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将棋クエストのレートを100点上げた話

こんにちは。といとというものです。将棋クエストでのアカウントは「ttoito」です。

さいきん、自分の序盤を調整してみたら、予定以上にうまくいったので、やり方を紹介します。ほんとうは仕掛け方講座ってのを書いていてそのためにやったのですが、仕掛けメインの話じゃなくなったので別枠にしました。

知ってる人はわかるかもしれませんが、OODAなるフレームを意識しています。OODAと経験学習モデル辺りは、知っておくと将棋にもそれ以外の勉強にも役立つものです。

ひと言でいえば「課題の克服」に尽きます。

まずは現状把握と目標設定をしよう

まず現状把握と目標設定です。11月中旬、スタート時のレートは2200点くらいで、成功すると50点くらい上がるかなと思っていました。「将棋対戦アプリ「将棋クエスト」のレートを50上げる」が目標です。仕事でもないのだからざっくりでいいでしょう。

課題の発見に向かおう

次に課題を見つける作業に入ります。今回は仕掛けについて考えていたので、序盤から中盤の入り口の課題発見に努めました。
候補はすぐに見つかりました。というか、見つかってたからやってみたんですが。

私、後手番勝率のほうが高かったんですね。それも4%くらい。ふつうは先手が有利か、悪くても五分でしょう。
明らかに不自然な数値です。先手番に足を引っぱっている戦法がまぎれこんでいる可能性ありです。すぐさま脳内で先手番しか使わない戦法をサーチ、相掛かりがひっかかりました。

私の相掛かりは見よう見まねで雑に攻めることばかり考えているので、中盤で悪くなると、ちょくちょく逆転できずに負けちゃいます。流れ弾に当たりやすく格下に一発食らいやすい気もします。

格下とか、言い方悪くてすみません。でも、将棋クエストのレート2000点以上って、1800~2000点くらいの人に勝ちまくれるかがめっちゃ大事なんですよね。
1800~2000点の層って、良くも悪くもちゃんとした将棋を指せる人なんです。段位でいえば二段~四段ですから当たり前ですね。しかも対戦する数も多い。でも9割方勝たないといけません。

課題の解決法を考える

相掛かりが課題だと仮定して、ふつうの解決法は「棋書などで相掛かりの序盤を勉強する」ってなると思うのですが、私の考えは違います。

私は序盤を考えるとき、真っ先に「耐用年数」を意識します。ようは、これから何年先まで使えるかですね。大学卒業時から、自分の将棋に取れる時間が少なくなるから、なるべく長く持つ序盤戦法を持ちたいと考えるようになりました。

仮に、最新の相掛かりの棋書を読んで知識を深めたとします。その「耐用年数」はどのくらいでしょうか。3か月から半年くらいでしょう。

2~3年前の相掛かりの知識ってもう古いですよね。勉強熱心な二段~四段相手には武器になりません。プロで出るような最新形は難しいわりに、しばらくしたらまた最新研究が本になるし、へたすれば、翌日に好手が発見されるかもしれません。いまは生中継で当たり前にあって最新情報もすぐに広がりますから、それもチェックしないといけません。
そんなの嫌です。最低でも2年は耐用年数が欲しいところです。

そのためには、プロで指されるような最新形を避けて、もっとマイナーで研究されない形がのぞましいと考えました。

また、「早繰り銀」の形に持ち込める手順にしたいとの思いもありました。「早繰り銀」は前から使っている形で、そこにドッキングさせたいわけです。

その結果が図の形。

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英春流に近い序盤になりました。ここから、早繰り銀(▲4六銀と出る形)にしたりしなかったり、場合によって使い分けます。あと、▲5五歩と突く筋、雁木に囲う筋などがあります。


ちなみに英春流とは鈴木英春さんというアマ強豪が、それこそ一生かけて磨き上げている戦法です。いまは女流棋界に殴り込みをかけていますね。英春門下といえる女流棋士が数名いらっしゃいます。

私は鈴木英春さんとは1局当たったことがあり、棋書には書いてない形でド作戦負けを食らいました。勝ちましたけど(自慢)。
ですがそのとき、出ている本だけでは、英春流の全貌はわからないと気づきました。

廃指しで実行&検証

課題の特定と解決方法は決まったので、あとは実行するのみ。将棋クエストでとにかく数多く将棋を指し、該当する対局は将棋ソフトで検討して、目指すべき形と条件を少しずつ整理していきます。

何度も繰り返しているうちに、どういう形だと▲5五歩と突くべきか、▲4六銀~▲3五歩がうまくいく条件は何かなどが少しずつつかめてきました。持久戦にすべき展開はまだあいまいな感じですが、まずまずの進捗です。


ここで言っておきたいのは、将棋ソフトを使うときの注意点です。

まず近視眼的になってはいけません。
部分部分の最善手を見ても戦法自体の知見を深められません。はじめは成功パターン、失敗パターンを大まかに整理していって、徐々に細かく絞っていくべきです。

