数学 Project note#7【数学B】数列発見ワーク
テスト・受験のためだけの教科書”を”教える授業からの脱却を目指し、高校数学のプロジェクト学習を紹介する記事です。お気づきなことがあればご指摘いただければ幸いです。
0.はじめに
↑は有名な写真ですよね。見方によって複数のものが見えるだまし絵です。
↑画面との距離を変えて見てみてください。これは盛り上がりますよね。
私が言いたいのは、だまし絵ではなくて、日常の事象を「数学的な見方考え方」を使って複数の見方をしましょうというワークです。
詳しくは、数学 Project note#6 「なぜ数学でプロジェクト学習なのか」
https://note.com/toitatelabo/n/n9842246ea5f1
1.山﨑の数列発見の例
例1)バスの時刻表【等差数列】
「等差数列」・・・隣同士の差が一定の数列のこと。
一定の差を「公差d」とよび、「項数n」が場所によって異なるんですね。どうしてこういう作りなのでしょうか?
例2)音階【等比数列】
「等比数列」・・・隣同士の比率が一定の数列のこと。
ドレミファソラシドの隣り同士には、周波数が×106倍の関係性があります。音楽業界では、1つ音階が上がることを「半音上がる」と言いますが、数学的には誤りで、数学的には「等倍上がる」あるいは、「周波数が×1.06倍上がる」というべきです。
例3)柔道の階級【階差数列】
「階差数列」・・・隣り同士の差をみると、規則がある数列
男子の階級:+6kg、+7kg、+8kg、+9kg、+10kg
女子の階級:+4kg、+5kg、+6kg、+7kg
ボクシングや、レスリング、水泳、どんな規則があるのでしょうか?
2.生徒の数列発見例
例1)タイルの幅【等差数列】
タイルの長さにも意味があるのでしょうか?木材を効率よく切るため?
和を求めていますが、これは幅の和ではないですね。幅を積み重ねた長さの和になります。それが分かっていればいいのですが。
例2)価格【等差数列】
これは大発見です。生徒はこんなに値段が違うのかと驚いていましたが、私はどうして40円の差をつけているのか、企業にも意図があるのではないかとコメントしました。
例3)コピー用紙の幅【等比数列】
「白銀比1:√2」(日本人が好む比率)で作られていることをフィードバックしました。
例4)ギターの弦の長さ【等比数列】・和音【等差数列】
音階が等比数列になることは、山﨑の例でも述べていたのですが、和音(コード)が等差数列になることは初めて知りました!素直に驚きました!どうしてこうなるのでしょうか?
例5)スターバックス 抹茶ラテ【等差数列】【階差数列】
3つの項しかない数列ですが、確かに等差数列と階差数列の2つの数列が隠れていました!!企業はこのようにした理由があるはずです。なぜだろう?
例6)黄金比【フィボナッチ数列】
「1つ前と2つ前足して、次の数になる」数列を「フィボナッチ数列」と呼びます。一般項の求め方も一緒に求めてみたいですね。
3.生徒の感想(一部)
①身近にある数列がこんなにも多いなんて発見できたことが1番嬉しかったです。値段の違いが役に立つと思いました。
②みんな自分が想像もしてなかったところで数列を発見していて数列に親近感が湧いた。
③学んだことを日常の中で見つけるのは数学の楽しさを見つけることにも繋がる。
④様々な人の意見を共有することで視野が広がる。ただ公式を覚えるより、それを身の回りのものと結びつけていく方が覚えやすいと感じた
⑤数列を使うということは、作った側になにか考えがあったのだと思うから、どんな考えでその数列にしたのかとても気になった。
4.最後に
このようなプロジェクト学習の発表には、教師の「ファシリテーション」や「フィードバック」が重要になる。私が心がけているのは、生徒の発表を聞いて、
❶別の視点を伝え、繋がりや広がりを見せること
❷問いを投げかけ、関心や興味を一層深めること
生徒の感想を見ていると、ある程度それらの狙いを達成できたのではないかと思う。
最後まで読んで頂きありがとうございます。ワクワクする数学教育の一助になれば幸いです。
よろしければサポートお願いします。いただいたサポートは,問い立てラボの活動費として,教育に関わる皆様へ還元できるように運営費として使用させていただきます。