塔に出した自作の月詠まとめ 2023年1月号~3月号

結社誌に掲載された3か月分の歌をまとめます。なんとか途切れることなく12回提出できました。仕事が少し忙しくなって、他への投稿やうたの日は頑張れない日もありつつ、優先順位を月詠においてこれだけは提出していきたいと思っています。

2023年1月号
酔芙蓉しらふのままで散るように告白までは至らずに秋
誰にでもあるよダブルスタンダード雨が降るのを今日は責めない
窓からの光は淡く色彩を失くす観光ポスター静か
さみしさを投げ込んでみる画面越し後ろを向かずトレビの泉
クリックの本屋で買ったスワイプで読める雑誌に名前を探す
寝癖にはヘアスプレーをオクラには木酢液を気休めとして
本当は苦手な人がいたにせよもはや言えないほど金木犀

2023年2月号
自分にも嘘はつかずに生きていくケーブルカーは往復で買う
行列に三年ぶりに並ぶときマスクごしにもソースの匂い
一つでも同意しないと進めないチケットまでの長いクリック
珈琲が沁みる日だねと言いあった寒いと言えば寒くなるから
タワマンが地震に遭っているようなあなたの緩い貧乏ゆすり
期限切れのコロナキットがあるけれど少し齧ってみたりできない
事務的な厄介と化す四度目の接種のあとの腕の重たさ

2023年3月号
読み差しの歌集に挟むものがなく手にした喪中葉書また読む
冬ですと言われた途端ひび割れて我が唇は口より素直
一時間停まったままの救急車いまだコロナか師走のせいか
陰口でわかり合ってる月末の仲間意識もそれなりにある
サッカーで勝てばニュースはそればかり一方円も少し上がった

ここまでお読みいただきありがとうございました。

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