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知ろう!コントラクトブリッジ


コントラクトブリッジをご存知だろうか。

最も歴史の長いトランプゲームの一つであり、現在でもまあまあの数のプレーヤーがいる。世界大会には数千人が集まるという。20世紀のアメリカでは一昔前の日本で言う麻雀のような立ち位置で親しまれていたらしい。

例えば、有名な「サンドウィッチはカードゲーム好きな伯爵がゲームをしながら食べられる物が欲しくて作った」という逸話に出てくるゲームはブリッジとされている。「トランプ」という言葉は実はコントラクトブリッジ内の用語で、ブリッジを遊んでいる外国人が「トランプ!」と言ってるのを聞いて、昔の日本人はそれがカードの名前だと思ってしまったらしい。トランプには伝統的に二種類の大きさがあり、太い方は「ポーカーサイズ」、細い方は「ブリッジサイズ」と呼ばれている。ブリッジにはだいたいそのくらいの歴史がある。


ルールはややこしいが、簡単に言ってしまえばUNOと大富豪を併せたようなゲームだ。ただこの表現には語弊がある。こんなことをブリッジプレーヤーに言ったら殺されるだろう。というのもUNOと大富豪ブリッジの偽物だからだ。イギリス人にアメリカ英語が元祖だと思ったとか言うのと同じだ。

何はともあれルールを説明しよう。
添付してある画像はiOSアプリのスクショである。app storeおよびgoogle playのリンクは記事最下部にある。


ざっくりしたルール説明

コントラクトブリッジは2対2で争うチームゲームだ。ただ体裁上は個人戦であり、ちょうど麻雀の対面コンビ打ちのような感じになる。麻雀の半荘戦のようにいくつかの局をプレイして、最終獲得ポイントの多いプレーヤー(ペア)が勝利する。

一局(ラウンド)の流れ

52枚のカードを4人に13枚ずつ配る。

1人13枚

時計回りに1人1枚ずつカードを出し、4人の中で最も強いカードを出した人のいるペアが1ポイント獲得する。

Aの勝ち

出したカードを片付け、前回の勝者からまた1枚ずつ時計回りにカードを出す。
これを手札13枚を使い切るまで繰り返す。
最終的なポイントを最も稼いだペアが局の勝者となる。

ざっくり言えば1枚ずつやる大富豪みたいなものだ。

そしてこれを複数ラウンド繰り返し、最も多くのポイントを稼いだプレーヤー(ペア)が半荘の勝者となる。


カードの強さ
カードには序列があり、出せる条件の中で一番強いカードを出した人が勝利となる。

・数字
2が一番弱く、Aが一番強い。
同じ条件の元で出されたカードであればAに近い方が勝者となる。

・カードを出すときの条件
条件1:各巡では最初に出されたカードと同じマークのカードを出さなければならない。UNOの色縛りと同じだ。
1番目のプレーヤーがハートを出した場合、他の三人はその巡で必ずハートを出さなければならない。ハートがなかった場合、UNOと違ってスキップにはならず他のカードを出すことになるが、その巡は負け扱いになる。同じマークの出せるカードが手札にあるのに他のカードを出してはいけない。

ハートを出すことができないため、他のカードを出すしかない(負け)


条件2:切り札(トランプ)を出した場合はポイント獲得となる。
各局には切り札になるマーク(スート)が基本的に設定されており、これを「トランプ」と呼ぶ。ドラのようなものだ。例えば、局の切り札がスペードだとする。1番目のプレーヤーがハートを出し、他の二人もハートを出した。ここであなたがスペードを出せば、この巡はあなたが無条件でポイント獲得となる。

スペードが切り札のため、無条件に勝ちとなる


ただし、あくまで同じマークのカードが無いときにしか他のマークは出すことができないため、ハートのカードがあるのにスペードを出すことはできない。

同じマークの出せるカードが他にある場合は、切り札であっても出すことはできない

また、切り札を出したプレーヤーが複数居る場合、数字の強い方の勝ちとなる。

各巡の勝者は次の巡で1枚目のカードを決めることができるため、上手く行けばずっと俺のターンにできる。いかにレ○プゲーに持ち込むかがキモと言えるだろう。


ビッド(オークション)

各ゲームの前にはビッドというフェーズがあり、そこではプレーヤーが自分に有利なゲーム設定となるように競り合う。

カードの構成次第でどのカードを切り札にしたいかというのは変わってくる。手札にスペードがたくさんあるのでスペードをトランプにしたいと思ったら、ビッドで「スペードをトランプにすれば俺は7(+1)点勝つぞ!」と宣言することができる。相手のプレーヤーは自分の手札に自信がなければ「パス」することでそれを受け入れる事ができるし、不服があれば「いや、俺はクラブをトランプにしたい!8(+2)点は勝つ!」と条件を釣り上げることと引き換えに自分に有利なゲーム設定にできる。味方のプレーヤーは「俺もスペードあるぜ!9(+3)点はいけるだろ!相棒!」と更に吊り上げたりもする。「その条件ほんとにできるのかよ!」と相手の得点とペナルティを倍にするアクションもあり、「できらぁ!」と更にそれを倍にするアクションもある。最終的に落札に成功するとその条件がコントラクト(契約)となり、落札者側が達成するノルマとなる。何らかの理由でダイヤクラブの得点はスペードハートと比べて低い。また、トランプのないコントラクト(NT)も存在し、特にNTで勝つのは難しいため、同じ得点差のトランプありコントラクトと比べてもらえるポイントも多い。

