#186シグナル&ノイズ

2008年の米国大統領選挙の結果をほぼ完璧に当てたことで名を博したネイト・シルバーによる予測に関する書。
予測は、それが重要であると同様の理由で難しい、それは客観的な現実と主観的な現実が交錯するところにあるからだ。シグナルをノイズと区別するためには、科学的な知識と自己認識も必要。予測できないものを受け入れる冷静さと予測できるものを予測する勇気、そしてその違いを見分ける知恵がそういったものにあたるのだろう。

・グーテンベルクの時代には、5ページ毎に200ドルに相当する金貨が必要だった。印刷機そして現代はインターネットの出現によって情報が爆発的に増えている時代。

・人間というものは物事を自分の好きなように解釈して、本来の意味を見失うことがある。ノイズとデータを区別する取り組みをしている人には重要な点。

・驚くべきことに、1970年だいと1980年代のコンピューターブームは一時的に生産性を下げたのである。

・人間の脳は進化の過程でランダムの中にパターンを見出してしまう。それがノイズなのかシグナルかを区別しなければならない。

・客観的な真実の追求を進めると同時に、客観的真実の理解が不十分であることを理解すべき。

・格付け会社は、住宅バブルが弾ける可能性に関してひどく恐れた。人間は自分の生活を脅かすリスクを無視することに長けている。

・知っているものと知らないものの間には溝があることを理解することが必要。

・世界を複雑なものとしてみて、多くの基本的な問題は解決不能、あるいは本質的に予測不能だと思っている。

・使える知識が増えれば増えるほど自分のバイアスも深くなることを認識すべき。

・予測を確率的に考えることが必要。

・優れた予測システムは、運の影響の受けやすさをデータ毎に相対的に把握することができる。

・新しいアイデアは他の人が面倒くさがって取り組まない問題の細部に宿っているものだ。

・ノイズだらけのデータと十分に解明されていない理論で予測を行えば、ノイズをシグナルだと受け止め、誤った警報が流れることになる。

・経済予測には、経済統計だけから因果関係を見つけるのが困難だということ、経済は常に動いているのである景気循環で有効な経済行為の説明が別の景気循環でも適切かはわからない、エコノミストが使用するデータ自体が有用でないことから起因する。

・成功する人が将来を見るとき、そこには点在する確率分布が広がっていて、新たな情報が入るたびに更新される。

・ベイズは、証拠を集めれば集めるほど真実に近づいていくという推定を通して世界を学ぶ方法である。

・データの中の意味のある関係はデータが指数的に増えるのに比べると桁違いに少ない。

・ポーカーの損益曲線ではトッププレーヤーの4倍もワーストプレーヤーが損をしている。

・金融市場ではノイズのおかげで取引が成り立ち、金融資産の価格を認識することができる。市場を非効率なものにしているのもノイズである。市場が効率的であると考えるなら取引をすること自体が否定されるし結果として市場はなくなる。

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