樋田矢はにわ

音楽と文学について語りたい浅学菲才の徒。 好きな作家は中島らも(これでけっこうな情報が伝わるはずw) 元編集者・ライター。重い腰を上げて小説を書き始めました。

樋田矢はにわ

音楽と文学について語りたい浅学菲才の徒。 好きな作家は中島らも(これでけっこうな情報が伝わるはずw) 元編集者・ライター。重い腰を上げて小説を書き始めました。

マガジン

  • センガクのオンガクとブンガク。

    本とか音楽とかのレビュー。 樋田矢はにわの自分語りに帰結することがしばしば。

最近の記事

【備忘録】映画『ラストマイル』を観た

最初はレビューみたいなものを書こうかなと思ってたんだけど、他の方のレビューやら考察やらを読み漁るうちになんか満足してしまった。笑。 (ドラマとか映画とかマンガとか、全部観た後にネタバレ感想とか考察とかレビューとかを読み漁るの、最高に好きなんです。なんならそのために作品を観るまである) なので、ここでは『ラストマイル』を観て思ったこと感じたことをそのままドバドバ垂れ流そうかなと。 ちなみに今回は転職したてで仕事が落ち着かなかったり、母親が入院したりとバタバタで、まっっっっっ

    • 「ヤンキー≒部活」論【はに話休題】

      あなたは「根性焼きの真実」を知っているか? 中学の同級生と飲んでた時のこと。 友人(以下 友)「Sって居たじゃん」 はにわ(以下 は)「あー、あのめっちゃヤンキーなのにヤリ高(地域でダントツNo.1の超進学校)行って、結局中退したSね」 友「あいつ腕にめっちゃ根性焼きの痕あってさ、すげー見せてきて、お前もやる?って誘われたことある。笑」 は「え?? なんでなんで? Sってめっちゃ恐れられとった超ヤンキーやん。なんで根性焼きなんてされてんの? 誰にやられてたん?」 友「え?

      • 【小説】俺と彼女と49人の女たち/初めての女①

        ストライクの弾ける音はジャストポケットで俺のヘッドピンをヒットした。  あなたには、できるならばやり直したい過去はあるだろうか。  戻れるならば戻りたい瞬間はあるだろうか。  俺にはある。明確にある。  それは17歳、9月終わりの日曜日。  16時17分N駅発G駅行きの普通電車。扉近く、手すりを背に俺の方を向いて立ち、少し上目がちに首を傾げながら俺の目を見て、紗英は言った。 「先輩はどうして今日、私を誘ったんですか?」  ***  紗英を初めて認識したのは高校2年に

        • 【小説】俺と彼女と49人の女たち/プロローグ Part2

           中学を終えると俺は県立の進学校に進んだ。  進学校といえば聞こえはいいが、進学率100%にするために生徒の三分の二を周辺のF欄大学に押し込むような、そんな学校だ。  そうそう、件のタップリ嬢からのラブレターの顛末を話しておくと、手紙以降、彼女とは一度も話すことなく卒業を迎えたのだった。いや待て、そもそも手紙をもらう前だって話したことなどなかった。なんせ給食を食べるだけで惚れさせた俺だ。だが断じてモテていたわけではない。  高校での俺の第一の目標は、彼女を作ることだった。

        マガジン

        • センガクのオンガクとブンガク。
          2本

        記事

          【小説】俺と彼女と49人の女たち/プロローグ

          ――俺はいかにして女にモテるに至ったか  どうやら俺は女にモテるらしい。  それを自覚したのはいつであったろうか。  幼稚園では周囲の子どもより、先生たちとお話をするのが好きな園児だったそうだ。俺にその記憶はないが、幼稚園教諭たちに大人気だったという母親の証言がある。しかしまぁ、これはモテるとは言わない。自覚どころか記憶もない。  小学生時代。俺は周囲の男子どもが股間キワキワの半ズボンを履き、ハミチンハミキンではしゃぎ回るのを尻目に一人長ズボンを履き、吊りバンドをするよ

          【小説】俺と彼女と49人の女たち/プロローグ

          【備忘録】『愛のむきだし』を観た。

          3時間57分という上映時間にずっと二の足を踏んでいた『愛のむきだし』を観た。 先日の出張がムダに連泊になったのだが、泊まったのが歴史あるホテル(言い換え)のためかテレビが壊れており、2つしかチャンネルが映らない。 仕方なく持っていったノートPCをネットにつないで、Netflixを立ち上げたのであった。 時間を持て余した結果、念願を果たしたわけだ。ありがとう、歴史あるホテル(皮肉)。 で、愛のむきだしである。 観はじめは正直、 (あれ? 思ってたんと違う…) だったのだ

          【備忘録】『愛のむきだし』を観た。

          信念を賭けた勝負!

          唐突だが、俺は “傘” が嫌いだ。 大嫌いだ。 雨が降っているときはいいよ。 むしろ好きだ。 実にいい。 自分が濡れるのもかまわず俺を守ってくれるなんて、なんて献身的で頼れる奴なんだ、こいつめ。 イカしてるぜ相棒!とさえ思う。 しかし、だ。 ひとたび雨がやみ、閉じられた傘のなんと邪魔くさいことか! あぁもう!俺のズボンを濡らさないでくれ! そもそもなんでオマエはそんな中途半端な長さなんだ! 杖みたいにして寄りかかるにはちょっと短いし、ぶら下げて歩くにはちょっと長い

          信念を賭けた勝負!

