qual 11/15

8-X
Boros Aggro
Boros Aggro
Sultai Reclamation
Jeskai Fires
Niv-to-Light
Temur Reclamation
Niv-to-Light
 
7-X
Jeskai Fires
Sultai Reclamation
Jeskai Fires
Possibility Combo
Orzhov Aura
The Spy
Mono-G Devotion
Jeskai Fires
Mono-B Aggro
Boros Aggro
Gruul Aggro
Esper Yorion
Mono-G Devotion
Lotus Combo
Orzhov Aura
Sultai Reclamation
Esper Yorion
Niv-to-Light
Mono-B Aggro
Boros Aggro
 
6-X(上位)
Orzhov Human
Orzhov Aura
Mono-G Devotion
Mono-B Aggro
Azorius Control

■メタゲームブレイクダウン

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 前回と変わらずボロスアグロが使用率首位をキープ、支配率は17%強まで上昇しています。もともとMTGOに限らずオンラインの大会全般は赤単系が(参加時間や操作の関係で)使われやすい傾向があるため、テーブルトップの傾向とはやや異なりますが、アグロながら対応力の高い優れたデッキという見方ができそうです。
 前回紹介した《乱動する渦》というブレイクスルーの登場が、活躍に拍車をかけている印象です。

 2位は前回同様スゥルタイ再生ですが、ボロスアグロの隆盛を受けて採用カードに変化が見られます。《血の長の渇き》など軽量除去を意識的に組み込んでいたり、他除去や時間稼ぎの方法を盛り込んでいる例が多くあります。それだけ《乱動する渦》はきつい、ということなのかもしれません。

 そして、同率2位にジェスカイルーカが急上昇。白が入ることで《メレティス誕生》や《岩への繋ぎ止め》などのアグロに強いオプションがふんだんに盛り込まれ、アグロへの耐性をもともと備えています。加えてミッドレンジには《裏切りの工作員》が刺さり、5色ニヴミゼットやスゥルタイ昂揚などに強く出られるため、コンボ以外のデッキが得意なことが影響したようです。

 メタゲーム全体を見れば全般的にアグロが優勢、反面、スピード勝負に弱いコンボはやや勢いを落としています。とはいえ5色ニヴミゼットや緑単信心のようなミッドレンジ、オルゾフオーラや黒単のような非赤アグロも元気で、非常に均衡のとれたメタゲームを形成しています。

■注目デッキ1:ロータスコンボ

BRYANT_COOK (1ST PLACE)
PIONEER CHALLENGE 12228507 ON 11/14/2020
 
creature (14)
4《樹上の草食獣/Arboreal Grazer》
3《遵法長、バラル/Baral, Chief of Compliance》
3《願いのフェイ/Fae of Wishes》
4《砂時計の侍臣/Vizier of Tumbling Sands》
 
sorcery (21)
4《バーラ・ゲドの復活/Bala Ged Recovery》
4《見えざる糸/Hidden Strings》
1《首謀者の収得/Mastermind's Acquisition》
4《熟読/Pore Over the Pages》
4《巧みな軍略/Strategic Planning》
4《森の占術/Sylvan Scrying》
 
instant (4)
4《時を越えた探索/Dig Through Time》
 
land (21)
1《爆発域/Blast Zone》
4《植物の聖域/Botanical Sanctum》
4《睡蓮の原野/Lotus Field》
4《神秘の神殿/Temple of Mystery》
4《演劇の舞台/Thespian's Stage》
4《ヤヴィマヤの沿岸/Yavimaya Coast》
 
sideboard (15)
1《高山の月/Alpine Moon》
1《神々の憤怒/Anger of the Gods》
1《副陽の接近/Approach of the Second Sun》
2《パルン、ニヴ=ミゼット/Niv-Mizzet, Parun》
1《全知/Omniscience》
1《深淵への覗き込み/Peer into the Abyss》
2《変容するケラトプス/Shifting Ceratops》
1《思考のひずみ/Thought Distortion》
1《トーモッドの墓所/Tormod's Crypt》
1《精霊龍、ウギン/Ugin, the Spirit Dragon》
1《虚空の罠/Void Snare》
2《萎れ/Wilt》


