ミスと開業と私~その3(開業前後)

そうだ、備品買おう

早めにやっておけばいいことをやらなかったせいで、合格後登録するまでに5ヶ月(7月1日登録でした)かかりました。段取りがちゃんとできていれば4月1日には登録可能のはずですが、3ヶ月も遅れました。北海道は月に1度の登録なので、書類の提出が月締めの後だと1ヶ月延びることになります。

備品の購入についてもずいぶん迷いました。

PCを使わずに業務を行うということはありえないので、PCを新調するのは絶対条件でした。それまで使っていたノートPCはメモリが4GBしかなく、ちょっと長い文章をコピペしようとするとフリーズすることもしばしばだったのです。

なので、メモリ16GBでCorei7のデスクトップを購入しました。モニターも24インチと26インチのワイドモニターをデュアルで付けました。手引きを見ながら書類を作成することの多い行政書士にとって、モニターのサイズはとても大事でしょう。ノートPCだけで作業されている方もおられるでしょうが、私としてはデュアルモニターはぜひ推したいところです。必然的にそれが乗せられるサイズの机も必要になるでしょうし、長時間座ることを考えると、それなりの質の椅子も必要でしょう。この辺りはほぼ必須ではないかと思っています。

ちなみに、今、ブラウザにChromeを使い、タブを10個くらい開くとメモリが7GBくらい稼働します。なので8GBだと足りないのではないかと思います。タブそんな開かないだろって思うかもしれませんが、調べ物をしていてリンクを次々に開いていくとそれくらいは開いちゃうことあります。

プリンターどうしよう

プリンターが一番迷いました。家庭用のものを使うか、新たに買うか。情報収集したところ、A3を印刷できる方が望ましいという意見がかなり見受けられましたが、予算の兼ね合いもあります。悩みに悩んで、とりあえずはそれまで使っていた家庭用のプリンター(A4カラーレーザー)をそのまま使い続けることにしました。

ですが、結果的には開業後3ヶ月ほど経った9月終わりに、複合機をリースすることになりました。きっかけは申請取次の研修です。この研修の終わりには考査が行われ、不合格だと取次の資格がもらえませんが、問題集がHPに掲載されており、それをやっておけばほぼ合格します。

となれば当然それをプリントアウトして予習することになるのですが、これが100枚くらいあります。我が家の家庭用プリンターは枚数が多くなると途中で死にそうな音を出してくるので、たまたま営業に来たリース業者と契約してしまいました。リース料は月額1万円弱ですが、FAXとスキャンがあるので便利なことは間違いありません。スキャンしたものがPDFでPCの専用ファイルに自動保存される、というのはめっちゃ便利です。

家庭用でA3を印刷できるものを買う、という選択肢もあるとは思いますが、行政書士業務はとにかく大量に印刷します。手引きもそうですし、申請書類もそうです。控えを持っておくわけですから、申請書類が15枚あったらそれは30枚印刷するということですからね。

また、私が古い人間だからかもしれませんが、原案を起案した後、最後の確認はどうしても紙ベースでやることになります。いわゆる朱入れ作業ですね。

となるとトナーや紙の管理作業というものが必要になります。トナーの予備なんかすぐ忘れるものの筆頭みたいなものなので、リース機の、オンラインで管理してくれて残量が少なくなると勝手に補充に来てくれるというフローはかなり大きなメリットでした。用紙も注文で持って行きますよということだったんですが、これはアマゾンの定期便で取っています。

最終的にリース機の導入を決断した理由は3つ。前述のトナー管理から解放されることと、顧問契約が取れて固定収入のめどが立ったこと、消費税が8%から10%になる直前だったことです。ちなみに、印刷コスト的には若干割高になります。

総合的に考えると、リースしたのは個人的には正解だったと思っていますが、この辺は印刷枚数との兼ね合いでタイミングを決めればいいのではと思います。目安となるのはおそらく月の印刷枚数が200枚を超えるようになったら、ではないでしょうか。それくらいの量を超えてくると、家庭用ではきつくなってくると思います。

