ミスと開業と私~その4(経営戦略について)

これで開業していいのか

経営戦略というと大仰ですが、実際にはそれほど大したことは考えていません。自分には同窓の友人や親戚などの地縁がないことを考えれば、WEB集客を意識するのは当然になりますし、異業種交流会や支部活動に参加していくことも必然になってきます。こんなのSWOT分析とも言えませんね。

他士業との連携が大事な業種ですので、信頼できる他士業の先生をできるだけ早く見つけるべきです。私は弁護士については大学の先輩が十勝で事務所を開いており、以前から面識がありましたので開業後すぐにご挨拶に伺いました。その後もずいぶん気にかけていただいています。

何度かお仕事もお願いしていますし、業際(非弁行為)について不明な時は必ず確認しています。法律事務などに該当するか否かを、きちんと教えていただけるというのは民事法務をやっていく上でとても大事です。その他司法書士、税理士(会計士)、社労士はぜひ探しておかれるといいと思います。これは縁も大事ですね。

ただ、連携を考えるのであれば、何よりもまず自分が信頼される行政書士にならないといけないだろうと思います。大丈夫かこいつ、と思われているうちは絶対に紹介など来ないでしょう。実際今のところ来ません。まだまだ精進が足りません。

これは以前ツイートしましたが、以前、身内がお世話になった税理士さんに開業のご挨拶に伺おうとしたところ、特にお付き合いもできませんので無用に願いますと挨拶もさせてもらえませんでした。とても情けなかったですが、それもある意味当然です。でもいつか向こうから挨拶させてみたい気もします(笑)

次にHPの話

十勝は横のつながりがとても強い地域なので、行政書士に限らず士業事務所のHPはあまり多くありません。とすればSEO対策の甲斐もあります。「地域名 行政書士」「業種 行政書士」で検索したときに1枚目に来るようにすることが最低限の目標ではないかという気はします。もちろん大都市部ではまた違ってくるはずで、これが絶対的正解というものはないでしょうが。

HPビルダーはJimdoを使いました。Wordpressを使っている方が多いように思いますが、私にとってはこちらの方が直感的に操作しやすく感じたのでこちらを選びました。身内に手伝ってもらいながら制作したので、費用はあまりかけていません。

Jimdoの有料プランとGoogleクラウドサービスの有料プランを利用しています。合わせて月額3,000円くらいでしょうか。年額で36,000円ということになりますね。高コストのように思うかもしれませんが、自動車関連業務などはそこそこHP経由で来るので、それだけでもコストは捻出できます。私の場合は終活関連の業務を受任できたので、それだけでおつりが来ました。

ただ、HPに載せる自分の写真はきちんと予算を組んでプロに頼むべきだったなと思います。私は笑うと目が無くなるので笑顔の写真を載せにくかったのです。これはまた日を改めて撮り直そうと思っています。や、痩せたらですね。

何よりも、HPで大事なのは更新頻度とコンテンツの内容でしょう。放置するくらいなら作らない方がマシかもしれません。内容を充実させることはすなわち業務について調べ、学ぶことに他なりませんから、これはどのみち引退するまでずっとしなければならないことでもあります。もっともっと充実させていかないといけないと思っています。

こういったIT関連が苦手な方は、外注するしかないでしょう。行政書士業務を理解している業者、もしくは行政書士でそういった業務も受けている方に頼むことになるかと思います。Twitterにいらっしゃる先生は前回に紹介しましたね。

費用は当然かかるでしょうが、これから開業する人に、HPを持たない、という選択はないのではないかと思います。行政書士業界は定年後に開業する方も多く、そういった方はアナログ集客を中心にされているのかなと思いますが、50代以下の世代はまずスマホで情報収集するはずです。この先10年を見据えれば、よほど強力な人脈を持っている方でない限り、HP経由の受注を意識するべきではないでしょうか。

いずれにしてもHPはこれからも折に触れて手を入れていくつもりです。十勝にHPを持っている士業の先生が少ないのなら、むしろ自分が一番手になれるチャンスです。今は総合型のHPですが、業務特化型HPを何種類か作っていきたいと思っています。

結局アナログ?

とはいえ、なんだかんだ言ってもアナログ経由の依頼の方が多い業種ではあります。そこでもう一つの営業戦略の柱である人脈作りです。十勝は商圏人口40万人程度の小さな商圏ですので、大都市部とはかなり違った戦略になってくると思うのですが、これは無視することはできません。

とはいえ、実のところ、これは未だに試行錯誤です。いくつか異業種交流会に参加しましたが、ぴったりくる感じはしませんでした。合うかもしれないというところもありましたが、そこの定例会の開催日程と自分の都合が合わないことが多く、参加資格(定例会は、年に6割以上の参加を求められます)を満たせそうになくなったため断念しました。

異業種交流会にもいろいろテイストがあるので、合わないなと思ったらすっぱり切った方がいいかもしれません。交流会という名の飲み会に参加してウェーイで終わっていたら何にもなりません。引き続き模索していくことになりますね。

その他、地域の商店街と商工会議所にも加入しています。どれも相談までで受任にはつながっていませんが、この手の人脈作りはすぐに結果を求めるものではないと思うので、これはしばらく継続してみるつもりでいます。取捨選択は常に必要なのでしょう。