 細々と環境を生き残るロータスコンボ。テーブルトップでも、晴れる屋の「パイオニア王2020秋」を優勝したデッキとして結果を残し、あらためて注目を集めています。

 《死の国からの脱出》を失ってからは《成就》からの《全知》設置で勝つパターンが主流です。メインに《深淵への覗き込み》を採用するパターンが多いですが、このデッキはそれをやめて、ある1枚を採用しています。《遵法長、バラル》です。

画像3

 このカードによってドローソースのマナを軽減、以前のようなチェインコンボに近い動きを実現しています。下の能力はこのデッキで活かす場面がないため、ほぼ《ゴブリンの電術師》と同じ働きですが、(1)(U)という出しやすさが買われている他、1/3というスペックにより黒単や赤単のパワー2を受け止める役目も果たしています。

 マナコスト軽減効果によって、《バーラ・ゲトの復活》なども一気に使いやすくなります。《全知》設置後は(1)《パルン、ニヴ=ミゼット》+《深淵の覗き込み》による致死ダメージコンボ、(2)《副陽の接近》+ドローソースによる特殊勝利、の2つの勝ち筋があります。

 パイオニア王の石渡さんのように対ボロスに《九つの命》を仕込むなど、様々な可能性があるロータスコンボ。使いこなすには習熟度が問われますが、ぜひ一度手に取ってみていただければ。病みつきになること間違いなしです!

■注目デッキ2:オルゾフ吸血鬼

AARDOS (14TH PLACE)
PIONEER CHALLENGE 12228507 ON 11/14/2020
 
planeswalker (4)
4《傲慢な血王、ソリン/Sorin, Imperious Bloodlord》
 
creature (22)
2《ヴィズコーパの血男爵/Blood Baron of Vizkopa》
4《薄暮の勇者/Champion of Dusk》
3《薄暮軍団の盲信者/Dusk Legion Zealot》
4《才気ある霊基体/Gifted Aetherborn》
2《ゲトの裏切り者、カリタス/Kalitas, Traitor of Ghet》
4《漆黒軍の騎士/Knight of the Ebon Legion》
3《残忍な騎士/Murderous Rider》
 
sorcery (6)
1《アガディームの覚醒/Agadeem's Awakening》
1《血の長の渇き/Bloodchief's Thirst》
4《思考囲い/Thoughtseize》
 
instant (4)
4《致命的な一押し/Fatal Push》
 
land (24)
4《陽光昇りの小道/Brightclimb Pathway》
3《ロークスワイン城/Castle Locthwain》
2《神無き祭殿/Godless Shrine》
2《孤立した礼拝堂/Isolated Chapel》
4《変わり谷/Mutavault》
8《沼/Swamp》
1《ヨーグモスの墳墓、アーボーグ/Urborg, Tomb of Yawgmoth》
 
sideboard (15)
3《血の長の渇き/Bloodchief's Thirst》
2《苦悶の悔恨/Agonizing Remorse》
1《無情な行動/Heartless Act》
1《軍団の最期/Legion's End》
1《死者を目覚めさせる者、リリアナ/Liliana, Waker of the Dead》
3《屍呆症/Necromentia》
2《悪ふざけの名人、ランクル/Rankle, Master of Pranks》
2《安らかなる眠り/Rest in Peace》

画像4

 今回躍進が目立ったのは黒単吸血鬼。対ボロス相手にはライフゲインが有効です。《傲慢な血王、ソリン》の+1能力や《才気ある霊基体》《残忍な騎士》《ゲトの裏切り者、カリタス》といったライフゲイン要素が多い黒単吸血鬼は、まさに対ボロスアグロの急先鋒です。最近は黒単吸血鬼に《忘却の虚僧》が採用されているケースも多く、ライフゲインが意識されています。
 ボロスアグロは対戦相手がアグロの場合《乱動する渦》をサイドインしづらいため、こうした「ライフゲイン手段のあるアグロ」は有効なデッキのひとつです。

 このリストではさらに、白をタッチして《ヴィスコーパの血男爵》を採用しています。環境の5割以上が黒または白の除去を使用してくるため、プロテクションは刺さること必至。絆魂でのライフ獲得能力を合わせれば、対アグロへの安定感は非常に高くなります。