FAXは必要

FAXについてですが、これは絶対に導入するべきです。行政書士業界では頻繁に使います。私の使っていた家庭用プリンターはFAXがついていなかったので、新しく買おうかと思っていたのですが、「eFAX」というものがあることを知り、それにしました。

これはFAXの送受信をPDFの形でするもので、受信した内容が添付ファイルの形で登録したメールアドレスに送られてきます。なのでPCやスマホなどで内容を見てからプリントすることができます。月額の費用は150枚まで固定料金(税込1650円)ですが、まず超えないだろうと思います。

但し、使える市外局番が限定されており、北海道だと札幌市、旭川市、函館市の市外局番しか選択肢がありません。東京なら「03」で始まりさえすればさほど違和感はありませんが、地方だと少し違和感があります。これは要注意かと思います。

現在私の事務所は複合機のFAX番号とこのeFAXの番号の2つを併用しています。最初に作った名刺にeFAXのFAX番号を印刷してしまっているので、当面その番号を使わざるを得ません。これは予定外でした。

印鑑は大事

次に揃えるべきなのは印鑑です。印鑑文化に疑問を呈されることの多い昨今ですが、そうそうすぐにはなくならない文化であろうとも思います。

まず、職印は1つでしょうが、認印は1つである必要が全くありませんので、3つくらい用意しておくべきです。印鑑タワーに入っているような名前の方はそれほど費用も掛からないでしょうが、変わった名前の方はそれなりの出費になります。私はインターネットで注文しましたが、1本800円くらいしました。

車庫証明などで、受領時に認印を求められることがありますが、そこで印鑑を忘れたら悲惨です。もうお察しでしょうが、もちろん私は忘れたことがあります。たまたま近くの警察署だったから良かったものの、広い北海道では70kmくらい離れた警察署まで行くこともあるわけで、そこで忘れたらシャレになりません。のこのこ取りに戻ってその日のうちに受領できなかったら依頼人に損害を与えかねません。

行政書士損害賠償責任保険を利用する理由として「印章を忘れたために許可証の受領遅滞を発生させ依頼人に損害を与えた」とか書きたくありません。

それ以来、カバンに1つ、車に1つ、事務所に1つの計3つの認印を用意しています。名刺入れも同じようにカバンと車に1つずつ入れてあります。財布とスマホケースにも数枚入っています。ちなみに車とスマホケースには非常用紙幣も隠してあります。スマホの充電ケーブルもカバンと車に入っていますがモバイルバッテリーも当然持ち歩いています。小学生レベルですが仕方がありません。

バックアップはクラウドとUSBメモリ2つに取っています。USBメモリは小さいからなくしそうで怖いのです。書類が肝の職業なので、バックアップ大事。クラウドバックアップは自動で取ってくれるので忘れることはありません。

前回も書きましたが、私は物事に熱中すると他のことがスッポリ抜ける傾向があります。考え事をしているといろいろ忘れます(年齢のせいもあるかもしれません)。書類作成はそれなりに集中するので、必然的に忘れる機会も増えます。行政書士登録をした時に「これからは事前チェックを怠らず忘れ物をしない男になろう!」と誓ったのですが、あえなく撃沈しました。なぜだか知りませんが、チェックしても忘れ物は減りません。人間そう簡単に変われません。

昨今自動車の「ながら運転」の罰則が強化されたこともあり、ハンズフリーのイヤホンを付けているのですが、このイヤホンなどは1年経たないうちに2つ紛失しました。現在3代目です。EXILEかっつの。

なので、業務を「忘れても大丈夫なようにできるならある程度コストをかけてもそうしておく」ように組み立てることにしています。後述しますが、失敗談の中に「おいおい」って引くくらい忘れ物やうっかりが多いです。

ゴム印は事務所名、自分の名前、住所、電話番号、FAX番号、メールアドレス、HPは最初から必要でしょう。この他、業務をこなしていく上で、「不足分受取人払」のゴム印はかなり使うなと実感し、新たに作りました。

「不足分受取人払」のゴム印は返信用封筒に押すものですが、戸籍を郵送で取得する時などに、84円、120円では足りないことがしばしばあります。だからと言って、94円、140円切手を毎回貼るのはコスト的に無駄かなということで、このゴム印を押しておくわけです。

すると、郵便屋さんが郵便料金が不足している時でも便宜を図って配達してくれます。但し、不足している郵便物は差出人の所に戻るのが原則のようで、あくまで郵便屋さんの厚意であることには気を付けないといけません。(配達時に、便宜を図って配達したよ、という旨の記載が付いています)

それから控え印ですね。許認可業務をやっていれば申請書類を役所に提出するわけですが、その控えをもらう以上、予め控え印を押しておくことになります。

こまごました文具って?

