塔に出した自作の月詠まとめ 2022年7月号~9月号

塔短歌会に入会しました。今月の月詠も提出し、最初の半年が過ぎました。
掲載された3か月分の歌をまとめます。
入会経緯等は歌のあとにグダグダと書き連ねます(笑)

2022年7月号
狼はねぐらへ帰る傘もなく誰かの傘に入るでもなく
恋愛を諦めているモノトーンばかりの服に降れよ花びら
旅立ちがいつであっても構わないスマホの中に百冊の本
昨晩の雨に押されて何枚も窓のガラスに貼り付く桜
真空のお茶の袋が律義にも閉じ込めていた前のはつなつ
少しずつ次の検査よ遠くなれできたら年賀状くらいまで
酔いそうなほどなみなみと光満つ春チューリップはグラスの形

2022年8月号
リラックスするための手の簡単な運動としてフリスクを出す
封印に置いたマウスは小さいが月曜までは蓋を開けない
概念を上書きされてしまいそう池の菖蒲がどれも黄色い
アレンジを変えてサンバにしたように白髪を染めた母が明るい
半地下の駐輪場を出る時に目指した光街にあふれる

2022年9月号
灯りには音はないのに暗くした途端に雨が雄弁になる
スヌーズを叩いて五分押し戻す日付変更線は寄せる波
制服のようにみんながお揃いの朝顔鉢は蒔かれたばかり
落書きを日の暮れるまでしたような飛行機雲がみな染まりゆく
燃やされた後は炭素に還るなら人類はみなダイヤの仲間

結社に入ることを考え始めてから5年以上は経つ。人間関係が難しそうとか、途中ではこんなにセンスがないのに短歌を続ける意義は?で歌を詠むこと自体をやめようとか、その時どきで色んなブレーキがあった。

短歌を詠み始めたのが遅くて、twitterでもうたの日でも年齢がいっているほう。twitterでお名前のあがる同世代の歌人はみなさんお歴々。歌歴も9年目と言えば長いかはともかく短いとはもはや言えないと思う。そういう状態でのこのこ?などという過剰な自意識もあり。

嬉しいのは憧れている歌人の方の最新の歌が読めること。twitterをなさらないようで最初の入会目的もそこだったと思う。しかも自分の歌を読んでもらうチャンスがある。ちょっとすごい。

一年やってなんとか月詠を出していけるならよし、いけないならそこでやめるかもしれないけれど、一周まわってもうこれは老活と考えた方がいいのではと開き直って今ココ。片隅に自分の歌を数首載せていただいて、好きな歌が読めてこれで十分かどうかを自問自答して、答えはイエスだった。

いつも締め切りぎりぎり、連作なんて夢のまた夢ですが、まずはあと半年、頑張ります。

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