思いのほかご縁に恵まれたのは大学のOB会です。参加してみたところ、すぐにスポットの案件をいただきました。それだけでなく、業務完了後に顧問契約にまでつながりました。行政書士事務所の運営コストはそれほど大きくないので、その顧問料だけで運営コストをほぼまかなえるという安心感はものすごく大きかったです。正月の駅伝とラグビー以外ではあまり意識しない母校ですが、ちょっと母校愛に目覚めました。

言うまでもないことですが、企業との顧問契約を意識するなら、補助金や融資関連は知悉する必要がありますし契約の知識も必須になってきます。民法の改正もありましたから、知識のアップデートは不可欠ですよね。

経営を考えた場合、顧問契約は非常に大きいものがありますが、その業種や業態に合った知識をアップデートしていかなければなりませんし、場合によっては緊急対応も必要になります。土日夜間もある程度は覚悟するべきでしょう。その辺は自分で選択していくことになりますね。

業際を守るというのは

業際は守らなければなりません。ですが、業際を超えた相談をされた時にも、それについて一切回答できません、というのもダメではないかと思います。

例えば、雇用調整助成金について聞かれたら、最低限、制度の概要を説明した上で、それは社労士さんの専門業務ですので詳細や手続きは社労士さんにお願いしてください、くらいは言えないといけないのではないでしょうか。紹介できればなおいいのですが、雇用調整助成金をスポットで受けていただける社労士さんのお知り合いは私にはいませんでした。

あんたが言うから社労士さんに電話したら断られたって言われて途方にくれましたが、できないものはできないと言うことも必要です。社労士さんがスポット依頼を断る理由も何となくわかりますし。

ただし業際がわからないのは論外です。どの先輩もおっしゃっていますが、行政書士法や隣接士業法はきちんと読むべきです。

例えば、契約書に貼る印紙の金額をどうやって決めるか、だれに相談したらいいか謎でした。調べてみて、実は税理士業務ではない(税理士法第2条で印紙税については除外されています)と知ってたまげました。ソースが確認できていないのですが、昔は行政書士業務だったらしいです。

印紙税の金額は該当する文書に応じた表になってはいますが、請負と委任の線引きが微妙だったりでわからないものは税務署で相談するしかありません。でも、税務署の職員の方はなぜそういう判断になったのかとかはあまり説明してくれません。

しかも契約金額を¥11,000,000(税込)と記載するのと、¥10,000,000(税別)消費税¥1,000,000と記載するのでは貼るべき印紙の金額が変わることになっています。

請負と委任の区別は契約内容の実態を見る、とか言っておいて、実態の変わらない金額表示は外形で判断するっておかしくないかなって思いませんか。そここそ実態で見てほしい。軽減税率のせいなのかな。

いずれにしてもそういう点でも注意が必要になってきます。行政書士業務に対する報酬に発行する領収書には印紙は不要になっていますが、行政書士法人だと必要だそうです。これも謎。ともあれ民事法務は難しいですね。こういう点でも電子契約が普及してほしいなと思います。

別案件ですが、就業規則を頼まれた時も大変困りました。行政書士会では行政書士業務(共管業務)だと主張していますが、自分の解釈では社労士業務に思えます。その一方、行政書士には受任義務がありますので、断る場合には正当事由がなくてはなりません。こっちも食べていかないといけないので無償ならいいという問題でもありません。けっこう悩みましたね。

宣伝、広告

支部活動はできる限り参加しました。これも幸運にも役員の方々に歓迎していただき、お仕事の紹介までいただきました。業務についていろいろと教えてもいただきました。支部活動は裏方業務も多く、必ずしもメリットとは限らないと言われていますし、実際そういう側面もあるかと思いますが、ご恩返しはしないといけないと思って、今年度から支部の役員にもなりました。私にとっては参加は大吉だったなと思っています。

広告やチラシについては、コストと効果を測定しながら出しています。チラシはまだ撒いていないのですが、郵便局の封筒の枠外広告と、地域の時刻表の枠外広告には時期をずらして出稿しました。今のところ、あまり効果があるようには思えませんが、これは1年程度で結論の出せるものではないかなと思っています。

チラシもいずれ撒こうと思っています。これについては、効果測定をする上で、どの媒体が効果があるかをある程度正確に把握したいので時期が重複しないように意識しています。電話で相談が来た場合に、どの媒体を見て電話をしてきたかということを確認するトークは私にとっては難易度が高く思えました。訊くことがたくさんあって忘れてしまいます。

チラシは地元の新聞に折り込みで入れるか、自分であるいはポスティング業者に頼んで地域を絞って撒くかも、検討中です。チラシに記載する業務も絞る必要があると思うので、終活、許認可、民事法務等の中でどの業務をメインに据えるかももう少し練ろうと考えています。

HPやチラシなどの宣伝広告面の投資については、おそらく小規模事業者持続化補助金の対象になると思って準備をしています。また、事務所が通りから少し引っ込んだところにあるので、道路に面したところに大きめの看板を出そうかとも思っています。これも併せて持続化補助金に申し込みたいと考えています。

業務の報酬額の設定については、諸先輩方に教えを請いました。結果、ほとんど横並びに設定していますが、自信のある業務が出来てきたら値上げしていきたいと思っています。安請け合いをしないというのは基本ですが、コロナ関連での相談については思うところがあって基本的に相談無料にしています。

実際の業務については次回に。失敗談が中心になるかと思います。



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