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パイオニア環境分析のつもり(12/19~1/4)ティムールとスゥルタイ、どっちがお好み?

■はじめに

 明けましておめでとうございます。本年も当noteをよろしくお願い申し上げます。
 昨年の振り返りは下記のエントリに譲ります。今年も最新の情報を皆さんにお届けできればと思います。

 さて、年末年始のパイオニアの状況をデータ化しましたので、いつものメタゲームブレイクダウン、そして注目デッキを紹介していきます。

 いつもよりお届けが遅くなってすみません。昨年内に記事をお送りする予定が、入力中のデータベースが一部吹っ飛び、復旧作業に追われていました。トホホ……。
 皆さまからのサポートをお待ちしております。ご協力、ないし同情、あるいは憐れんで頂ける方は、ぜひ文末のボタンよりご支援をお願いいたします。

■メタゲームブレイクダウン

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 上記データベース復旧に伴い期間が空いてしまったため、今回はPioneer Challengeのデータのみ抜粋し集計を行いました。

 《荒野の再生》デッキが全体の20.4%を占める結果となり、Tier1に返り咲きました。が、スゥルタイとティムールで使用率が真っ二つに分かれています。スゥルタイは以前のリストから緩やかな変化(《影の評決》採用が増えました)で使用率も緩やかに増えている程度ですが、ここ2~3週間でティムール再生が極端に増えています。後でデッキリストを詳しく見ていきます。

 他、安定した使用率・勝率の4色オムナス、オルゾフオーラが続き、この4デッキで全体使用率の40%を叩き出しています。しかし今回は「その他」(具体的には使用者数3名以下)が10%強と、ローグデッキにもチャンスがある環境です。トップメタがミッドレンジ、アグロ、コントロールと散らばっているため、得手、不得手が如実に出る環境になっています。

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 デッキタイプ別分布では、ミッドレンジが減少、コンボとアグロが増えています。

 ミッドレンジはパイオニアの横綱・5色ニヴミゼットが大きく減少したことが響いています(3週間で4リストの入賞のみ)。これは4色オムナスが《発生の根本原理》を手に入れたため、アドバンテージ勝負に持ち込めず、盤面干渉も追いつかず、不利な相手となるためです。

 コンボ、またクリーチャー中心のデッキが増えているため、アゾリウスコントロールのような打ち消しを多用するデッキも徐々に増えています。赤単やボロスといったライフを攻める方法に長けるデッキが多いため、早期にライフ回復の盤面を作りだせるオルゾフオーラがアグロ急先鋒に名乗りを上げました。除去をかいくぐりやすいのも魅力ですが、コントロールやミッドレンジ側も《影の評決》で対策しています。

 総じて、《影の評決》が間に合うかどうか、あるいは打たれる前に倒せるかどうか、が現在のパイオニアの争点のひとつです。


■注目デッキ1:ティムール《荒野の再生》

SHADOWZ2005 (1ST PLACE)
PIONEER CHALLENGE 12242619 ON 12/26/2020

 
creature (3)
3 《自然の怒りのタイタン、ウーロ/Uro, Titan of Nature's Wrath》
 
sorcery (3)
3 《神々の憤怒/Anger of the Gods》
 
instant (18)
4 《検閲/Censor》
1 《サイクロンの裂け目/Cyclonic Rift》
4 《発展/Expansion》 // 《発破/Explosion》
4 《成長のらせん/Growth Spiral》
4 《神秘の論争/Mystical Dispute》
1 《否認/Negate》
 
enchantment (8)
4 《サメ台風/Shark Typhoon》
4 《荒野の再生/Wilderness Reclamation》

 
land (28)
2 《爆発域/Blast Zone》
4 《繁殖池/Breeding Pool》
3 《ヴァントレス城/Castle Vantress》
3 《寓話の小道/Fabled Passage》
1 《森/Forest》
1 《内陸の湾港/Hinterland Harbor》
2 《島/Island》
4 《ケトリアのトライオーム/Ketria Triome》
1 《山/Mountain》
1 《根縛りの岩山/Rootbound Crag》
4 《蒸気孔/Steam Vents》
1 《踏み鳴らされる地/Stomping Ground》
1 《硫黄の滝/Sulfur Falls》
 
sideboard (15)
1 《長老ガーガロス/Elder Gargaroth》
1 《パルン、ニヴ=ミゼット/Niv-Mizzet, Parun》
4 《霊気の疾風/Aether Gust》
2 《否認/Negate》
1 《サイクロンの裂け目/Cyclonic Rift》
1 《丸焼き/Fry》
3 《焦熱の竜火/Scorching Dragonfire》

