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パイオニア環境分析のつもり(4/22〜23)空を放浪するパイオニア


■はじめに

 他のフォーマットの例にもれず、もはや「相棒」選手権? という様相を呈してきたパイオニア。直近の大会結果を振り返ってみましょう。


▼Pioneer Preliminary 4/22

5-0
バントランプ《ヨーリオン》
ボロスアグロ《ルールス》
 
4−1
黒単アグロ《オボシュ》
オルゾフオーラ《ルールス》
オルゾフオーラ《ルールス》
ディミーアインバーター
シミックランプ
ゴルガリ鱗《ルールス》

相棒採用率(〜22位):20/22(90.9%)


▼PIoneer Super Qualifier 4/23

7−2
アゾリウスヘリオッド《ヨーリオン》(優勝)
アゾリウスヘリオッド《ヨーリオン》(準優勝)
オルゾフオーラ《ルールス》(TOP4)
オルゾフオーラ《ルールス》
オルゾフ星座《ヨーリオン》
グルールアグロ《オボシュ》(TOP4)
 
6−3
白単ヘリオッド
赤単アグロ《オボシュ》
アゾリウスコントロール《カヒーラ》
オルゾフオーラ《ルールス》(TOP8)
オルゾフオーラ《ルールス》
オルゾフオーラ《ルールス》
オルゾフオーラ《ルールス》
ボロスアグロ《ルールス》(TOP8)
ボロスアグロ《ルールス》
ディミーアインバーター
イゼット魂込め《ジェガンサ》
バントランプ《ヨーリオン》
スゥルタイ昂揚《ヨーリオン》
ロータスブリーチ
 
5−4(〜32位)
アゾリウスヘリオッド《ヨーリオン》
アゾリウスヘリオッド《ヨーリオン》
オルゾフオーラ《ルールス》
オルゾフオーラ《ルールス》
オルゾフオーラ《ルールス》
オルゾフオーラ《ルールス》
ボロスアグロ《ルールス》
グルールアグロ《オボシュ》
バントスピリット
スゥルタイ昂揚《ヨーリオン》
スゥルタイ昂揚
ロータスブリーチ

相棒採用率(〜32位):26/32(81.2%)

▼Pioneer Preliminary 4/23

5−0
ボロス英雄的《ルールス》
 
4−1
アゾリウスヘリオッド《ヨーリオン》
オルゾフオーラ《ルールス》
オルゾフオーラ《ルールス》
スゥルタイ昂揚《ジェガンサ》

相棒採用率(〜10位):10/10(100%)

■トピックス

・「相棒」採用率、加速

 一部では既に「《オーコ》以上の失敗」との声もある「相棒」システムですが、ついに直近のPioneer Preliminaryでは上位採用率が100%になるなど、「採用し得」感が満載です。
 特にシナジーのないデッキへの投入もあり、例えば

・ノンクリーチャーデッキ+《カヒーラ》
・スゥルタイ昂揚、イゼット魂込め+《ジェガンサ》

 など、「初期手札+1」を狙った採用も見受けられます。もともと「相棒」自体のマナ拘束が極めて薄いデザインです。構築制限をすんなりクリアできる「抜け道」が作れるデッキなら、サイドボード1枠が手札1枚に変換できるため、そのメリットだけでも十分採用に値すると踏んだようです。

・様々な形の《ヨーリオン》デッキが出現中

 一番人気は前回同様《ルールス》ですが、既存のデッキに《ヨーリオン》を組み込む例が見受けられます。具体的にはアゾリウスヘリオッド、スゥルタイ昂揚、バントランプです。また、オルゾフ星座という新しいアーキタイプも生まれています。
 もともとパイオニアのカードパワー自体が平均して高いため、20枚を上積みすることはそこまで難しくありません。一番はデッキの安定性ですが、タップインを許容すれば2色地形自体は多いため、上記のような初速を重視しないデッキならあまり気になりません。

 ただし、トップメタがオルゾフオーラ(Super Qualifierの使用率:10/32)という速いデッキのため、対応は必須です。アゾリウスヘリオッドは1マナクリーチャーや《不可解な終焉》《メレティス誕生》といった再利用可能なユーティリティ・除去を多く積んで対応できるようにしています。

