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十日町市の「観光」を考える官民会議(仮称)第1回を開催しました!

はじめまして! 株式会社Ridilover(以下、「リディラバ」)の梅原です。

この記事では、十日町市役所産業観光部観光交流課(以下、「十日町市役所」)の委託事業として2020年12月23日(水)に実施した、『十日町市の「観光」を考える官民会議(仮称)第1回』の様子についてレポートをお届けします。

第2回の参加者も現在募集中です! 詳細はこちらから

※ 参加者は、十日町市内または新潟県内で観光に関する事業に携わっている方を対象としています。また、新型コロナウイルスの状況を踏まえ、居住地の要件等を別途定める場合がありますので、新潟県外在住等の場合には一度、株式会社Ridilover事業開発チーム(info.bd@ridilover.jp)までお問い合わせください。

そもそも、その会議、なに?

と思われる方が多いと思いますので、簡単に概要の説明を。

今のところちょっと長ったらしい名前に加え、「(仮称)」まで付いているので非常に分かりにくいと思うのですが、要は、

観光関連の民間事業者の皆さんと、十日町市役所の皆さんとで、十日町市の「観光」についてフラットな立場から色々議論しましょう!

という会議です。

よくある行政の「◯◯会議」だと、大きな会議室で、テーブルがロの字になっていて、発言順が決まっていて、「異議はありませんか?(しーん)」というイメージをお持ちな方も多いと思います。

が、この官民会議(仮称)では、参加者みんなで一つのテーブルを囲み、言いたいことがあれば自ら手を上げて、自由に発言することができます。

もちろん、時にはなかなか議論が進まないこともあります。そんなときのために、私たちリディラバのスタッフがファシリテーターとして参加し、場をほぐしつつ、話題を整理しつつ、参加者の皆さんが発言しやすい環境づくりを担っています。

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(第1回の様子。ちなみに「卒業アルバムの写真撮影を欠席した子供」のように右上にワイプで写っているのが筆者。なぜこんな不思議な光景になっているのかは後段でご説明します・・・)

なんでそんなこと始めたの?

実は、この官民会議(仮称)には前身があります。

2020年7月〜9月、十日町市役所と私たちリディラバは、『十日町市の「観光」を考えるワークショップ』という事業を行っていました。

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(2020年8月27日に開催した第3回ワークショップ@十日町市市民活動センター「十じろう」)

このワークショップでは、十日町市内で観光関連の企業・団体に属する8名の方にご参加いただき、様々なデータを見つめながら、「今後の十日町市の観光振興のために、どんな施策が必要か?」を話し合いました。

当日は様々な意見が出ましたが、特に多かったのが「こんな風に、市内の事業者同士で気軽に意見交換・情報共有を行う場は今までなかった」というもの。ワークショップの成果報告会でも、「地域資源の関係者の要望や思いを共有し、フラットに議論する場」の必要性が提言されました。

※ ワークショップの詳細はこちらの記事をご覧ください。さらに関心がある方は、当日ファシリテーターを務めたリディラバスタッフが書いたこちらの記事もオススメです。

ワークショップはやって終わりではなく、その後にどんなアクションに繋がるかが重要です。「関係者で集まって議論する場をちゃんと作って、今後も継続していこう」という十日町市役所の決断があり、今回実施した官民会議(仮称)の設置に繋がりました。

何を話したの?

議題もメンバーも固定せず、その時々で必要なテーマを話し合うことを目的に設置した官民会議(仮称)。

2020年12月23日(水)に実施した、『十日町市の「観光」を考える官民会議(仮称)第1回』では、観光関連の企業・団体に属する5名の方にご参加いただき、「十日町市観光産業振興ビジョン(仮称)」について、活発な議論が行われました。

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仰々しい名前ですし、またしても「(仮称)」がついていて一体なんなんだろうこれは、と思われる方も多いかもしれません。

振り返ると、2020年は本当に、コロナ禍に翻弄される1年でした。特に、人の往来があって成り立つ「観光」に携わる事業者の皆さんにおいては、その影響は計り知れないものがあったものと思います。そして残念ながら、年が変わった2021年1月時点でも、未だ収束の見通しが立たない状況です。

しかし、こうした時だからこそ、不必要に悲観的になることなく、「これまでと同じような観光振興を考えていて良いのだろうか?」「今をチャンスと捉えて、新しい観光振興のあり方を考えていく必要があるのではないか?」と前向きに考えていくことが、状況を切り開くはじめの一歩になるのではないでしょうか?