2 《覆いを割く者、ナーセット/Narset, Parter of Veils》

 今回大躍進を果たしたティムール再生です。特に、12/26のPioneer Challenge決勝戦は、75枚同じデッキのミラーマッチでした。

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 従来のスタンダードから基本的な動きは変わらず、《成長のらせん》《ウーロ》パッケージから早々に《荒野の再生》を置き、大量のマナから《発展//発破》で大量ドロー、最終的には《発展//発破》で一気にライフを削り切るか、《サメ台風》のトークンでフィニッシュします。
 ハンデスからリソース勝負に持ち込まれても《ウーロ》という追加の勝ち筋があり、すべての勝ち手段を捌き切るのは困難です。

 従来は妨害要素よりもドローを進める手段を多く採用していましたが、上記のリストでは《検閲》《神秘の論争》をフル採用、《再生》設置やフィニッシャーを無理やり通しに行くようにしています。

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 スゥルタイ再生がコントロール的な立ち位置のデッキになっているのに対し、ティムール再生はコンボのような動きを見せます。妨害要素こそあるものの、基本は《再生》設置からのビッグマナを目指します。

 勝ち手段の多さからミッドレンジやコントロールに対して強く出られますが、相手クリーチャーへの干渉手段を《神々の憤怒》に頼っている部分があり、アグロに対して若干の不安を抱えています。

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 サイドボードの《焦熱の竜火》は信頼性の高い除去で、《神々の憤怒》で打ち漏らしたクリーチャーを後腐れなく除去できます。また、サイドボードの《パルン・二ヴ=ミゼット》もティムールならではの必殺技。同型や対コントロールでは無類の強さを発揮します。

 使用率は一時期高かったものの、年明け後はやや落ち着いています。《荒野の再生》フリークはスゥルタイと使用感を比べながら、好きな方を極めていきましょう!


■注目デッキ2:緑単アグロ

 
NOIX11 (24TH PLACE)
PIONEER CHALLENGE 12240499 ON 12/19/2020

 
creature (31)
4 《エルフの神秘家/Elvish Mystic》
4 《ラノワールのエルフ/Llanowar Elves》

2 《毅然さの化身/Avatar of the Resolute》
4 《炎樹族の使者/Burning-Tree Emissary》
2 《漁る軟泥/Scavenging Ooze》
3 《ガラクの先触れ/Garruk's Harbinger》

3 《恋煩いの野獣/Lovestruck Beast》
2 《不屈の神ロナス/Rhonas the Indomitable》
4 《鉄葉のチャンピオン/Steel Leaf Champion》
3 《ギャレンブリグの領主、ヨルヴォ/Yorvo, Lord of Garenbrig》
 
instant (8)
4 《ハイドラの血/Aspect of Hydra》
4 《集合した中隊/Collected Company》

 
artifact (1)
1 《影槍/Shadowspear》
 
land (20)
14 《森/Forest》
4 《ハシェプのオアシス/Hashep Oasis》
2 《ニクスの祭殿、ニクソス/Nykthos, Shrine to Nyx》
 
sideboard (15)
2 《漁る軟泥/Scavenging Ooze》
2 《空殴り/Skylasher》
3 《自然に帰れ/Back to Nature》
2 《変容するケラトプス/Shifting Ceratops》