もう1つ、備品で絶対に必要だなと思うのはレターケース。これははっきり言って5段や10段では全く足りません。最低20段分くらいは必要でしょう。それくらい書類の分類は大事です。

リサイクルショップに行ってみて、15段×3列のような大きなレターケースがもし見つかったら即買いだと思います。新品を買うと軽く3~4万は飛ぶので。私もけっこう探していますが十勝はあまり出てきませんね。

それから金庫とシュレッダー。それほど大きなお金を置いておくことはまずないでしょうが、重要書類はやはり鍵付きのところに保管する必要があります。鍵付きの書庫でもいいかもしれませんが、あまりチャチなものだと困りそうな気もします。そういうのはレンタルオフィスの先生方はどうされているんでしょう。自宅でしょうか。

シュレッダーも守秘義務や個人情報保護の関係で必要になります。大量に紙を消費する職業ですが、裏紙としてメモ用紙に使おうなどという発想は控えるべきですよね。マイクロカット(2mm以下の裁断サイズ)以上の機種を選んだ方がいいでしょう。これらは開業時にあった方がいいように思います。

意外と大きな出費になるのがこまごました文具です。ボールペンや、製本テープ、バインダーやファイルなどはかなり使います。ステイプラー(ホッチキス)も百均のものなんか使っていられません。4~50枚は綴じられるようなちゃんとしたやつが必要になります。

また、頻繁に郵送で送ることのある送付先は宛先ラベルを作っておくべきだと思います。これは無料ソフトがあるので特に難しいものではありません。アナログ営業でもお礼状や年賀状、DMなどで住所録は使いますから大事です。

他のソフトウェアについては、Word、Excel、ウィルスソフトは確実に必要になるのではないかと思います。それからPDFの書き込みソフト。私は「いきなりPDF」というソフトを購入しましたが、本家の「AdobePDF」を買うべきだったかなと思っています。これは買い切りソフトではなくサブスクリプション契約になるので、ちょっと日和ってしましましたが、日和るような職種ではありませんでした。PDFに書き込む機会めっちゃあります。

他に有料ソフトウェアは買っていません。CADは無料のJw-cadをインストールしていますが、これはまだまだ使いこなせていません。私はWordやExcelは完全に独学で、大したことはできないのですが、PCを使わずに業務をしていくというのは全く考えていないので、これからも必要に応じてPC関連には投資していくことになると思います。

その後、顧問先で作業などをする機会が出てきたので、11月くらいにそこそこ高性能のノートPCを購入しました。

この辺の備品を全て揃えると80万円ほどかかると思います。家具を新調するともっとかかるでしょう。この他、インターネットのプロバイダ料金、ICレコーダーなんかも必要に応じて出ていく出費です。ICレコーダーは議事録作成依頼を受けた時に使いますが、言った言わないの話を防止するためにも、了承を得て録音するといいように思います。

加除式書籍はなんだかんだ10冊くらい買いましたが、残念ながら今のところほとんどインテリアの域を出ません。よく使うのは2冊くらいです。なので、実務書は取扱業務に応じて適したものを先輩方に聞いていくのが最善だと思います。インテリアで買うなら中古でいいので。最初に揃えた書籍の費用は六法なども含めて12万円くらいかかりました。

事務所兼自宅を新たに借りて引っ越した費用も含めると、最終的に開業費用は130万円を少し超えたくらいでした。書籍費を除けば買う必要のなかったものはありませんので、この中でご自身の必要に応じて増減してくるのではないかと思います。PCなどは新調する必要のない方もいるでしょうから。

HP関連の料金(だいたい1年か2年分の前払いです)もかかってきますが、HPについては営業戦略の話ともかぶるので次回に。

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