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 白いカードは《血男爵》、そしてサイドボードの《安らかなる眠り》のみ。《安らかなる眠り》は、黒単では《虚空の力戦》だった枠ですが、こちらのほうが安定感が高く、レガシーのドレッジのような1ターンキルもほとんどないため、取り回しの良いこちらのほうが勝るでしょう。

 こうした黒タッチ白(あるいは白タッチ黒)は《陽光昇りの小道》の登場で一気に安定感が増しました。サイドボード後の戦略幅を広げるため、単色のタッチも検討していくべきかもしれませんね。

■注目デッキ3:赤緑《硬化する鱗》

XFILE (16TH PLACE)
PIONEER CHALLENGE 12228507 ON 11/14/2020
 
creature (31)
4《実験体/Experiment One》
4《群れのシャンブラー/Swarm Shambler》
1《生皮収集家/Pelt Collector》
4《炎樹族の使者/Burning-Tree Emissary》
4《ザル=ターのゴブリン/Zhur-Taa Goblin》
2《漁る軟泥/Scavenging Ooze》
4《グルールの呪文砕き/Gruul Spellbreaker》
2《探索する獣/Questing Beast》
4《石とぐろの海蛇/Stonecoil Serpent》
2《霧裂きのハイドラ/Mistcutter Hydra》
 
sorcery (1)
1《原初の力/Primal Might》
 
artifact (3)
3《オゾリス/The Ozolith》
 
enchantment (4)
4《硬化した鱗/Hardened Scales》
 
land (21)
4《岩山被りの小道/Cragcrown Pathway》
4《根縛りの岩山/Rootbound Crag》
4《踏み鳴らされる地/Stomping Ground》
9《森/Forest》
 
sideboard (15)
2《漁る軟泥/Scavenging Ooze》
2《霧裂きのハイドラ/Mistcutter Hydra》
2《乱動する渦/Roiling Vortex》
1《魂標ランタン/Soul-Guide Lantern》
4《自然に帰れ/Back to Nature》
1《ドムリの待ち伏せ/Domri's Ambush》
3《減衰球/Damping Sphere》

 《硬化する鱗》といえば《巻きつき蛇》、あるいは《議事会の導師》を併用する「8scales」がメインでしたが、このデッキはグルールカラーでまとめています。《硬化する鱗》に類するパーツは不採用。全体的に軽く、軽快な攻めが特徴のデッキになっています。

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 そうしたカードの代わりに、このデッキでは+1/+1カウンターを有効に活用できる《オゾリス》を採用。トランプルなど回避能力持ちが多いこのデッキなら、膨れ上がらせたカウンターで一撃必殺級の打撃を叩きこむことも可能です。移し替えの際にほぼ安全な運用ができる《グルールの呪文砕き》は良い相方となります。

 また、《炎樹族の使者》を使った面展開でスピードアップを図っています。《硬化した鱗》に頼らずとも面で押すという戦略が一貫していて、《群れのシャンブラー》によるトークンも立派な戦力です。火種部分が1マナで済み、速攻を持っている《霧裂きのハイドラ》が《大食のハイドラ》よりも優先されている点も、デッキの一貫性を感じる選択です。

画像7

 サイドボードもテンポ重視、《乱動する渦》《自然に帰れ》など2マナ以下で構成されています。各種対策もテンポを阻害せずに行いたい、というデザイナーの意思はここにも感じ取れます。

■終わりに

 ボロスアグロは未だにメタゲームの1/6を占めているものの、直線的なデッキのため対策を講じやすく、各デッキが対ボロスを意識しています。大会に出る際もボロス対策、もっといえば「《乱動する渦》を乗り越えられる対策」を講じておくべきでしょう。どんなデッキと当たるか分からないワクワク感はモダンやレガシーに近いものを感じます。

 MTGAにおいてもカラデシュリマスターが実装になり、よりパイオニアに近づいた感があります。こちらの実装も待たれますが、まだまだ実装しなければならないカードが多いため、気長に待ちましょう。

無題

(そういえば、「MTGAがモバイル対応」と発表していましたが、今どうなっているんでしょう……? こちらも座して待ちましょう。)


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