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ASKAオンラインライブをベース好き視点で紹介・ネタバレあり

12月2日の20時から配信されたオンラインライブ。
※アーカイブ最終日(12月5日)になったので、曲名や歌詞を書きました。知りたくない人はご注意ください。
ベーシストじゃないただのベース好きである私が、恵美直也さんのベースラインやら音色やらを勝手に紹介します。
ベース好きじゃない人にも伝わるように書きますので、アーカイブを楽しむ方法のひとつとして参考にしてもらえたら嬉しいです。

【重要】イヤホンまたはヘッドホンを使って聴いてください。

ベースの音はスマホのスピーカーでは聴こえません。
聴こえていると思っても聴こえていなかったりするので、ぜひぜひイヤホンで聴いてください。
お願いします!!!

1曲目:笑って歩こうよ

音と音がつながってなめらかに聴こえる「スライド」という弾き方が聴きどころです。
実際に左手をネック(=長いところ)で滑らせて、音の高さを変えます。
「好きに思っちゃう」の後「いぇーぃ」のところとか聞き取りやすいです。
最初はこのスライドなどを使って音程を変えて「ユラッ」とした雰囲気なんですが、次第にハッキリした感じになります。
これが、しっかりした足どりに変わる描写のようで。
イントロが始まってすぐ(2小節目)や最後(「僕も君も」の「君も」の「も」)などはスライドでニュアンスがつくので、この違いを歌詞や曲の流れと合わせてお楽しみください。

そして、注目してほしいのは2番に入ってから!
「僕も君もいつも」で、スーッとベースの音が消えます
これはまるで、そこにあるのが当たり前だと思っていた愛や幸せが消えた時の儚さを幸せの中でもふと感じてしまうような、そんな感じ。
勝手に私が言ってますけど、そんな風に感じるような消え方ですごくイイんです…!

2曲目:着地点

この曲は「グリス」という、音で表すと「ブーン!」みたいな弾き方が聴きどころです。
さっきのスライドは音と音をつなげますが、グリスは「ブーン!」です。
…き、聴けば分かります。
分かりやすいのは、大サビ前のブレイク(「突然寂しくなる」の後ASKAさんがスキャットするところ)でグリスを連発する部分なんですが、できれば歌があるところのグリスを堪能してほしいです。
1番「引き際はそしてどこだったろう」の後や、Cメロの「期待は無かったさ」の「た」とか聞き取りやすいです。
音色も1曲目の丁寧な感じではなく、荒っぽいぐらい熱いのが曲に合っていてカッコいい。
低音なので聴きとりづらいとは思いますが、ぜひ感じてください。

そして、最後の最後。
曲が終わる時!
ベースの音の残り方がめちゃめちゃカッコいいんです!
最後の最後まで集中して聴いてみてください。

3曲目:通り雨

これはね、何も起きないんです。
ベースラインに何も起きない。
平和というか、牧歌的というか、何も起きない良さなんですね。

4曲目:MIDNIGHT 2 CALL

恵美さんがベースを持ち替えたのは分かりますか?
さっきまでのベースは「フレット」という音程を決める棒がネックに入っていますが、これは「フレットレス」といってフレットが入っていません。
つまり、左手の指の感覚で音程をフワンとさせることができるんです。

これまた勝手に言いますけど、それによって主人公の「迷い」とか「揺れる想い」が表現されているように感じるんですよ。
でも最初はフワンとさせていた音程が、次第にしっかりしてくるんです。
まるで迷いや未練を振り切るように
でも、ブレイク明けでまだ未練が心を揺らしているのを表現するみたいに、またフワンとした弾き方をするんですね。
素晴らしい。

6曲目:DAYS OF DREAM

(5曲目は弾き語りなので飛ばして)
これもさっきと同じフレットレスなんですが、迷いや未練ではありません。
そうですね…大人の隙(すき)というか…だらしなさまではいかないユルさのような。
ダメな自分をどこか許しているような。
こんな自分でも愛してくれる場所…のような。
同じフレットレスでも、こんなに違うんだなぁと惚れ惚れします。

7曲目:cry

私はこの曲がいちばんグッときました。
1番のAメロ2回はベースが入らず、「本当本当に痛かった」から入るんですけど。
弱弱しいと言ってもいいぐらい、か細く優しい音なんです。
そして!
それを振り切るようなグリス!(「死ぬほど泣いても生きていた」の「てい」あたり)
そこからずっと続く、意思が強いというか振り返らないで真っ直ぐ進むような音色とリズム
めちゃめちゃ曲と合ってるんです…!!!
私は弾かないから想像なんですけど、すごく強く弾いているような…だから音程になりきらない音色で、それが主人公の心の痛みが伝わるような。
めちゃめちゃ曲と合ってるんです…!!!

8曲目:砂時計のくびれた場所

これは2001年に行われたツアー「NOT AT ALL」を思い出してほしいんです。
あの頃のこの曲って、あふれ出るオラオラ感!って感じなんです。
でも今のこの曲は、ふりしぼるような切なさや哀愁があるというか。
あの頃のアクティブベース(よく鳴る)じゃなくて、今回はプレシジョンベース(鳴りきらない良さがある)という違いもあると思います。
曲もアレンジもベースラインも(ほぼ)同じなのに、あの頃と今と両方違った魅力が味わえるという。

具体的に指定すると、2番の「やさしさぬくもりだけじゃなく」の後もいいんですけど、私はサビ前の「ふたり ふたり」で高い音を弾くところが落ちてはいけない恋に落ちる前のふたりの苦悩を表しているようで好きです。

9曲目:群れ

後ろに引っ張られるような、仕事に行きたくない時の足どりのような、そんな重さを感じるベース。
この曲のベースは低くて聴こえづらいと思いますが、それでいいというか。
そのドロッとかダラッとした感じが、曲の雰囲気を出しているという。

10曲目:自分じゃないか

これもベースは聴きとりづらいんです。
他の楽器の音量が大きいし、ベースはずっと8分音符を刻んでいるので。
だからこそ、消えたところで初めて分かるベースが堪能できます。
恵美さんの8分音符ってギリギリ長めで、それがこう…曲に「持続する」とか「耐える」みたいな感じを与えていて。
それがパッと消えた時に、雲が晴れるような、体が浮くような、ハッとさせる力があるんです。
これを私は勝手に「不在感」と呼んでるんですが、存在感だけでなく不在感も感じさせるベースを味わってください。

11曲目:はじまりはいつも雨

この曲って、サビ直前で「誰よ~りも~」「誰よ~りも~」ってくり返すじゃないですか。
そのくり返しの前の方!
ブレーキがかかるような音が、勇気を出す前にちょっとひるんでしまう気持ちを表しているみたいで素敵なんです。

12曲目:PRIDE

「折れた体を」とかのBメロでフッとベースが止まるところ。
ここでハッとさせられて、その後のサビがより引き立つというか盛り上がるというか。
あと…ものすっごく細かいんですけど、最後のサビをくり返すところの一番最後のくり返しの「思い上がりと笑われても」の「笑わ」の「わ」!
ここで一カ所「ウィッ」って短く鋭く速いグリスが入っていて、そこでドキッとさせられるのでぜひ聴きとってみてください。

以上、恵美直也さんのベースの聴きどころをベーシストじゃないただのベース好きが勝手に説明してみました。

恵美さん、素晴らしい演奏をありがとうございました!

記:2021年12月3日 かお2015(東城薫)

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