また、将棋ソフト使うときは評価値に惑わされすぎないよう。相手はしょせん人間ですから、ソフトのうまい手順に耐えられるかより、「普通」の手順でどうなるかを検証したほうが勝ちにつながります。「普通」はどう指すかは、自分で逆を持ってソフト相手に戦ってみたり、実戦を積み重ねて徐々にわかってくるものでしょう。棋力帯や対局場所によっても変わります。

リアルの将棋大会と将棋対戦アプリでは、戦法傾向がまるで違いますからね。

目標達成を評価する

最後に目標を達成したかを評価します。この実験では、割とすんなりレートが上がっていき、2020年12月10日にレート2300点になり、一時期2330点までいって、17日現在、2300点をギリギリキープしています。

1か月弱でレート100点上昇は十分な成果といえるでしょう。課題としていた先手番勝率も、まだ先手番勝率のほうが低いですが、だいぶ近づきました。思った以上にうまくいったので、後手番にも同じ形を導入して後手番勝率も微増しました。
とはいえこの結果は、序盤研究の成果だけではなく、目標を持って指すこと自体がモチベーションの上昇につながった面もあると思います。

思った以上にうまくいった分、やる気はもう落ち着きました。あと1局負けたら2300点から落ちるかもなので、先にこの記事を書いてます(笑)。

いろいろ差し引いても、まずまずの結果といっていいと思います。

やる気があれば強さそのままでリスタート

まだこの形についても深められそうだし、ほかに対中飛車も困りがちなので、その対策も改良すると七段(レート2350)にはなれそうです。やる気があれば、中飛車についても課題の発見から解決を繰り返します。

ただ、今回はここまでで終わりにします。この相掛かり序盤の調整は、私なりに、仕掛けをどう勝ちに結びつけるかを記事にしたくてやっただけです。仕掛けの視点からはうまくまとまりませんでしたが、いちおうこの記事書いて、その目的も達成しました。

私にとって、いまの主戦場は社団戦という団体戦です。社団戦は6月から10月まで開催で、しかも来年に社団戦が開催されるどうか不透明な状況です。前述の通り、戦法には耐用年数がありますから、12月のこの時期に仕上げても効率が悪いのです。

個人的にはさっさとTOEIC900点を取りたいです。

見ている方へのアドバイス

もしあなたが初段を目指す級位者だったら、序盤の勉強は息抜き程度にしておきましょう。得意戦法1つあればよく、あとは飽きてきたなーだったり、フィーリングが合わないなーと思ったら、別の戦法を選ぶくらいの気軽さを持ってのぞめば十分です。
中終盤の伸びしろのほうが大きいので、目標達成直前までは中終盤を中心に勉強したほうがいいでしょう。

序盤の勉強は、手軽で、うまくいけば効果が出るのも早いんですが、その分、使えなくなることもあるんですよね。その点、中終盤の力は流行に左右されません。

ほかの注意点として、詰将棋が強調されすぎている印象があります。詰みも大事ですけど、そこに持っていく過程も大事ですからね。さいきん、Twitterなど観察するようになり、個人的懸念事項に加わりました。
よく中盤でちぎれてしまうなら、次の一手や手筋問題をやる量を増やしたほうがいいかもしれません。

あと、読みはなるべく減らすこと、実戦に正解を求めないこと。
これは本に書こうと動いてます。


有段者のあなたでも、目標とすべき展開からの逆算ができないなら、独自の序盤研究はまだ早いと思います。例えばえんえんとソフト最善を覚える作業をするなど、できなくはないのですが、効率悪すぎです。大変な割にちょっと外されたら迷子になっちゃいます。それよりは、定跡についての洞察を深めたほうが有意義でしょう。おそらく三段くらいから、序盤で自分なりに遊んでもそこそこ勝てるようになります。

最新形を追うか否かは、将棋に割ける時間との相談ですね。私はコスパ優先であきらめちゃった分、戦型選択の幅が狭いですし、プロの棋譜を見ての勉強をしづらい難点があります。
目的の違いもあるでしょう。プロ将棋の観戦自体が好きなら、序盤の最新形を知っておくと、誰がどういう工夫をしているのか見えてきて、より深く楽しめます。

アマチュアでも、トップクラスは勉強熱心で、最新形にも詳しいです。

最後にひとこと

とにかくこの記事で見せたかったのは、解決可能な課題を特定して解決するプロセスです。これだけは、どんな棋力のどんな人でも有効な上達法だと断言できます(できるかどうか、労力に見合うかどうかは別問題)。

努力が結果に結びつかない場合、自分の将棋に課題を見出していない、または解決しようとしていない(仕方がわからない)と思われます。
独学の場合、簡単に課題の特定&解決はできないでしょうから、やむを得ない時期もあります。しかし伸び悩んでいると感じているなら、自分の将棋を見直してみるといいのではないでしょうか。そして、自問してみましょう。


あなたの将棋にとって、勝つために越えなければいけない障害は何ですか?

その障害を越えるための作業は何ですか? その作業をできていますか?

その勉強、今のあなたに必要な勉強ですか?



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