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紅茶事変

わたしは紅茶が好きだ。というより、ティーサロンやティールームが好きなのかもしれない。
コーヒーが美味しい純喫茶に入ると、ある種コーヒーと対峙するみたいな緊張感がある。
一方ティーサロンは、サロンというリラックス空間に緩和剤として紅茶が存在している気がする。名称からして、ティーとサロンが並んでいるということは、等価の存在なのである。

サロンでくつろぐために必要な飲み物、それが紅茶なのではないだろうか。

ティーサロンの選び方は意外と難しく、都内の有名ティーサロンを訪れてみたものの、1杯1,000円を超える紅茶なのに色水のような味がしたりする。

コーヒーにこだわりのある主人が経営する店のコーヒーが美味しいように、ティーサロンも紅茶にこだわりのある主人が開いたお店のものが美味しい。

以前よく訪れていたのは、蒲田にある「まやんち」。紅茶が美味しいのはもちろんのこと、季節ごとに紅茶に合った手作りのケーキが楽しめる。もちろん、アフタヌーンティーのセットもある。

ここで出会ったお気に入りのケーキは、ヴィクトリアサンドイッチ。イギリスの伝統的なケーキで、19世紀のヴィクトリア女王が好んで食べていたという。
しっかりめのスポンジケーキに、甘酸っぱいジャムが挟まった素朴なケーキだ。
酸味を感じるずっしりとしたケーキは、ストレートティーにもミルクティーにもよく合う。

ちなみに同じく蒲田には、以前スリランカ料理のお店があり、スリランカティーを提供していた。

店内にはスリランカティーのビデオが流れていて、紅茶の産地であるヌワラエリヤでの茶葉の収穫シーンが映っていた。
付近の銀行では、午後に必ずティータイムが設けられていて、専用のスタッフがヌワラエリヤの茶葉で入れた紅茶とともに、お茶請けのチョコレートケーキを配ってくれる。
仕事の合間に、美味しい紅茶とチョコレートケーキでほっこりと小休止できるとは、うらやましい限りだ。
このビデオを繰り返し見たせいか、紅茶のメニューにヌワラエリヤの名前を見つけると、つい頼んでしまう。

ちなみに、自分の中で紅茶革命が起こった店がある。鎌倉にある「ブンブン紅茶店」だ。さかさまになったメレンゲケーキなど、フォトジェニックなケーキが有名だが、ものすごく美味しい紅茶を飲ませてくれる。

茶葉に柑橘のベルガモットオイルをしみ込ませたアールグレイは、口に含んだ瞬間、柑橘の香りが鼻孔を駆け抜け、頭の中が「ベルガモット!」とベルガモットでいっぱいになった(語彙力とは)。

いまだにこの衝撃を超える超えるアールグレイを飲んだことはない。

ただ、ふだんアールグレイをオーダーすることは少ない。ミルクティーとしても楽しみたいので、香りの強いアールグレイだとミルクの乳臭さが際立ってしまう。だから、ディンブラとかどちらにも転べる紅茶を頼みがちである。

横浜元町にある「kaoris」というティールームを訪れた際、メニューにロンドンフォグなるものがあった。

アールグレイティーをベースにしたミルクティーということだが、お店の人がおすすめだというので頼んでみた。

一口飲んだ瞬間、キリッとしたアールグレイと優しい甘さが調和していてびっくりした。いまだかつて乳臭いという理由でアールグレイのミルクティーを避けていたが、こんなにも美味しいミルクティーに変身できるのだ。

まさに紅茶事変である。

ロンドンフォグは、紅茶に温めたミルクとバニラシロップが加えられ、さらにフォームミルクがトッピングされたカナダで生まれた飲み物らしい。

ちなみにこのロンドンフォグ、なんとスターバックスのシークレットメニューとして紹介され、一部で人気を博したのだという。
アールグレイティーラテを注文し、バニラシロップ、フォームドミルクを追加するとロンドンフォグのできあがりである。
一度試してみたが、ちゃんと美味しいロンドンフォグであった。お試しあれ。


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