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パイオニア環境分析のつもり(9/6~13)再生包"囲"網を突破せよ

■はじめに

 こんばんは。週末はいよいよ「ゼンディカーの夜明け」プレリリースですね。予約はお済みですか?

 突然ですが9/16はthe pillowsの結成記念日です。みんなで歌いましょう。

 それから、9/19はGRAPEVINEのデビュー記念日です。みんなで浸りましょう。

 以上、唐突でしたがマイフェイバリットアーティストのプッシュでした。以下いつものメタゲームブレイクダウンです。

▼Pioneer Challenge 09/06

6-X
Mono-B Aggro
Mono-B Vampire
Orzhov Aura
Dimir Control
Temur Reclamation
 
5-X
Mono-R Aggro
Azorius Control
Spirit
Spirit
Rakdos Arcanist
Rakdos Arcanist
Esper Yorion
Jeskai Fires
Niv-to-Light
 
4-X
Mono-B Aggro
Mono-B Aggro
Mono-R Devotion
Mono-G Devotion
Spirit
Orzhov Aura
Dimir Control
Dimir Control
Rakdos Arcanist
Rakdos Arcanist
Rakdos Arcanist
Temur Reclamation
Temur Reclamation
Temur Reclamation
Temur Reclamation
Temur Reclamation
Temur Reclamation
Niv-to-Light

▼Pioneer Preliminary 09/08

5-0
Mono-B Vampire
 
4-1
Mono-G Devotion
Niv-to-Light
 
3-2
Mono-B Aggro
Mono-B Aggro
Rakdos Arcanist
Esper Yorion
Temur Reclamation
Temur Reclamation

▼Pioneer Preliminary 09/11

4-1
Mono-W Devotion
Mono-G Devotion
Rakdos Arcanist
Temur Reclamation
 
3-2
Mono-W Aggro
Rakdos Arcanist
Lotus Combo

▼Pioneer Challenge 09/12

6-X
Esper Yorion
 
5-X
Mono-B Aggro
Mono-R Aggro
Azorius Control
Azorius Control
Jeskai Fires
Jeskai Fires
 
4-X
Mono-B Aggro
Mono-B Aggro
Mono-B Aggro
Mono-B Vampire
Mono-G Devotion
Mono-G Devotion
Mono-G Devotion
Mono-G Devotion
Orzhov Aura
Orzhov Aura
Izzet Ensoul
Rakdos Arcanist
Esper Yorion
Esper Yorion
Temur Reclamation
Temur Reclamation
Temur Reclamation
Temur Reclamation
Temur Reclamation
Niv-to-Light
Niv-to-Light
Niv-to-Light
Lotus Combo
Lotus Combo
Lotus Combo

▼Pioneer Challenge 09/13

6-X
Niv-to-Light
 
5-X
Mono-B Aggro
Mono-B Aggro
Mono-B Vampire
Izzet Phoenix
Jeskai Fires
Temur Reclamation
 
4-X
Mono-B Vampire
Mono-R Aggro
Mono-R Aggro
Orzhov Aura
Orzhov Aura
Orzhov Aura
Boros Aggro
Dimir Control
Dimir Control
Izzet Phoenix
Simic Ramp
Rakdos Arcanist
Esper Yorion
Esper Yorion
Esper Yorion
Esper Yorion
Jeskai Fires
Jeskai Fires
Bant Spirit
Temur Reclamation
Temur Reclamation
Temur Reclamation
Temur Reclamation
Temur Reclamation
Jund Sacrifice

■メタゲームブレイクダウン

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 使用者数トップはティムール再生、次いで黒単(アグロor吸血鬼)、ラクドスアルカニスト、エスパーヨーリオンと続き、この4デッキでほぼ5割を占めています。続いて5色ニヴミゼットや緑単信心といったデッキが続きます。

