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【Bass】ベースの置き方・裏向きや吊るす寝かせるなどベース好き視点から掘り下げる

奏法解説や演奏など、ベースを弾くことに関する文章や動画はたくさんあります。
でも今回は「ベースの置き方」について語りたいのです。
は?ベースを置くって…えっ普通に置けばいいんじゃないの?という人にこそ読んで頂きたい。
ちなみに私はベーシストじゃないただのベース好きです。

普通の置き方とは?

ベースの置き方について語ってみようと思ったのは、吉田一郎さんのツイートがきっかけです。

ちょっと…いやだいぶ個性派の吉田一郎さんが「あるある」だと書かれているということは、この向きに置く人は珍しいという意味。
ベーシスト以外の人にも分かるように説明しますと、一般的にはこの吉田さんの写真とは反対向きに立てかけます。

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こんな感じ(我が家)。
吉田さんと我が家の写真を見比べてみてください。
我が家のように、ベースの背面をスタンドに立てかけるように置くのが一般的だと思います。
この一般的な置き方を基準として、吉田さんのような置き方を「裏置き」と呼ぶことにします。

私が、この「裏置き」を意識したのは10年以上前。
夫のベーススタンドを拭こうとして、ベースを壁に表向きで立てかけた時、夫から指摘されたんです。
「あ~ぁ、そうやって表向きに立てかけるとネックにかかる力の向きが弦のテンションと同じになってネックに負担がかかっちゃうんだよ」
みたいなダメ出しを詳し~く。
まずはスタンドを拭いてくれたお礼じゃないかと思いつつも、裏向きで置く場合もあると学んだわけですね。

ベースの置き方に注目するようになったのも、その頃からだと思います。
ここからは私が見てきたベースの置き方について語っていきます。

裏置きコレクション

では、吉田一郎さん以外にもベースを「裏置き」しているベーシストを紹介したいと思います。

まず、恵美直也さん。

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そして、リンカーンゴーインズ(講義の動画より)。

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最後は小川真司さん。
※ヘンリーバンド(高橋真梨子さんサポート)宮原慶太さんのツイートより

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我ながら何をコレクションしとんねんという感じですが、こういう研究が好きなんですよね~。
テレビでも動画でも写真でも古今東西関係なく、弾かれているベースと置かれているベースに注目してしまうという。
ベーシストの皆さんも一緒だと思いますが。

裏置きのメリット:取りやすい

裏置きにする理由のひとつに「取ったり置いたりしやすいから」というのがあります。
これは私が毎月開催する(予定のまま第2回以降が自粛のアレで延期になっている)ベーストークイベントの第1回で、ゲストの恵美直也さんから聞いたのが最初だったような。
それまで裏置きするのはネックの反り防止だと思っていたので、他にも理由があるんだと驚きました。

このツイートはギタリストのものですけど。

他にもそう感じる人がいるということですね。
知識じゃなく「裏向きに置いてみたら取りやすくて便利だった」という実体験から裏向きに置くようになるんだなぁと思って印象に残っています。

裏置きのメリット:ネックの反り防止

裏向きに置く理由として最初に知ったのが「表向きに置くとネックが順反りになる」というもの。
最初に書いた、ベーススタンドを拭こうとベースを壁に表向きで立てかけたら夫に怒られたっていうエピソードがそれです。

でもね、そんな夫はライブハウスのスタンドに表向きで置いてるんですよ。
それと、表向きに置いて順反りするならもっと裏向きに置く人がいそうじゃないですか。
あとは、逆反りしやすいベースもあるらしいし。

夫に「どうして壁に表向きで立てかけるのはダメなのに、スタンドならいいの?」と訊いたら、ちゃんと説明してくれました。
壁に立てかけるとヘッドの先端で重みを支えるからネックへの負担が大きいけど、スタンドならボディに近い方で支えるから負担が少ない、ということです。
らしいです。