・デッキリスト紹介:アゾリウスヘリオッド

TH00MOR (1ST PLACE)
PIONEER SUPER QUALIFIER ON 04/22/2020
 
planeswalker (4)
4 《時を解す者、テフェリー/Teferi, Time Raveler》
 
creature (31)
4 《秘儀術師のフクロウ/Arcanist's Owl》
4 《魅力的な王子/Charming Prince》
3 《太陽に祝福されしダクソス/Daxos, Blessed by the Sun》
4 《太陽冠のヘリオッド/Heliod, Sun-Crowned》
4 《白蘭の騎士/Knight of the White Orchid》
4 《反射魔道士/Reflector Mage》
4 《スレイベンの検査官/Thraben Inspector》
4 《歩行バリスタ/Walking Ballista》
 
enchantment (11)
2 《不可解な終焉/Baffling End》
2 《エルズペス、死に打ち勝つ/Elspeth Conquers Death》
2 《軍団の上陸/Legion's Landing》
3 《停滞の罠/Stasis Snare》
2 《メレティス誕生/The Birth of Meletis》
 
land (34)
1 《アーデンベイル城/Castle Ardenvale》
4 《氷河の城砦/Glacial Fortress》
4 《神聖なる泉/Hallowed Fountain》
4 《灌漑農地/Irrigated Farmland》
4 《ニクスの祭殿、ニクソス/Nykthos, Shrine to Nyx》
12 《平地/Plains》
1 《港町/Port Town》
4 《啓蒙の神殿/Temple of Enlightenment》
 
sideboard (15)
【相棒】1 《空を放浪するもの、ヨーリオン/Yorion, Sky Nomad》
1 《消去/Erase》
2 《試練に臨むギデオン/Gideon of the Trials》
2 《ギデオンの介入/Gideon's Intervention》
2 《疎外/Isolate》
3 《神秘の論争/Mystical Dispute》
2 《安らかなる眠り/Rest in Peace》
2 《高名な弁護士、トミク/Tomik, Distinguished Advokist》

 Pioneer Super Qualifierを優勝したアゾリウスヘリオッドです。たっぷりの土地とクリーチャー、除去を詰め込んで《ヨーリオン》の条件80枚をクリアしています。
 80枚にすることで無限コンボが揃いづらくなっていますが、元々このデッキの無限コンボはサブプランで、本筋は《太陽冠のヘリオッド》によるビートダウンです。一貫性という意味では損なわれておらず、また《白蘭の騎士》によって安定性も高いため、枚数増加による影響は薄そうです。
 当然ながら《ヨーリオン》を生かしやすい構成になっており、英雄譚や「一時追放」除去、EtB持ちクリーチャーを再利用する狙いです。英雄譚のリセットも強力ですが、《魅力的な王子》からの《反射魔道士》ダブルブリンクの動きは反則級です。

・デッキリスト紹介:オルゾフ星座

HODORTIMEBABY (6TH PLACE)
PIONEER SUPER QUALIFIER ON 04/22/2020
 
planeswalker (1)
1 《試練に臨むギデオン/Gideon of the Trials》
 
creature (6)
2 《残忍な騎士/Murderous Rider》
4 《スレイベンの検査官/Thraben Inspector》
 
sorcery (5)
1 《ケイヤの怒り/Kaya's Wrath》
4 《思考囲い/Thoughtseize》
 
instant (8)
1 《恰好の餌食/Easy Prey》
2 《致命的な一押し/Fatal Push》
1 《最後の支払い/Final Payment》
4 《運命のちらつき/Flicker of Fate》
 
enchantment (29)
4 《悪魔の契約/Demonic Pact》
4 《予言された壊滅/Doom Foretold》
3 《エルズペスの悪夢/Elspeth's Nightmare》
4 《ケイヤの誓い/Oath of Kaya》
2 《ニクスの星原/Starfield of Nyx》
4 《メレティス誕生/The Birth of Meletis》
3 《裏切る恵み/Treacherous Blessing》
4 《野望の試練/Trial of Ambition》
1 《地下世界の人脈/Underworld Connections》
 
land (31)
2 《ロークスワイン城/Castle Locthwain》
4 《コイロスの洞窟/Caves of Koilos》
4 《神無き祭殿/Godless Shrine》
4 《孤立した礼拝堂/Isolated Chapel》
6 《平地/Plains》
4 《乱脈な気孔/Shambling Vent》
5 《沼/Swamp》
1 《静寂の神殿/Temple of Silence》
1 《ヨーグモスの墳墓、アーボーグ/Urborg, Tomb of Yawgmoth》
 
sideboard (15)
【相棒】1 《空を放浪するもの、ヨーリオン/Yorion, Sky Nomad》
2 《致命的な一押し/Fatal Push》
3 《ケイヤの怒り/Kaya's Wrath》
2 《太陽の恵みの執政官/Archon of Sun's Grace》
2 《神討ち/Deicide》
4 《安らかなる眠り/Rest in Peace》
1 《魔術遠眼鏡/Sorcerous Spyglass》