 数だけ見るとティムール再生が盤石に見えますが、数の割に「勝ち切れて」いません。この期間での優勝はゼロ、最後に優勝したのは8/20と1ヶ月近く遠ざかっています(「WKMIDORI」ことワカミさんが8/17に使用して話題となり、8/20も優勝。ちなみにご本人は9/11のPreliminaryで4-1フィニッシュしています)。使用者は増えていますが、Pioneer Challengeの5勝以上のライン(8/28~)は60デッキ中5デッキ(8.3%)と、比率からして非常に苦しい戦いを強いられています。

 その理由のひとつが《思考囲い》です。
 上記グラフのうち、上位デッキ(右半分)の黒単アグロ&吸血鬼、ラクドスアルカニスト、エスパーヨーリオンはすべて《思考囲い》を使うデッキです。黒単は早いクロック、ラクドスは《戦慄衆の秘儀術師》による使いまわし、エスパーは《思考消去》との8枚体制、とそれぞれ《思考囲い》を活かす強みがあり、単に《思考囲い》を使う以上のプレッシャーを与えてきます。

 ティムール再生は2T《成長のらせん》→3T《荒野の再生》というブン回りパターンを持つコンボデッキとしての特性が強いデッキですが、後半のトップデッキに強い半面、序盤にキーカードを的確に対処されると脆い側面もあります。この点が《思考囲い》デッキと噛み合わず、従来のメタゲームから《思考囲い》を巡る戦いになった際に苦戦している要因だと思われます。

 今は2人に1人が《思考囲い》を使ってきます。ティムール再生側もリストの見直しを迫られていて、メイン《長老ガーガロス》の採用など、色々な工夫が見てとれます。

 そんな隙間を縫って、赤単アグロ(=《思考囲い》が流行れば流行るほど強いアグロデッキ)などが勢力をじわじわと伸ばしてきています。今後のメタゲームの推移に要注目です。

■注目デッキ1:シミック現出

ARCHGAZE (28TH PLACE)
PIONEER CHALLENGE 12206264 ON 09/13/2020
 
creature (30)
2《エルフの神秘家/Elvish Mystic》
2《ラノワールのエルフ/Llanowar Elves》
4《サテュロスの道探し/Satyr Wayfinder》
1《漁る軟泥/Scavenging Ooze》
3《エルフの再生者/Elvish Rejuvenator》
3《激情の共感者/Fierce Empath》
2《機知の勇者/Champion of Wits》
1《厚かましい借り手/Brazen Borrower》
3《自然の怒りのタイタン、ウーロ/Uro, Titan of Nature's Wrath》
1《探索する獣/Questing Beast》
3《茨の騎兵/Cavalier of Thorns》
4《老いたる深海鬼/Elder Deep-Fiend》
1《世界を壊すもの/World Breaker》
 
instant (4)
1《頑固な否認/Stubborn Denial》
3《コジレックの帰還/Kozilek's Return》
 
land (26)
1《植物の聖域/Botanical Sanctum》
4《繁殖池/Breeding Pool》
4《森/Forest》
4《内陸の湾港/Hinterland Harbor》
1《島/Island》
4《ケトリアのトライオーム/Ketria Triome》
4《ウギンの聖域/Sanctum of Ugin》
4《ヤヴィマヤの沿岸/Yavimaya Coast》
 
sideboard (15)
1《漁る軟泥/Scavenging Ooze》
1《再利用の賢者/Reclamation Sage》
2《変容するケラトプス/Shifting Ceratops》
2《ひっかき爪/Scrabbling Claws》
1《頑固な否認/Stubborn Denial》
2《霊気の疾風/Aether Gust》
2《否認/Negate》
1《障壁突破/Barrier Breach》
1《コジレックの帰還/Kozilek's Return》
2《不滅の太陽/The Immortal Sun》

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 一昔前のスタンダードで流行った「現出」デッキです。EtB能力持ちを「タネ」に、《老いたる深海鬼》を高速召喚。相手のマナを封じながら殴りきる、というシンプルなスタイルです。