3 《魂標ランタン/Soul-Guide Lantern》
2 《原初の力/Primal Might》
1 《ビビアン・リード/Vivien Reid》
DMLK (26TH PLACE)
PIONEER CHALLENGE 12240503 ON 12/20/2020
 
planeswalker (3)
3 《怪物の代言者、ビビアン/Vivien, Monsters' Advocate》
 
creature (34)
4 《エルフの神秘家/Elvish Mystic》
4 《ラノワールのエルフ/Llanowar Elves》

3 《金のガチョウ/Gilded Goose》
4 《炎樹族の使者/Burning-Tree Emissary》
3 《漁る軟泥/Scavenging Ooze》
4 《鉄葉のチャンピオン/Steel Leaf Champion》

3 《カザンドゥのマンモス/Kazandu Mammoth》
2 《ガラクの先触れ/Garruk's Harbinger》
1 《不屈の神ロナス/Rhonas the Indomitable》

2 《探索する獣/Questing Beast》
2 《狩猟の統率者、スーラク/Surrak, the Hunt Caller》
2 《大食のハイドラ/Voracious Hydra》
 
sorcery (2)
2 《変わり樹の共生/Turntimber Symbiosis》
 
artifact (3)
3 《グレートヘンジ/The Great Henge》
 
land (18)
10 《森/Forest》
4 《ハシェプのオアシス/Hashep Oasis》
4 《ニクスの祭殿、ニクソス/Nykthos, Shrine to Nyx》
 
sideboard (15)
1 《漁る軟泥/Scavenging Ooze》
1 《再利用の賢者/Reclamation Sage》

1 《不屈の神ロナス/Rhonas the Indomitable》
1 《変容するケラトプス/Shifting Ceratops》
1 《長老ガーガロス/Elder Gargaroth》
2 《大食のハイドラ/Voracious Hydra》
2 《原初の力/Primal Might》
3 《自然に帰れ/Back to Nature》
1 《英雄的介入/Heroic Intervention》
2 《減衰球/Damping Sphere》

_FALCON_ (13TH PLACE)
PIONEER CHALLENGE 12242619 ON 12/26/2020
 
creature (28)
4 《エルフの神秘家/Elvish Mystic》
4 《ラノワールのエルフ/Llanowar Elves》
4 《炎樹族の使者/Burning-Tree Emissary》
2 《漁る軟泥/Scavenging Ooze》
4 《ガラクの先触れ/Garruk's Harbinger》
4 《鉄葉のチャンピオン/Steel Leaf Champion》

2 《恋煩いの野獣/Lovestruck Beast》
2 《不屈の神ロナス/Rhonas the Indomitable》
2 《ギャレンブリグの領主、ヨルヴォ/Yorvo, Lord of Garenbrig》
 
sorcery (4)
4 《原初の力/Primal Might》
 
instant (4)
4 《集合した中隊/Collected Company》
 
artifact (3)
3 《グレートヘンジ/The Great Henge》
 
land (21)
15 《森/Forest》
3 《ハシェプのオアシス/Hashep Oasis》
3 《ニクスの祭殿、ニクソス/Nykthos, Shrine to Nyx》
 
sideboard (15)
2 《漁る軟泥/Scavenging Ooze》
2 《再利用の賢者/Reclamation Sage》
2 《変容するケラトプス/Shifting Ceratops》
3 《自然に帰れ/Back to Nature》
2 《英雄的介入/Heroic Intervention》

1 《豊穣の碑文/Inscription of Abundance》
3 《減衰球/Damping Sphere》

 緑単色といえば緑単信心ですが、緑単のアグロデッキが少しずつ頭角を現しつつあります。マナクリーチャーから3マナ域に繋ぎ、《炎樹族の使者》+《ニクスの祭殿、ニクソス》をからめた素早いクロック展開から押し込む、というシンプルなデッキです。

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 採用カードは三者三様ですが、固定スロットとなる1~3マナのクリーチャーに、《集合した中隊》《グレートヘンジ》のいずれか、あるいはその両方をタッチする形でまとめてあります。

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 ティムール再生は除去を《神々の憤怒》に頼っているため、タフネス4以上を捌くのに相当な苦労がかかります。タフネス4以上を連打するというシンプルな戦略で、アンチ・ティムール再生の地位を確立しようとしているのです。