では、裏置きの実例として紹介した恵美さんが壁に立てかけている写真を。
まずは恵美さんのブログから、ツアー中のホテルでの写真。

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次は、恵美さんのDIY動画のワンシーン。

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壁に立てかける場合でも、裏置きだったり表置きだったりするんだなぁと。
ジャズベとムスタングの違いなのか…他の理由なのか…。

というわけで、置き方とネックの反りに関しては「諸説ある」とか「ベーシストの感覚や性格」みたいなところかなぁと。

吊るす

我が家のベースは、吊るしています。
エレクターに引っ掛けるタイプ。

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ヘッドを引っかけて吊るすタイプのスタンド。

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この二通りです。

そして、さっきほどから例に挙げている恵美さんの場合。
これは同じハコで同じベースの写真ですが、吊るすタイプのスタンドの時は表向きで、置くタイプのスタンドの時は裏向き。

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取りやすさだけが裏置きの理由なら、吊るすタイプの時でも裏にすると思うので、やっぱり反り対策が主な理由…?なのかなぁと。

あと、吊るす話()としては川崎哲平さんですね。
配信の時はチャットで質問できるから「置き方のこだわりはありますか?」みたいに訊いたことがあったんですよ。
反り対策の件も含めて。
その流れから「吊るすのがベストですか?」みたいに追い質問したんだったかなぁ…?

ちょっと記憶があいまいですけど、とにかく哲平さんが「吊るす場合はジョイント部分にかかる負荷が気になる」みたいに仰ったんです。

ジョイント部分の負荷…!!
なんかこう…その思慮深さというか、心配性というか、なんていうんでしょうねぇ。
とにかくすごくベースのことを考えてあげてる感じがしてニヤニヤしたことを覚えています。

寝かせる

まず、江口信夫さんの2021年6月7日の投稿。

はい、左下に注目。
美久月さんがベースを寝かせて置いています
ここで重要なのは、左端に写りこんでいるスタンドを使っていないこと。
右側のギタースペースでは、ギターがちゃんとスタンドに立ててあります。
これは「あえて寝かせている」証拠。

でもこれだけだと、この時だけかもしれないじゃないですか。
というわけで、同じく江口さんの2021年2月22日の投稿を。

ちょっと前にも江口さんが美久月さんのベースのお写真を投稿されていた記憶があったんですが、やっぱり寝かせていますよね。
ということは「美久月さんは寝かせる派」という可能性が高いんじゃないかなぁと勝手に考察してしまいます。
(もしくは「撤収が早い派」という可能性も…)

いやもう本当に自分でもどんだけベース好きなんだと呆れるんですが、ベーシストの皆さんもそんな感じですよね?
それともベーシストは1現場1人が基本だから、他の人の置き方とかあんまり知らないものなのでしょうか?

余談なんですけど、私はベースの情報源としてドラマーのSNSをよく見ています(言い方よ…)。
というのも、例えば今回例にした美久月さんなんて絶対SNSとかしそうにないじゃないですか。
「今日は〇〇さんのレコーディングでした。いつものジャズベで楽しく弾きました」とか絶対書かなそうじゃないですか。
めちゃめちゃ勝手なイメージですけど。
だから、ドラマーがアップしてくれたレコーディングやリハの画像に写りこんでいるベースが非常に有難いのです。

余談の余談なんですけど。
美久月さんが寝かせる派だという考察を、夫に話したんです。
その時は興味なさそうにしていたんですが、翌朝夫から届いた画像がこちら

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「寝かせる派」というメッセージ付きで。
……。
何のアピールかちょっと分かりませんが、これはスタンドが無いから寝かせているわけでノーカウントです。
※ちなみに地方営業の楽屋です

最後に、余談の余談の余談なんですが。
何度もお名前挙げてすみません…恵美さんのブログから。

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これは恵美さんが旅行先で更新されたブログなんですけど、このお写真に添えられた言葉が「連れてきた」で、めちゃめちゃ萌えたことを思い出しました。
畳にジャズベってだけでも、何か…ものすごく…キャーってなるのに「連れてきた」による相乗効果たるや。
逃避行っぽいというか、かけおち感というか。