 このリストは、パイオニアのゲームスピードに合わせ、マナクリーチャーを使用したシミックカラーでまとめています。シミックといえば《ウーロ》、ということでマナ加速を兼ねて採用。墓地肥やしからの《茨の騎兵》で確実に《老いたる深海鬼》を獲得できる体制にしています。
 《ウーロ》+《サテュロスの道探し》(&《茨の騎兵》)パッケージの安定感はスゥルタイ昂揚などで実証済み。今後も色々なデッキで使われていきそうなシナジーです。特に「ゼンディカーの夜明け」で「上陸」がフィーチャーされるだけに、土地を入手できる+土地を置ける、という組み合わせはマナ加速以上の価値を生み出すかも。

 小ネタとして、《ウーロ》の非脱出時キャストの際の「生け贄に捧げる」能力を解決する前に、《老いたる深海鬼》の現出コストに充てることができます。ラクドスアルカニストの《クロクサ》+《村の儀式》と同じですね。そのまま唱えるのと重さはあまり変わりませんが、土地を増やし、ライブラリーを掘り進むことができるので、覚えておくと使う機会もあるかもしれません。

■注目デッキ2:黒単吸血鬼

POKERSWIZARD (1ST PLACE)
PIONEER CHALLENGE 12203381 ON 09/06/2020
 
planeswalker (4)
4 《傲慢な血王、ソリン/Sorin, Imperious Bloodlord》
 
creature (21)
4《漆黒軍の騎士/Knight of the Ebon Legion》
4《才気ある霊基体/Gifted Aetherborn》
3《薄暮軍団の盲信者/Dusk Legion Zealot》
3《残忍な騎士/Murderous Rider》
1《銀打ちのグール/Silversmote Ghoul》
2《ゲトの裏切り者、カリタス/Kalitas, Traitor of Ghet》
4《薄暮の勇者/Champion of Dusk》
 
sorcery (4)
4《思考囲い/Thoughtseize》
 
instant (6)
4《致命的な一押し/Fatal Push》
2《無情な行動/Heartless Act》
 
land (25)
4《ロークスワイン城/Castle Locthwain》
4《変わり谷/Mutavault》
1《ニクスの祭殿、ニクソス/Nykthos, Shrine to Nyx》
15 《沼/Swamp》
1《ヨーグモスの墳墓、アーボーグ/Urborg, Tomb of Yawgmoth》
 
sideboard (15)
1《銀打ちのグール/Silversmote Ghoul》
1《残忍な騎士/Murderous Rider》
1《ゲトの裏切り者、カリタス/Kalitas, Traitor of Ghet》
1《墓掘りの檻/Grafdigger's Cage》
2《真髄の針/Pithing Needle》
1《害悪な掌握/Noxious Grasp》
3《苦悶の悔恨/Agonizing Remorse》
1《軍団の最期/Legion's End》
2《夢を引き裂く者、アショク/Ashiok, Dream Render》
2《死者を目覚めさせる者、リリアナ/Liliana, Waker of the Dead》

 ティムール再生が「勝ち切れていない」と述べましたが、逆に入賞内での順位が高かったデッキは何かというと、黒単吸血鬼です。《思考囲い》と速いクロック、コントロールに対する《ソリン》と《変わり谷》の圧力、そして攻防一体の《才気ある霊気体》をはじめとした優秀なクリーチャー群、とバランスよくまとまったデッキです。

画像3

 地味にM21からの《銀打ちのグール》という新戦力を得て(ゾンビだと思っていたら「ゾンビ・吸血鬼」だったのか……!)、粘り強さもプラス。3点ライフゲインは《才気ある霊気体》《ソリン》《カリタス》あたりで結構な頻度で達成できるので、ライフゲインによってアドバンテージも稼ぎ出すことができるこのカードの存在は貴重です。

 サイドボードには《死者を目覚めさせる者、リリアナ》の姿が。従来《ダブリエル》などが使用されていた枠で、4マナと重いものの、コントロールやコンボに対して継続的に手札を攻める手段としてはこちらの方が優秀です。また、《真髄の針》はジェスカイファイアーズの《竜使いののけ者、ルーカ》によるコンボを防いだり、コントロールデッキのPW対策として重宝する軽いカード。黒単アグロと比べメインデッキが重いだけに、サイドボードの「軽さ」は重要になります。