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 黒単や赤単は対アグロの後手に不安を抱える部分もありますが、緑単の場合は《炎樹族の使者》もいますし、3マナ以降のクリーチャーがすべて大きなサイズのため、後手でも展開負けすることも少ないのが魅力です。その分赤単や黒単のようなマナフラッド耐性は皆無であり、長期戦は難しいため、メタゲームによって得手不得手がはっきりするデッキになります。


■注目デッキ3:ボロス英雄的

GUIYOTE (3RD PLACE)
PIONEER CHALLENGE 12242684 ON 01/03/2021
 
creature (19)
4 《恩寵の重装歩兵/Favored Hoplite》
4 《僧院の速槍/Monastery Swiftspear》
2 《損魂魔道士/Soul-Scar Mage》
2 《アダントの先兵/Adanto Vanguard》
4 《戦慄衆の秘儀術師/Dreadhorde Arcanist》
3 《第10管区の軍団兵/Tenth District Legionnaire》
 
sorcery (4)
4 《戦いの覚悟/Gird for Battle》
 
instant (18)
4 《果敢な一撃/Defiant Strike》
4 《神々の思し召し/Gods Willing》
4 《無謀な怒り/Reckless Rage》
2 《タイタンの力/Titan's Strength》
4 《ボロスの魔除け/Boros Charm》
 
land (19)
4 《聖なる鋳造所/Sacred Foundry》
4 《戦場の鍛冶場/Battlefield Forge》
4 《感動的な眺望所/Inspiring Vantage》
1 《断崖の避難所/Clifftop Retreat》
3 《山/Mountain》
3 《平地/Plains》
 
sideboard (15)
1 《夢の巣のルールス/Lurrus of the Dream-Den》
3 《浄光の使徒/Apostle of Purifying Light》
3 《贖いし者、フェザー/Feather, the Redeemed》
2 《希望の光/Light of Hope》
1 《乱撃斬/Wild Slash》
2 《石の宣告/Declaration in Stone》
3 《乱動する渦/Roiling Vortex》

 パイオニア実装初期から細々と使われ続け、そして《夢の巣のルールス》登場直後(相棒ルール改訂前)に流行を見せたボロス英雄的が久々の入賞です。

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 基本は1~2マナ域の果敢持ちor「英雄的」持ちクリーチャーを《戦いの覚悟》などで強化、加速度的に大きくなったクリーチャーで速やかに殴り倒します。
 こう書くとオルゾフオーラと似ていますが、エンチャントではなくインスタントタイミングでの強化が強みで、相手の動きを見ながらの「後出しの権利」があること、そして横並び+即効持ちの攻め込みが可能な点で差別化されています。

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 サイドボードには《贖いし者、フェザー》の姿が。《ルールス》を相棒指定できなくなりますが、一部クリーチャーデッキは《フェザー》+《無謀な怒り》で完封できてしまうため、補って余りあるリターンが得られます。

 サイズアップを行うことから相手の火力呪文に強く、相手に多くの除去枚数を要求する、という点では緑単アグロと同様の強みがあります。これもティムール再生をはじめとした赤除去に頼ったデッキへの強みとなります。
 緑単との差異として《神々の思し召し》でさらに相手を消耗させ、あるいは行動を制限することが可能です。

 この手のデッキの宿命として、占術によるドロー操作こそあれど、《思考囲い》には弱いため、黒系デッキは若干苦手です。そのため、サイドボードに《浄光の使徒》を採用、墓地対策と黒系デッキ対策を兼ねています。自分で墓地を使うため《安らかなる眠り》は採用できず、《虚空の力戦》も色が合わず、《魂標ランタン》もイマイチ噛み合わないため、この辺は仕方のないところかもしれません。

■終わりに

 新年一発目の環境分析、いかがでしたでしょうか? カルドハイムもそろそろ発売間近という頃になっても、メタゲームが動いていることがお分かりいただけたかと思います。

 繰り返しになりますが、others(その他)が10%を超えており、その中には上記の緑単アグロやボロス英雄的も含まれています。皆さんの創意工夫を受け止められる土壌のあるパイオニア、ぜひ今年こそプレイしてみてください!


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