＃１　燃えた　

2022年8月、新型コロナウィルスに感染して自宅療養をしていた時に、プロデューサーから１通のメールが転送されてきた。
2018年3月から撮影・編集していたドキュメンタリー作品の先方から「編集監督を変えてほしい」という内容だった。編集監督？はじめて聞く単語。
理由は色々あるが「信頼関係を築くことができなかった」ということ。うわっ。と思った。「そうか、それならもっと早く言ってくれたらよかったのに。こんなに長い時間、信頼できない人と一緒に過ごして苦しかっただろうな」からの、
「なんで我慢してくれていたんだろう」と考えてみる。
つらつらと彼らの過去の言葉を思い出す。４年半の撮影を通して膨大な時間の共有をしていた。仕事仲間でも友達でもないけど、たしかに私はカメラを持ってずっと彼らを撮っていた。嘘の時間ではない。

ということで、この作品を辞めることにした。
辞めるというのは、少し違和感がある。
「燃えた」が近いかな。そこにあったものが、消えてなくなった。