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パイオニア環境分析のつもり(6/10~15)元の世界には戻らない?

■はじめに

 こんばんは。コロナウイルス感染症の影響が続いています。「アフターコロナ」に対抗する言葉として、元の世界には戻らない、という意味合いを含む「ウィズコロナ」という言葉が生まれました。今後の生活を示唆しています。

 さてMTGでは「アフター相棒」の世界になってから2週間近くが経ちました。さすがにこちらは「ウィズ相棒」とはいかないようです。直近の結果を振り返り、最新のメタゲーム分布を見ながら、注目リストをご紹介します。

▼Pioneer Preliminary 6/10

5-0
Heliod
 
4-1
Mono-B Vampire
Dimir Inverter
Bant Spirit
Bant Spirit

▼Pioneer Preliminary 6/11

5-0
なし
 
4-1
Mono-R Aggro
Heliod
Orzhov Human
Boros Aggro
Dimir Inverter

▼Pioneer Challenge 6/14

6-X
Boros Heroic
Izzet Ensoul
Simic Ramp(準優勝)
Sultai Delirium(優勝)
 
5-X
Mono-B Vampire
Mono-B Vampire
Mono-R Aggro(TOP8)
Azorius Control
Heliod(TOP8)
Heliod
Dimir Inverter
Dimir Inverter
Esper Control(TOP8)
Naya Winota
Niv-to-Light(TOP8)
 
4-X
Mono-B Vampire
Mono-B Vampire
Mono-R Aggro
Heliod
Orzhov Human
Dimir Inverter
Dimir Inverter
Dimir Inverter
Esper Control
Bant Spirit
Sultai Delirium
Lotus Breach
Niv-to-Light

▼Pioneer Challenge 6/15

7-X
Dimir Inverter(優勝)
 
6-X
Azorius Control
Boros Aggro
Izzet Ensoul(準優勝)
Lotus Breach
 
5-X
Mono-B Vampire(TOP8)
Mono-B Vampire
Mono-B Vampire
Mono-R Aggro
Mono-R Aggro
Mono-R Aggro
Mono-R Aggro
Mono-R Aggro
Heliod
Heliod
Heliod
Boros Aggro
Boros Aggro
Orzhov Human
Orzhov Aura
Dimir Inverter
Dimir Inverter
Dimir Inverter
Esper Control
Bant Spirit(TOP8)
Naya Winota
Naya Winota
Sultai Delirium(TOP8)
Niv-to-Light
Lotus Breach

■メタゲームブレイクダウン

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 ディミーアインバーターがトップメタの座を維持したものの、割合は大きく減少。そのためコンボが3割まで減少、非コンボの割合は7割となりました。また、相棒は日に日に元気がなくなり、ついに各1桁台まで使用率が減少しました。代わって台頭したのは、相棒登場後に鳴りを潜めていた、以前のデッキ達です。前回も登場しましたが、今回はその傾向がより顕著になりました。

 筆頭は黒単吸血鬼(黒単アグロ)。使用率はディミーアインバーターに次ぐ2位です。なお、このうち吸血鬼シナジーのない通常のアグロは1つのみで、残りはすべて《傲慢な血王、ソリン》を採用した「吸血鬼型」です。メインボードはほぼすべてのデッキが60枚同様の構成(除去枠がヘリオッド対策の《闇の掌握》になっているケースが若干存在)と、デッキリストも洗練されています。赤単アグロバントスピリットも使用率を大きく伸ばしました。

 コンボに対抗するには(1)高速アグロでコンボ成立前に勝つ、(2)打ち消しやハンデスで妨害しながら殴りきる、の2点が重要で、上記3デッキは妨害要素と速いクロックを兼ね備えているため、コンボに対抗できるアグロとしての立ち位置を確立しているようです。また、アンチコンボ《試練に臨むギデオン》をメインから採用できるヘリオッドも存在感を増してきています。

 ミッドレンジやコントロールも少なからず存在していますが、ディミーアインバーターの妨害力が高いため、いまいち勝率を伸ばしきれないようです。

■注目デッキ1:スゥルタイ昂揚

jaberwocki (1st place)
pioneer challenge 12168599 on 06/13/2020
 
creature (16)
3《ヴリンの神童、ジェイス/Jace, Vryn's Prodigy》
4《サテュロスの道探し/Satyr Wayfinder》
2《残忍な騎士/Murderous Rider》
4《自然の怒りのタイタン、ウーロ/Uro, Titan of Nature's Wrath》
1《不屈の追跡者/Tireless Tracker》
1《半真実の神託者、アトリス/Atris, Oracle of Half-Truths》
1《歩行バリスタ/Walking Ballista》
 
sorcery (8)
4《思考囲い/Thoughtseize》
4《ウルヴェンワルド横断/Traverse the Ulvenwald》
 
instant (9)
4《致命的な一押し/Fatal Push》
1《無情な行動/Heartless Act》
2《突然の衰微/Abrupt Decay》
2《食らいつくし/Eat to Extinction》
 
enchantment (3)
3《サメ台風/Shark Typhoon》
 
land (24)
2《草むした墓/Overgrown Tomb》
4《花盛りの湿地/Blooming Marsh》
1《森林の墓地/Woodland Cemetery》
2《繁殖池/Breeding Pool》
1《内陸の湾港/Hinterland Harbor》
2《湿った墓/Watery Grave》
1《水没した地下墓地/Drowned Catacomb》
2《ゼイゴスのトライオーム/Zagoth Triome》
1《イプヌの細流/Ipnu Rivulet》
3《寓話の小道/Fabled Passage》
2《森/Forest》
1《沼/Swamp》
2《島/Island》
 
sideboard (15)
1《無情な行動/Heartless Act》
3《減衰球/Damping Sphere》
1《強迫/Duress》
1《約束された終末、エムラクール/Emrakul, the Promised End》
1《絶滅の契機/Extinction Event》
1《人質取り/Hostage Taker》
4《神秘の論争/Mystical Dispute》
1《否認/Negate》