          唐突に、自己紹介を始める樋田矢はにわ。

          20年ぶりに新作を書き始めたことでもありますし、ここらでひとつ私こと樋田矢はにわについて書いてみようと思います。 ■小説書きとしての樋田矢はにわを構成する3要素 ①ユーモアミステリ 小学校4年生のときでした。 赤川次郎氏の「三毛猫ホームズの狂死曲」を読んで背骨に電流が走りました。 それまで図書館で借りた児童向けの本しか読んだことがなかった私が初めて読んだ「小説」でした。 たくさんの人物が登場し、場面が次々と移り変わり、ラストでそれぞれの物語がバタバタと折りたたまれて一つ

          唐突に、自己紹介を始める樋田矢はにわ。

          ありえない写真【短編小説】

          1.「単身赴任とマッチングアプリ」  「ただいま…っと」  軽くつぶやいて、真っ暗な部屋に足を踏み入れる。当然、返事をするものはない。妻と子供を残して単身赴任している俺にとって、これが一日のうちで最も辛い瞬間だといえるかもしれない。  俺は手探りで壁のスイッチを押して部屋の電気をつけると、すぐに机の上のノートパソコンを立ち上げる。それが毎日の日課だ。  このパソコンは一年前、東京から400キロ離れたこの地方都市に異動が決まったとき、NetflixやPrime Videoと

          ありえない写真【短編小説】

          横になる男【短編小説】

           男がそこに居を構えたのは、半年ほど前のことだ。居を構えた、といっても、段ボールを敷いてその上に毛布を掛けただけなのだが。  そこ、とはN駅の構内から地下街へとのびる地下道の途中である。N駅はいくつかの地下鉄と私鉄が乗り入れる巨大なターミナル駅で、そこから延びる地下街は日本一といわれるぐらいに発達している。と、同時に、男と同じように特定の家を持たない浮浪の人間には恰好の住処となっているのである。  「まったく、住みやすいとこだ」  男はひとりごちた。なにしろ屋根つき、とい

          横になる男【短編小説】

          - 儀式 -【短編小説】

           きっかけは、アイリが見つけてきた一冊の本だった。  高二の夏休みも大詰めの、8月24日。神野あやは、瀧本アイリ、野田律子、大村果穂といういつものメンバーで市立図書館に来ていた。まだ半分ほど残ってしまっている宿題を、みんなで分担して一気に片付けてしまおうという魂胆である。  もっとも、この日のメインイベントは、アイリの家でのお泊まり会だった。アイリの両親が今夜から旅行に出かけて留守なので、気がねなく四人で騒げるのである。  それを心おきなく楽しむためにも、宿題にメドを立て

          - 儀式 -【短編小説】

          ウルトラメンの憂鬱【短編小説】

           あー、俺はなんでこんなトコでこんなコトしてんだろ。  こんなトコ ─東京は新宿副都心の高層ビル郡の陰で、巨大なナメクジのような怪獣と対峙しながら、ウルトラメンことジャグェア・ボムキェンは憂鬱な気分になっていた。  「シェアッ!」  彼は萎えはじめた戦闘意欲を奮い立たせるように大きく叫ぶと、ナメクジ怪獣に突進した。  グッチャッ!  怪獣の体表は、なにかヌラヌラした粘液で覆われており、殴るたび、蹴るたび、ぶつかるたびにその液が飛び散り、ウルトラメンの体をべたべたにす

          ウルトラメンの憂鬱【短編小説】

          『ふしぎとぼくらはなにをしたらよいかの殺人事件/橋本治』を再読する。

          ※この記事はネタバレを含みます。 #はにわを形作った10冊(仮) ということで、若かりし頃に読んでのちの人格形成に大きく影響を及ぼしたであろう本たちを紹介していくシリーズ。 1冊目は鬼才・橋本治が著した不思議なタイトルのミステリ(?)小説です。 生まれて初めて、本を読んで「怖い」と思った。この作品に出会ったのは確か中学生のころ。 当時のぼくは「小説家になる」という夢に縋ることで、およそ健全とは言えない家庭環境をむりやり前向きに捉えなおす、というようなことをしており、目に

          『ふしぎとぼくらはなにをしたらよいかの殺人事件/橋本治』を再読する。

          出し抜けに、明るく、軽やかに。ヤユヨ「さよなら前夜」を聴いた。

          25年前、夏の日、四畳半紛れもなく別れの曲なのである。 出し抜けに明るい音を鳴らして軽やかに始まるこの曲「さよなら前夜」のことだ。 MVにデカデカと踊る文字を見てもそうだ。 もう この部屋に来ることは ないかもしれないと 思ってしまった そうだ、これはあれだ。あのことを歌ってるに違いない。 ***** 真夏の午後の日差しがカーテン越しでも容赦なく降ってくる四畳半。 ルームシェアといえば聞こえはいいが、会社が借りあげた3LDKのごく普通の一軒家で、ぼくらは1人1部

          出し抜けに、明るく、軽やかに。ヤユヨ「さよなら前夜」を聴いた。