実際に、十日町市役所では来年度(2021年度)中を見据え、

ウィズコロナ・アフターコロナ時代に対応した観光全般の推進に関する中長期の方針

を策定し、今後の観光振興に道筋をつけようとしています。

これが、「十日町市観光産業振興ビジョン(仮称)」です。

もちろん、こんな重要な方針を、市役所の中だけで決めてしまい、完成後に皆さんにお披露目・・・といった「お上が決める」方式で作っていくわけにはいきません。

観光関連の企業・団体の皆さんと一緒に、悩み、知恵を出し合いながら作り上げていくために、官民会議(仮称)第1回で様々な議論を行いました。

以下、当日の様子を詳しくお伝えします!

【会議レポート】自宅からリモート参加も!? ニューノーマルな会議運営

官民会議(仮称)第1回は、2020年12月23日(水)14:00~17:00に開催しました。

参加企業・団体(各1名ずつ)(50音順)

・一般社団法人十日町市観光協会

・株式会社 HOME away from HOME Niigata

・株式会社ブリッジにいがた

・北越急行株式会社

・松之山温泉合同会社 まんま

会場となった十日町市市民交流センター「分じろう」には参加者の皆さんが続々集合するものの、ファシリテート・運営を担当した筆者(梅原)は、東京都小平市の自宅でPCの前に座っていました。

東京都における直近の新型コロナウイルスの状況を踏まえ、現地入りは断念。PC、プロジェクター、スピーカーマイクを駆使し、リモート参加で場の進行を務めました(その結果、冒頭の写真のように1人だけワイプで映り込むことになったのでした)。

もちろん、会場での消毒・マスク着用等も実施。感染症対策に留意したニューノーマルな会議運営が実現しました。

【会議レポート】市内観光産業の現状・コロナ禍は市内観光にどのような影響を与えたか?

官民会議(仮称)第1回ではまず、様々なデータをもとに、十日町市の観光に関する現状の振り返りを行いました。

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(観光客数の繁閑の差は激しく、市内に宿泊する人も少ない。月平均10回以上存在するイベント類が、実際どの程度観光関連産業の収益増につながったと言えるのか・・・)

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(従業員一人あたりの付加価値額を全国平均と比較した「労働生産性」で見ると、十日町市の観光関連産業は軒並み全国平均(1.0000)以下・・・)

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(さらに今年は多くのイベントがコロナ禍により中止に。一方、2020年11月時点の観光入込客数で見ると、特定の地域からは前年の2〜4倍の観光客が来訪している)

こうした現状の中で、これからの十日町市の観光振興はどのような形にしていくべきなのでしょうか?

【会議レポート】イベント偏重からの脱却・稼げる観光への転換

十日町市役所、そして私たちリディラバは、今回の会議開催に先立ち、今後の観光振興における基本的な理念の案を検討していました。

基本的な理念(今後大事にしたいこと)の案

・イベント偏重型の観光施策からの脱却
・観光関連事業者の皆さんが「稼げる」観光への転換

官民会議(仮称)第1回では、この案について様々な議論を行いました。基本的には賛同の声が多かったものの、「イベントが多いことが即・問題ではないのでは?」「『稼げる観光』は理想的だが実際どうやって実現するのか?」といった意見がありました。

以下、やり取りの一部を抜粋します。

イベントが多く、スタッフがたった一日のイベントにとても時間と労力をかけている現状は早く改善するのがよいと思う。
イベント単体で見ると収支が釣り合っておらず利益が薄い。それ自体も問題だが、そもそも「収支」をイベント単体で測ってよいのか。誰のどこまでを利益(費用)とし、その良し悪しは誰が判断できるのか、という議論が必要では。
イベントが多いこと自体が問題ではなく、実施主体(例えば行政)と関連業界(民間事業者)が企画段階で連携できていないことが問題だと思う。行政の課題(できないこと)を民間側が事業として解決していく形をつくりたい。
「稼げる観光」は理想的だが、その具体的な手法が今は思いつかない。
言い換えると、「持続的な観光」ということだと思うが、持続のためには改善、進化が必要で、そのためには元手が必要。
世の中の、観光に対するお金の使い方や使う量が今後急激に変わることないだろう。他自治体との競争の中でどうやって稼げるかは漠然としている。

【会議レポート】利益なき繁忙からの脱却・バリューチェーンで考える「稼げる観光」

「稼げる観光」を実現するヒントは、実は身近なところにあるのかもしれません。

官民会議(仮称)第1回では、ゲストトークとして、十日町市内で新たな形の観光業に取り組む「株式会社 HOME away from HOME Niigata 代表取締役 井比 晃」さんにお越しいただき、これまでの取組や、今後の理想像についてお話いただきました。

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井比さんが手掛ける「十日町棚田トレッキング」は、「価値あることに正当な対価を払ってくれる顧客」を呼び込むための取組です。