2《霊気のほころび/Unravel the AEther》

 6/14のPioneer Challenge優勝のスゥルタイ昂揚です。使い手はMTGOの強豪、"JABERWOCKI"ことLogan Nettles氏。ミッドレンジ受難の時代にありながらの優勝となりました。

 スゥルタイ昂揚はチューニングが難しいデッキで、今回のリストも従来のそれとは一線を画しています。その象徴が《サメ台風》従来、数枚のプレインズウォーカーを採用する枠ですが、このリストではサイドボードまで含めて不採用として、代わりにフィニッシャーの役割を務めます。

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 そもそもPWはディミーアインバーターの《英雄の破滅》で対処されやすく、アグロの攻撃にも脆い側面があります。また展開時に隙が出来てしまい、打ち消しのいい的となってしまう他、返しのコンボ成立には無力です。

 そこで今回の《サメ台風》。マナを伸ばしやすいスゥルタイ昂揚ではXの値を大きくしてサイクリングすることも可能です。また、除去を構えながら展開することもでき、コントロール気味に動くデッキによく合っています。

 環境の高速化を受けて、《エムラクール》はサイドボードからの対コントロール兵器として登場します。他、サイドボードには打ち消しが5枚。コンボへの意識が強いことが伺えます。《絶滅の契機》は対アグロ全般や《ヘリオッド》にも効果的です。

■注目デッキ2:ルールスブリーチ

cws (5th place)
pioneer challenge 12168603 on 06/14/2020
 
creature (13)
4《樹上の草食獣/Arboreal Grazer》
4《願いのフェイ/Fae of Wishes》
4《サテュロスの道探し/Satyr Wayfinder》
1《タッサの神託者/Thassa's Oracle》
 
sorcery(18)
4《見えざる糸/Hidden Strings》
4《熟読/Pore Over the Pages》
2《可能性の揺らぎ/Shimmer of Possibility》
4《巧みな軍略/Strategic Planning》
4《森の占術/Sylvan Scrying》
 
instant(1)
1《一瞬/Blink of an Eye》

enchantment(3) 
3《死の国からの脱出/Underworld Breach》
 
land(25)
2《爆発域/Blast Zone》
4《植物の聖域/Botanical Sanctum》
1《森/Forest》
1《イプヌの細流/Ipnu Rivulet》
4《睡蓮の原野/Lotus Field》
1《隠れた茂み/Sheltered Thicket》
4《神秘の神殿/Temple of Mystery》
4《演劇の舞台/Thespian's Stage》
4《ヤヴィマヤの沿岸/Yavimaya Coast》
 
sideboard (15)
1《夢の巣のルールス/Lurrus of the Dream Den》
1《死の国からの脱出/Underworld Breach》
1《高山の月/Alpine Moon》
1《神々の憤怒/Anger of the Gods》
1《濃霧/Fog》
1《神秘を操る者、ジェイス/Jace, Wielder of Mysteries》
3《漸増爆弾/Ratchet Bomb》
1《思考のひずみ/Thought Distortion》
1《秘本掃き/Tome Scour》
1《精霊龍、ウギン/Ugin, the Spirit Dragon》
1《虚空の罠/Void Snare》
2《萎れ/Wilt》

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 以前に少しだけ触れた《夢の巣のルールス》を相棒に据えたロータスブリーチです。《砂時計の侍臣》が使えませんが、それ以外はほぼそのままのパーツが使用できます。上のリストではコンボパーツサーチ用に《可能性の揺らぎ》と《タッサの神託者》が足されています。

 ロータスブリーチは妨害を受けることが多くなっており、《睡蓮の原野》コピーをしても他のパーツが足りずコンボを決めづらくなっています。粘り強さを得るために《夢の巣のルールス》から《死の国からの脱出》を即リアニメイトしコンボに移行する、というプランをとることができます。この一連の動きは手札破壊で妨害されないため黒系相手に強く、また相棒コストの(3)、《夢の巣のルールス》のキャストも《睡蓮の原野》さえあれば簡単に支払えることがこのプランを成立させています。

 とはいえ、《砂時計の侍臣》なしでコンボを成立させるにはそれなりの準備が必要なので、より熟練度が試されるリストになります。我こそは、と思う方はぜひ試してみてください。

■終わりに

 MTGAでの大会開催も増え、注目を集めるフォーマットの一つに「ヒストリック」があります。このnoteはこれまでパイオニアの記事を中心に扱ってきましたが、大会が増えてくれば今後はヒストリックも特集していければと思います。海外記事の翻訳なども含めて、適宜情報発信をしていければと思いますので、今後ともよろしくお願いします。

 記事を書き終えて時間があれば、MTGAのキューブドラフトで遊んでこようと思います。目標3勝。

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