ベースを守る

まずはジミージョンソン。
2019年12月に来日した時の写真です。

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ストラップがツノにキュッと掛けられているのが分かりますか?
開演前からこの状態で。

置かれている状態だけをパッと見た時は何も感じず。
でも、ジミージョンソンがライブ中にベースを置く時、すごく意識的にこの状態にしているのが分かったんです。
ストラップを自然に掛けただけだとフワッとたるんじゃうんですが、それをキュッとボディに密着させるように引っぱって掛けていたんです。

と言ってもほんの数秒の動きなんですけどね。
よっぽどの人じゃないと()見逃しちゃうぐらいの。
でも私は、ベースを大事にしてるんだなぁと。
万が一にもスタッフとか共演者がストラップを引っかけて倒さないように、毎回この状態にしているんだろうなぁと。
その細かさというかキッチリしてる感が、ジミージョンソンっぽくて良いなぁと思いました。

もちろん本人に訊いてないから、私が勝手に言ってるだけですよ~。

次は、TAK斉藤さん。
私がよくデュオを聴きに行くお店は、十数席って感じのバーなんですね。
TAKさんはいつも開演直前にケースから出して、1部と2部の間はずっと持ってるんです。
(お店のBGMに合わせて弾いてくれる時もあります♪)

で、いつだったか「置かないんですね」みたいに訊いたら「何かあったらイヤでしょ」っぽく仰っていたような。

ベースの体重測定をして「〇kg以上は重すぎる」と小数第三位まで記載するぐらいベースの軽さにこだわるTAKさんが、休憩中も抱いてるというのがイイんですよ~。
暑がりだから本来なら置きたいんじゃないかと思うんですが、それよりベースを大事にしたいという感じが。

最後は(ほんと出ずっぱりですみません)恵美さん。
12月のイベントでベースを裏置きする理由を話されていて、確か理由が4個あったと思うんです。
・取りやすさ&置きやすさ
・ネックの反り防止
で、確か「前面を守る」みたいなことも仰っていたような。
(残りのひとつは忘れてしま…)

【追記:2022年9月30日】
ご本人のブログに答えが載っていました。
・演奏面を守る
・すぐに弾きやすい
・倒れにくい
これに「ネックの反り防止」を加えた4個だったと思います。

コントラバスの置き方

これはチャゲさんのインスタグラム。

普通は「コントラバスが寝かせてあるなぁ」ぐらいでしょうか。
でも私はパッと見た時、なんか違和感があったんですよ。
もう皆さんならお分かりでしょうけど、寝かせ方が反対なんですよね。
普通は1弦側を下にするから、こういうバックショットの場合ヘッドが左になるっていう。
私はそこまでハッキリ分からないまま「あれ?なんか違う」ぐらいで。

で、確か夫に「これなんか変じゃない?」とか訊いて「反対に寝かせるってことは無いからレフティなんじゃない」って教えてもらったような。
そういえば、弦だけじゃなく魂柱とかもちゃんと左用に調整してるコントラバスがあるって聞いたことがあるような。

というわけで、チャゲさんファンの皆さんが「ウッドベースの後ろ姿が色っぽいですね~」みたいなコメントをしている中、私だけ「この持ち主さんはレフティでしょうか」みたいなガチのコメントをすることになりました。

で、ですよ。
投稿してから気づいたんですけど、これって反転の可能性あるなぁと。
まぁ、結果は分からないんですが。

さて、恒例の余談コーナー。
普通の写真は反転なんてぜんぜん気にならないのに、ベースが反転になっているとムズムズしちゃうんですが、これってベース好きあるあるですよね?

例えば、TAK斉藤さんがレコーディングされた時のお写真。
最初にボーカルのDenmiさんがアップされていたのがこちら。

反転だと分かっているのに、なぜか心がモヤモヤするという(笑)

そして、翌日にTAKさんが投稿されたお写真がこちら。

あぁ…スッキリ…!!