十日町市を代表する観光資源である「棚田」。しかし通常、棚田を見に来た観光客はその場で「お金を払う」ことがありません。これでは、いくら観光客が増えようとも、棚田を美しい姿に維持し続ける集落の方々には負担が生じるばかりです。

そこで、棚田とトレッキング、集落の方々との交流等を組み合わせて高単価の着地型観光商品を作り、そこから生まれた利益を集落の方々に「ガイド料」として還元する仕組みが、「十日町棚田トレッキング」の特徴になっています。

井比さんはこうした取組を経て、

今後はより、「今だけ、ここだけ、あなただけの世界」を作り上げ、付加価値の高い独自性の高い経験を提供することで、「利益なき繁忙からの脱却」につなげていきたい。

と言います。

また、

観光地としてのバリューチェーン(※)を整理することで、イベント単体ではなく、イベントを活用して誰がどう「稼ぐ」ことができるのかという、より広い視野での議論が出来るのではないか

との提案もありました。

※事業活動を「製造」「物流」「マーケティング」「サービス」「人事」・・・と機能別に分けた上で、どの部分(機能)が付加価値を生み出し、どの部分(機能)がそれを支えているのかを図式化したもの。

【会議レポート】稼げる観光を実現するためには?

様々なデータ、基本的な理念の案、そしてゲストトークの内容等を踏まえ、官民会議(仮称)第1回の最後には、各参加者から「これから事業として取り組みたいこと」を発表いただきました。

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参加者の発表内容(要約)

ヘルスケア(健康管理)アプリを通じて、十日町市を来訪するきっかけを作る。
将来を担う子供世代を取り込むため、その親世代の鉄道ファンに向けたツアーを造成する。
売電事業を通じて首都圏の学校と繋がりを作り、十日町市への来訪を促す。
見て消費する一過性の観光ではなく、自分の日常に戻ったときに豊かになる経験を持ち帰れる長期ワークショップ型の旅行商品を作る。
動画やブログ記事を通じて、観光資源の背景にある文化や暮らしを発信する。

また、相互の意見交換を通して「イベント偏重からの脱却・稼げる観光を実現するためにはどうしたら良いのか?」のヒントを探りました。

以下、やり取りの一部を引用します。

AKBグループのビジネスモデルのように、消費者が主体的に関われる(ナラティブな)商品が受けている。自分だけが幸せになるのではなく、離れた相手に関われることに価値を感じる人が最近増えているのでは。
鉄道ファンは基本的に鉄道にしか興味がない。そこに、旅程の工夫でどのようにして地域の他の魅力(食や、人との交流等)を伝えていくか。そのために、地元の方々との協力体制を作ることが課題になっている。
宿泊者を増やすためには、夜限定のコンテンツ(例えばバー)を作ればいい。しかし、それを運営するスタッフはどこにいるのか。移住・定住、副業に関する論点も重要。
商品の企画は地元でも出来る。一方、それを継続的に販路・顧客拡大していくことはマンパワー的に難しい。すでに多くの顧客を持っているパートナーと連携することができれば、より質の高いコンテンツづくりに集中できるのだが・・・
観光資源の背景にある文化や歴史を知ってもらうことは、何に繋がるのか?リピーターが増えるのか、一回の消費額が増えるのか。目的意識をはっきり持つことが重要では。

今後に向けて

今回の官民会議(仮称)第1回では、以上のとおり、「十日町市観光産業振興ビジョン(仮称)」の策定に向けた様々な議論を行いました。

十日町市役所とリディラバは今後、この議論の内容を整理し、「基本的な理念」や、「取組の方針」に関する素案を作成する予定です。

素案の内容は、2021年2月17日(水)14:00~17:00に開催を予定する官民会議(仮称)第2回でお示しし、さらに多くの観光関連事業者の皆さんからご意見をいただければと考えています。

現在、第2回の参加者を募集しておりますので、ご興味のある方は是非、以下からお申し込みください!

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十日町市の「観光」を考える官民会議(仮称)第2回

日時:2021年2月17日(水)14:00~17:00

場所:十日町市市民交流センター「分じろう」ルーム1、2

テーマ:十日町市観光産業振興ビジョン(仮称)について(「イベント偏重からの脱却・稼げる観光」って、実際どうやったら実現できるの? を皆さんと一緒に考えていく予定です!)

参加申込:こちらから

※ 参加者は、十日町市内または新潟県内で観光に関する事業に携わっている方を対象としています。また、新型コロナウイルスの状況を踏まえ、居住地の要件等を別途定める場合がありますので、新潟県外在住等の場合には一度、株式会社Ridilover事業開発チーム(info.bd@ridilover.jp)までお問い合わせください。

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