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数学 Project note#2【数学Ⅰ】二次関数発見ワーク(授業想定:3h)

テスト・受験のためだけの教科書”を”教える授業からの脱却を目指し、高校数学のプロジェクト学習を紹介する記事です。不十分な内容があればご指摘いただければ幸いです。

学校現場に足りないものは…

それは、「現場」「本物」に触れる機会が少ないことだと思っています。実際のものに触れ、気づいたり、疑問を抱いたり、そんな机上の理論にはない「偶発的な学び」を期待したものである。(以下、私の好きな本の一節である)

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授業の目標

①日常において数学的見方考え方を働かせ、身の回りにあるもの(全体または一部)で放物線を発見する。
②グラフを描く活動を通して、放物線の性質を理解する。

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放物線発見!サンプル

【山﨑によるサンプル】➀通学途中にあった木(プラタナス)
https://www.desmos.com/calculator/7wqw5gzc7w

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②上海環球金融中心(森ビル)
https://www.desmos.com/calculator/8zqaevz4wl

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そして、街歩き数学…

と、したかったのですが、コロナ渦のため、授業中に校外へ出ることはかなわず、授業中は校庭を探索しました。

作品集(一部抜粋)

以下、生徒の作品を紹介します。予想外の発見のかずかずでした。
※生徒には掲載の許可を得ています。
➀校庭から見える建物の屋根

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屋根の形を放物線とみるこの観察力に驚きました。日本のお寺の屋根の形も計算された形だと聞いたことがあります。

②ボールの軌道

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その昔、ガリレオが砲弾の軌道が放物線であることを発見しました。そして、生徒の写真編集力にも驚きました

③タイヤ

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これは、円ではないのか?では円と放物線の違いってなんだろう??

④ねこ

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ねこのこの丸みは放物線からできているのか!?

⑤楽器(ティンパニー)

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放物線ではないような気がするが、この形には響きやすさなど計算された形ではないのか?

⑥ショッピングモール(蘇州中心商場)

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こんなきれいな放物線が建物に!スペインのサグラダファミリアにもこのような形が多いという(懸垂曲線か?)

生徒の振り返り

質問①:あなたにとってこのような数学的な学びは有効ですか?

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質問②:なぜそのように思うのか?
(肯定的な意見)
●身の回りの放物線が探せて身近に感じたから
●二次関数に興味が湧いた
●放物線の仕組みや性質を理解することができるから。
●放物線に見えて放物線でない線ってあるんですね。
●数学的にこのように決まった形には、その理由が必ずあると思う
(中立的な意見)
●放物線を探すのは楽しかったけど、グラフを書く時はあまり式などは意識しなかったから。

授業者の振り返り

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16~17世紀のヨーロッパでは、世界の覇権をめぐって戦争を繰り返していました。そのとき、強大な威力をもつ大砲を命中させようと砲弾の軌道がさかんに研究されました。しかし、砲弾の軌道がどの形をしているかは、長い間だれも正確には計算できませんでした。
その疑問に答えたのが、ガリレオでした。

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ガリレオ・ガリレイ(1564~1642)イタリアの物理学者・天文学者。砲弾の進む速度を重力を受ける向き(下向き)と水平方向とにわけて考えたのは、ガリレオが最初。水平方向の速度は変化せず、下向きの速度だけが時間とともに速くなることを示し、砲弾が「放物線」であることを導いた。(参考:Newton 微分積分)
こちらも見て↓(探究学舎Youtube)
https://www.youtube.com/watch?v=1IshL3k2kUU

屋根の形や、木の枝の形が本当に放物線なのかは、ガリレオのように確かめないといけません。その発見のためには、「実物」「本物」に出会う数学が必要だと思い、今回はそのような体験をできたと考える。
また、二次関数を作成する際に、グラフの性質(平行移動やグラフの開き等)の理解に繋がることを期待する。
課題としては、二次関数のグラフの性質の理解につながったかどうか検証ができていないことである。


最後まで読んで頂きありがとうございMath。

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