ベーシストよりベースを探す

ここまで「ベースの置き方」にスポットをあててきました。
でもベースを弾いているところは映っても、ベースを置いているところってなかなか映らないんですよね。
そりゃそうだろって話ですが。

ですが、普段から「ベーシストよりベースを探す」を心がけるだけで、見られる確率がグッと上がります。

その具体的な方法を説明しますね。
先ほど「ベースの情報源としてドラマーのSNSをチェックしている」と書きました。
なぜドラマーかというと、レコーディングなどでドラムとベースが一緒になることが多いから。
ですが、もちろん他の共演者がアップしてくれる写真でも同じことです。

ここからちょっとアレな話になるんですけど。
写真や動画をパッと見てサラッとベースを探すだけじゃないんですよ。
例えば…
・鏡に写ってないか
・マイクスタンドやドラムなどの金属部分に写りこんでないか
・モニターに写ってないか
ぐらいガッツリ探してみてください。

では実例を。
最後の最後まですみません…これは恵美さんが参加されたレコーディングの様子をボーカルの宇海さんがツイートされた時のお写真。

分かりますか?



そうです。
奥のモニターの左上ですね。

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キャンディーアップルレッドのジャズベースが裏置きされているのが分かります(反転)。

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こうやってですね、日々使用楽器や置き方を確認しています。
もう、スタジオとかライブハウスの写真を見ると、目が勝手にベースを探すようになってしまいました。

こんなの何に役立つわけじゃないんですけどね~。
でも、そういうことをしているのが本当に楽しいし、見つけた時ってすごく嬉しいんですよ。
全ベーシストの皆さんに心から感謝しています。
いつも楽しい時間をありがとうございます!

プロベーシストからの反応

このコラムは「地下2会」というFacebookページで連載していた文章をまとめたものです。
その連載中、プロベーシストの方からコメントを頂きました。

反町YUKI哲之さんからは「撮影が絡む場合以外は同じ理由(反り)で裏向き」と。
置き方には「見せる」というファンサービスも含まれているわけですね。
ちなみに私は、ラッカーの剥がれ具合を見るのも好きなので裏向きでも楽しめます()。
また「壁掛けホルダーに吊るして休憩して戻ったら首から下が千切れて弦でブラ〜んとボディが」という恐ろしい体験談も…痛い痛い痛い…!

関谷友貴さんからは「(反りとは)別の理由ですが裏向けておきます」「ミュージカルのバックバンドで持ち替えが多い時に閃いた」と。
裏置きを始めたきっかけを知ることができて、とても有難いです。
置き方によるメリットが広まると、それぞれ好きな置き方を選べるようになりそうですよね。

黒瀬寛幸さんからは「座りの現場では裏向き」「順反り防止のおまじないとスタンドが自分の右側(下手側)にある場合」と。
この「おまじない」という表現が素晴らしいですね。
可愛らしい語感の向こうにある爽やかな軸を感じます。
ベーシストとスタンドの位置も、新しい視点が増えて嬉しいです。

寺内 カンタロー浩さんからは「理想はやはり吊るす」「ネックの状態を見ながら表か裏か決めている」「ステージではお客様にお尻は失礼なので表」と。
「ネックの状態を見ながら」というのがベースに寄り添っている雰囲気を感じて素敵です。
私はバックショットも大好きなのでぜんぜん失礼だとは思わないんですけど、でもベーシスト側がこうして配慮しているのはイイなぁと。

皆さん、ありがとうございました。
この文章を連載していた「地下2会」というのは、プロベーシスト集団「地下室の会」を応援するために私が立ち上げたFacebookページです。

2020年4月7日から現在(2021年6月)まで、毎日ベース系のコラムを投稿しています。
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皆さんのタイムラインに私のベース愛が表示されて、私が喜びます。

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「ベースの音が聴こえるようになる方法」という動画を作っています。

ベース談義イベントを主催しています。

あと、ぜんぜんベース関係ないんですけど、ライター業の方では「カロリー貯金ダイエット」という本を出版していたりします。

記:2021年6月14日(追記:2022年9月30日)

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