2022年自選30首

おかげさまで今年も楽しく歌を詠む一年を過ごせました。ありがとうございました。2022年の自選30首をまとめました。最後の六首以外は全て「うたの日」からです。

ひたすらにペットボトルを踏み潰す主婦とは何のはしくれだろう日『くれ』
引きかえに何が叶ったかというとパピコを二本食べることです『叶』
軒先にカメラを置いてみてからのもう一回がなかなか来ない『もう一回』
何度でもサマージャンボを買うように楽して痩せる特集が好き日『度』
キャンドルの連なるような道だからラジオネームで祝っほしい『キャンドル』
比喩だった津波が比喩でなくなってそこからはもう上書きがない『津波』

くちびるを黄身がたらりと彩って真昼のロッテリアにあるまじき『たら』
5mあると静観できるのでこれがセミとの社会的距離『自由詠』
宵越しのポテトチップは持たねえと私の中の江戸っ子が言う『宵』
スカートの中にジャージでいいじゃない焼きそばだってパンにはさむし『パン』
史実からするとそろそろ後がない役者の咳で次回へ続く『史』
熱かろう鍋敷きにした新聞に辞めた会社を褒めている記事『敷』
人として聞く質問じゃないだろうMen In Black就活の危機『映画のタイトルを詠み込んで』
見かけたらヨーゼフなんて言っちゃうね半分ぐらいメス犬かもね『犬』
品数の寂しくなった和菓子屋で母の具合をぽつぽつ話す『寂』
連れ添えば似てくるらしい将来はとても優しい人になりたい『夫婦』
回答は来たのだろうか吉宗の目安箱にも冬の死にたさ『徳川』
クリスマスローズくらいにおとなしくうちの銀座も歳末の色『クリスマスローズ』

パソコンが寝室にあり箸先で取り除きたい殻に似ている NHK短歌『寝室』
家吞みの肴を探すスーパーでよその子どもとカニカマを見る NHK短歌『肴』

酔いそうなほどなみなみと光満つ春チューリップはグラスの形 塔 七月号
灯りには音はないのに暗くした途端に雨が雄弁になる 塔 九月号
枯れもせず育ちもしない苗があり息子が一人増えた気のする 塔 十月号
本にあるレシピを二倍する夜もあったいつかは半分になる 塔 十二月号

最後までお読みいただきありがとうございます。年末に新型コロナに感染し、スタミナ切れの中バタバタした年末で、今年はエピソードなしにしました。4月に塔短歌会に入会したのが短歌生活においての最大の出来事でした。と言って月詠を出す以外のことは何もしないのですが、これからも細く長く短歌を詠みそして読む日々の足場を作っていきたいと思っています。

うたの日は9年目にして百首目の薔薇をいただきました。今年の目標だったので嬉しいです。百薔薇で成績が急に変わるわけもなく、日々次の薔薇の一首を目指しつつさぼりつつ。マイペースに拍車はかかったかもしれません(笑)

来年も投げ出さず無理をせず短歌とつきあっていけたらと思います。これからもお付き合いのほどよろしくお願いいたします。  といじま拝

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