 こちらも《ヨーリオン》デッキですが、英雄譚と《予言された壊滅》を活用したエンチャントベースのデッキです。基本的にコントロール的な動きをしますが、核となるのは《予言された壊滅》。各種アドバンテージカードを維持コストにしながら相手のリソースを絞り、盤面を整えて《ヨーリオン》から一気に勝負を決めます。
 非常に面白い動きをしますが、《ヨーリオン》以外にも《ニクスの星源》が追加フィニッシャーの役割を果たしたり、サイドボードから《太陽の恵みの執政官》が登場するなど、勝ち手段の豊富さも魅力です。聞き慣れないカードが多いので、対戦の際は各カードをしっかり把握しておきましょう。

・デッキリスト紹介:バントランプ

GNORILGRANDE (5-0)
PIONEER PRELIMINARY ON 04/21/2020
 
planeswalker (7)
3 《ドミナリアの英雄、テフェリー/Teferi, Hero of Dominaria》
4 《時を解す者、テフェリー/Teferi, Time Raveler》
 
creature (16)
2 《クルフィックスの狩猟者/Courser of Kruphix》
2 《巨森の予見者、ニッサ/Nissa, Vastwood Seer》
4 《サテュロスの道探し/Satyr Wayfinder》
4 《スレイベンの検査官/Thraben Inspector》
4 《自然の怒りのタイタン、ウーロ/Uro, Titan of Nature's Wrath》
 
sorcery (4)
4 《至高の評決/Supreme Verdict》
 
instant (8)
4 《成長のらせん/Growth Spiral》
4 《選択/Opt》
 
enchantment (13)
4 《不可解な終焉/Baffling End》
2 《拘留の宝球/Detention Sphere》
3 《エルズペス、死に打ち勝つ/Elspeth Conquers Death》
4 《海の神のお告げ/Omen of the Sea》
 
land (32)
4 《繁殖池/Breeding Pool》
4 《寓話の小道/Fabled Passage》
3 《森/Forest》
2 《氷河の城砦/Glacial Fortress》
4 《神聖なる泉/Hallowed Fountain》
2 《内陸の湾港/Hinterland Harbor》
2 《島/Island》
2 《伐採地の滝/Lumbering Falls》
3 《平地/Plains》
2 《陽花弁の木立ち/Sunpetal Grove》
4 《寺院の庭/Temple Garden》
 
sideboard (15)
【相棒】1 《空を放浪するもの、ヨーリオン/Yorion, Sky Nomad》
2 《霊気の疾風/Aether Gust》
2 《障壁突破/Barrier Breach》
4 《秋の騎士/Knight of Autumn》
4 《神秘の論争/Mystical Dispute》
2 《覆いを割く者、ナーセット/Narset, Parter of Veils》

 バントランプと紹介しましたが、アゾリウスコントロールに緑をタッチした形となっています。定番の《ハイドロイド混成体》は不採用。盤面を整えて2種《テフェリー》で勝負を決める点はアゾリウスコントロールと変わりません。《ナーセット》の代わりにアドバンテージを稼ぐクリーチャーも多く採用しており、《ウーロ》で攻める展開も考えられなくはありません。
 サイドボードの《障壁突破》は要注目。主に対《ヨーリオン》対策で、インスタントタイミングでのエンチャント3枚追放は勝負を決める威力があります。他の緑系デッキにも徐々に見られるようになってきていて、メタゲームによってはメイン採用も十分に考えられます。


■終わりに

 今回は《ヨーリオン》デッキを見ていきました。メタゲームが高速《ルールス》VS低速《ヨーリオン》という図式になってきており、お互いがお互いを意識し始めています。既存のメタゲームはしばらくは通用しない状況です。デッキリストにはまだばらつきがありますが、核となるカードの存在と働きはしっかり把握しておきましょう。


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