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「自然体験」は「想定外」の塊

 自然に囲まれた中で過ごす時間は、想定外の連続だ。MHが産まれてから夏に横浜に引っ越すまでの間、毎日のように過ごした大阪の服部緑地は、あなたが自然体験を積むには絶好の環境だった。それを見越して、服部緑地のすぐ近くのマンションを借りたのだが、その狙いはとりあえず成功だったように思う。
 お父さんが仕事に出かけた後、あなたはお母さんに連れられて、毎日、服部緑地の草っ原で遊んでいたと聞いている。休みの日にお父さんがあなたと一緒に公園に出かけると、あなたの中でセンス・オブ・ワンダーが日々、育っているのを感じられて、非常に嬉しかった。
▽草の上に止まっているバッタに触れようとするとピョンと跳ねていなくなってしまう。
▽テントウムシを捕まえたら手の上を歩き回って、その内、羽を広げてどこかへ飛んで行ってしまう。
▽薄紫色の小さな蝶、ヤマトシジミを捕まえようと思っても、じっとしてくれないから到底つかまえることはできない。それでも追いかけ、最後は大抵、転んでいた。(転んでも怪我するような場所じゃ無いから、お父さんたちは転んでもあなたが立ち上がってくるまで無視していたことについては、そのうち話そうと思う。)
 そんなあなたの様子を面白がったり、写真を撮ったりして過ごすことがお父さんをどれだけ幸せにしてくれたことだろう。MHだけでなくAZも同じだ。あまり、君たちに面と向かってお礼を言うことが無いから、この際、伝えておこうと思う。産まれてきてくれてありがとう。

 家でも遊べるようにとレゴをたくさん買っておいた。レゴは指を動かすのに最適な玩具だからと思って準備していたわけだが、あなたはあまり遊ばなかったように思う。
 今思えば、想定外のことが四六時中、起きる公園での時間が魅力的だったのだろう。家の中でレゴをいじっている時は、想定外を経験することはできないからね。念のため言っておくが、レゴを否定しているわけではないよ。レゴは自分のイメージを形にする優れた子育て用具だと思う。あなたの場合はセンス・オブ・ワンダーを育てることの方が先だったのだろう。これは人によって順番が違うのかもしれないし、レゴに書いてあるように、4、5歳になってからの方がレゴに興味を持つのが一般的なのかもしれない。モンテッソーリ教育でいう「敏感期」を考えずに、お父さんがレゴを買ってきてしまったということだ、笑。

 夏に東京に転勤になり、どこに家を借りるかを考えたときに、自然環境が豊かな場所を最優先したのは当然のことだった。会社まで1時間で通えて、かつ、自然豊かな環境として選んだのは横浜市青葉区の藤が丘だった。北八朔公園は横浜市内とは思えないほど豊かな里山が広がる公園だった。ここであなたが初めて目にした生き物は数多い。ゲンジボタル(今もいるかどうかはわからないが)、ゼフィルス(アカシジミ、ミズイロオナガシジミ)、がいたのにはお父さんも驚いた。冬になるとエノキの落ち葉からゴマダラチョウの幼虫を探したね。早春の蝶で自然が豊かな里山にしかいないコツバメやミヤマセセリもいて、これまたびっくりしたものだ。思い出すとキリがないのでやめておくが、あなたが1歳になるまでに出会った生き物は、かなり多かったと言えるだろう。そうした生き物との出会いが、あなたに想定外を数多く経験させてくれたに違いないのだ。

君たちが親になった時に覚えておいてほしいこと。それは「自然は想定外を経験させてくれるかけがえのないもの」ということだ。

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