 本来は環境がアグロに寄った方が強いのですが、黒単アグロが2番手に来ているメタでは、「黒単に強い黒単」である黒単吸血鬼の選択も視野に入れるべきかもしれません。

■注目デッキ3:ディミーアコントロール

MRCAFOUILLETTE (5TH PLACE)
PIONEER CHALLENGE 12203381 ON 09/06/2020
 
creature (3)
3《奔流の機械巨人/Torrential Gearhulk》
 
instant (28)
4《選択/Opt》
4《致命的な一押し/Fatal Push》
2《否認/Negate》
3《検閲/Censor》
1《無情な行動/Heartless Act》
1《徙家/Consign》 // 《忘妻/Oblivion》
1《英雄の破滅/Hero's Downfall》
4《悪意ある妨害/Sinister Sabotage》
1《ヒエログリフの輝き/Hieroglyphic Illumination》
2《天才の片鱗/Glimmer of Genius》
2《ヴラスカの侮辱/Vraska's Contempt》
3《時を越えた探索/Dig Through Time》
 
enchantment (4)
4《サメ台風/Shark Typhoon》
 
land (25)
2《ロークスワイン城/Castle Locthwain》
1《ヴァントレス城/Castle Vantress》
4《水没した地下墓地/Drowned Catacomb》
3《寓話の小道/Fabled Passage》
2《異臭の池/Fetid Pools》
2《廃墟の地/Field of Ruin》
5《島/Island》
2《沼/Swamp》
4《湿った墓/Watery Grave》
 
sideboard (15)
1《魂標ランタン/Soul-Guide Lantern》
2《思考囲い/Thoughtseize》
1《否認/Negate》
3《霊気の疾風/Aether Gust》
1《害悪な掌握/Noxious Grasp》
2《神秘の論争/Mystical Dispute》
2《肉儀場の叫び/Cry of the Carnarium》
1《即時却下/Summary Dismissal》
2《永遠神の投入/Enter the God-Eternals》

 古式ゆかしいディミーアコントロールです。特筆すべきは、《思考囲い》の不採用。アゾリウスに比べライフ獲得能力に乏しいとはいえ、従来は確定枠だと思っていただけに不採用のリストは衝撃的です。今回は同リストで2名が入賞しています。

 デッキのカードすべてがインスタントタイミングで構成されていて(《サメ台風》を置くことがないわけではありませんが)、ティムール再生やジェスカイファイアーズなど大振りなデッキに対して隙を見せない構成になっています。従来は《思考囲い》《ナーセット》《アショク》などが採用されていましたが、軒並み不採用にして、インスタントタイミングで動く一貫性を優先しています。

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 フィニッシャーは《サメ台風》と《奔流の機械巨人》。確かに《奔流の機械巨人》はインスタントが多い程選択肢が増えるので、このデッキであれば非常に有効に働きます。1枚だけ採用された《徙家//忘妻》との「インスタント手札破壊」コンボもおしゃれですね。

 サイドボードまでインスタントを揃えて……とまではいかず、ビートダウン対策のソーサリー、そして少量の《思考囲い》が採用されています。《肉儀場の叫び》は分かりやすい黒単アグロ対策。《永遠神の投入》もアグロの歩みを止める鉄板カードです。

 1枚で勝てるカードというのはほとんどなく、徐々に優位を広げていく上級者向けのデッキです。腕に自信のある方、昔ながらのコントロールが好きな方はぜひお手に取ってみてください。

■終わりに

 もういくつ寝ると「ゼンディカーの夜明け」がやってきます。神話レアの両面サイクル、両面2色土地などの強力カードだけでなく、ランプ対策や妨害能力持ち生物など、パイオニアにも一定の影響を与えるカードがありそうです。パーティ押しということで《集合した中隊》デッキも再燃の予感。新しいデッキを考えるのも楽しい時期ですね。

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 ティムール再生や黒単アグロが安定した成績を残していますが、果たして「ゼンディカーの夜明け」でこのメタゲームはどこまで変動するのか、楽しみに待ちたいと思います。

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