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将棋の仕掛け方講座2 仕掛けの急所

定跡を学ぶタイミング

私自身は、序盤から仕掛けで差をつけるタイプである。しかし人には序盤はどうでもいいと教える。特に書籍中心に学ぶ方は、定跡にこだわりすぎる傾向がある。
もしあなたが初段を目標にしており、いま1~2級で停滞しているとしたら、序盤を学ぶ意義がある。少しは強くなるだろうし、その少しが目標達成につながるかもしれない。また、いま採用している戦法が自分に合っていないと分かれば、それも新たな戦型を学ぶべきタイミングだ。私のいう「5級の壁」周辺で、感じられるようになると予想している。
それ以外は、中終盤を鍛えたほうがいい。中盤、終盤のミスは勝敗に直結する。目的なく定跡書を読んでいると、様々な戦法に目移りしがちとの理由もある。
どうせ定跡の丸暗記しかできないなら、序盤の理解も難しい。

応用力は重要だ。
将棋教室をしている指導者には見落とされがちだと思うが、いくら定跡を教えても、両対局者が覚えていないと定跡通りには進まない。結果、級位者ほど定跡から外れるため、むしろ応用力が必要とされる。序盤力=定跡知識ではない。
それと鈍感力。相手の形が違っても通用するかもしれないし、通用しなくても、仕掛ければ中盤戦に進められる。うまくいかなかったら、あとで反省すればいい。そのために早繰り銀を私は推奨している。多少雑でも仕掛けられるからだ。ここでも四間飛車党は例外である。決まった仕掛け形はない。

現実には、知識を増やせば応用力も伸びる。知識を増やして応用力を伸ばす。だからどの段階で定跡を学んだとしても、全くの無駄にはならないだろう。効率は悪いと思うが。

仕掛けの急所はまず角頭

将棋には様々な「急所」がある。囲いの急所もあれば、攻めの急所、受けの急所もあり、仕掛けの急所もある。代表的な急所は角頭、桂頭だ。前に進めない駒なので、歩で狙って取りにいきやすい。

仕掛けの急所は主に角頭だ。
だから序盤では角の動向を見ていれば、どういう戦法かが見えてくる。例えば、相掛かりはお互いまっしぐらに角を狙う戦法で、矢倉は角頭をしっかりフォローする戦法だ。その代わり角が使えなくなるので、いったん引いて手数をかけて使う。角換わり腰掛け銀は角が盤上にないので、仕掛けが難しい神経戦になる。多くの振り飛車戦法はわざと角頭の急所を見せて、好機に角をさばいて相手の攻めを頓挫させる。どれも角の位置取りに由来している。

下図は私が今日指したネット将棋の例。

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(相手は角頭のフォローが1手遅れてしまっている。時間が限られているネット将棋だとありがちな失敗だ)

急所の角頭を、早繰り銀で攻めている。ここまで言った通りの基本の仕掛けだ。また、相手の3三角をさばきづらいタイミングでもある。相手が角をさばきたいなら、自分はその逆を目指せばいい。
このあと飛車と銀が連係して3筋を押さえ、角も応援に加えて優勢になった。居飛車として理想的な流れといえる。

ちなみに、桂頭も急所なのだが、桂は前に出てくるとは限らず、かつ角より価値が低いため、仕掛けから狙う展開は少ない。

相振りは角頭を攻めない戦型

こう考えていくと、相振り飛車での仕掛けが難しい理由も見えてくる。相振り飛車は角を狙わず、直接玉を狙う布陣を敷く。角は交換したり、移動させて攻めに使ったりと展開によって使い方は様々。仕掛けの急所にはならない。では何が急所になるのか。相振り飛車では、次の段階である囲い崩しの急所が、そのまま仕掛けの急所になる。
そこまで考え至れば、「相振り飛車」のくくり自体が広すぎると気づくだろう。相手の囲いを考慮に入れなければ話が進まない。相振り飛車で急所の仕掛けを見つけるには、使われる囲いの急所について知らなければならない。


次回は相振り飛車の歴史を、囲いと仕掛けの観点から整理していく。私の見えていたものだけなので、かなり主観的で、間違いも含んでしまうと思う。あくまでアマチュア居飛車党から見えていた景色。プロ棋士や、その周辺にいた方とは見え方が大きく違っているはずだ。ご勘弁いただきたい。

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