左のマークがトランプにするマークで、右の数字は勝利数の条件を表す。
対面はダイヤの引きが良かったのかもしれない。
このやりとりには暗号のようなものがあり、私は自分の手札の様子を伝えるためにスペードで応答した。

  

条件が難しくなるほどクリアしたときの獲得ポイントが増加する。例えば1Sを宣言して+4点取ったときと、4Sを宣言して+4点を取ったときの差は2倍以上有る。しかし、同時にペナルティも増えるし、失敗すれば取れたはずの得点を逃すことになるため、そこに駆け引きが存在する。なるべく厳しい条件で特大ポイントを狙いつつ、吐いた唾を飲めるかどうかを見極めなければいけないのだ。日和ってビッドを低くした結果取れるはずの得点を逃した場合、それは損失と同義である。ゲームの前段階ではあるが、このビッドがコントラクトブリッジの最も重要な部分であると言っても過言ではない。バックギャモンのダブリングキューブのように、ゲームに新たな複雑性をもたらしている。

ガチのブリッジプレーヤーはこのビッドでSAYCというルールを基に様々な情報をやりとりする。「手札に何枚の〇〇があるよ!」だとか、「HCP(強いカードの点数みたいなもの)はいくつだよ!」、「A何枚有るか教えてくれ」といった事柄をビッドで伝えるのだ。相手もそれをもとに相手の手札を予想するため、ビッドの経過すら重要な情報源となる。また、ビッドの段階ではトランプのマークにも序列があり、宣言できる順番が異なるため、その辺りにも注意を払いながらハンドを探り合う必要がある。



ビッドの後

ビッドが終わったら、落札者が「ディクレアラー(宣言者)」となり、ディクレアラーのペアは「ダミー」となる。ダミーはその局に参加することはできず、代わりに手札を公開して、ディクレアラーがチームの二人分のカードをプレイする。ディクレアラーは二人分のカードを操作しつつ自分が提示した条件を達成できるようにし、他の二人は「ディフェンス」となりディクレアラーを阻止する。

ディクレアラー側はビッドで強気になるだけの手札があり、また二人分の手札が同時に見えているので、どれだけ独壇場を展開できるかを詰将棋のように考え抜く必要がある。一方で片割れのダミーに特にやることはない。

例えばこの場合、オナーをを抑えているスートが多いため、対面とキャッチボールをするような形で強いカードと弱いカードを切り続ければ相手チームになす術はない。ディクレアラーのダイヤとスペードがAのシングルトンのため、AダイヤやAスペードをどこかで出して自分のダイヤスペードをボイドにしつつ相手のKダイヤやJQスペードが出て来れば潰し、その後はダミーのQJダイヤやAKQJクラブ、AKスペード辺りで攻撃をしつつ、相手の強いダイヤや強いスペードが出てきた場合はトランプでラフることができる。ハートが相手に多い一方でハートのローカードがディクレアラーにあるのが心許ないように見えるが、ダミーが最強確定のダイヤスペードで攻撃している間、ディクレアラーはハートのルーザーを消すことができるし、こちらからハートをリードして上のハートを出された場合、ダミーにはハートがないためトランプで受けることができるだろう。また、トランプのクラブも多く抑えているため、こちらがクラブで先に攻撃を仕掛ければ相手のクラブは枯れ、トランプで主導権を奪われる心配はなくなる。9枚抑えているので、相手のクラブは多くても4巡で枯れるし、こっちには2枚以上のアドが残る。といった具合で、相手にほとんど点を取らせずにゲームを進められそうだ。

ただ、これをパズルのように完璧に組み合わせないとペナルティを食うことになる。定石はあるが、相手のカードの出方を見て対応を変えなければいけない局面もあるため一筋縄ではいかない。上の例では13トリック中12回勝たないと敗北である。12回は勝てそうだと思ったし、+6コントラクトの得点は非常に大きいためビッドでそう宣言した。ちなみに失敗した。1点差。


以上が大体のルールである。


まるでよくわからなかったと思う。何が楽しいのかもわからなかったと思う。私の説明が冗長だったのは間違いない。言い訳させてもらうが、多分詳細なルール説明を読んでも、プレイしない限り一生理解できないだろう。とにかく奥深すぎる。気になった人はアプリをやってみてほしい。

以上だ。


私がこの記事で伝えたかったことはこれといってない。
皆に始めてもらいたいというわけでもないし、別に私が熱中しているというわけでもない。そもそも私はこういうゲームが苦手だ。こんなUNOと大富豪と麻雀とバックギャモンを悪魔合体させたみたいなゲームに興味を持つ人がたくさんいるとも思っていない。
世界大会が開かれるようなトランプゲームが(ポーカー以外で)あるよ、こんな奥深いトランプゲームがあるよと、ただそれだけである。


もし興味が湧いたなら、いいアプリがあるので落として遊んでみるといいだろう。英語だが出来が良いし、初歩の初歩から教えてくれるので中々楽しめるはずだ。

さようなら。

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