ダイアリー #初デート
陽射しの強い午後、大通りのフルーツパーラーの入口で大和は緊張のあまり足が震えていた。この場所は、彼の恋い焦がれる先輩、さくらが好きだと言っていたお店だった。
さくらは、彼の目の前に現れ、優しい笑顔を浮かべて言った。
「待たせてごめん、大和くん。」
大和は何を返そうかと慌てて考えたが、緊張のあまり「い、いえ、きょ、ありが…あ、待ってないです…」と、意味不明な返事をしてしまった。
二人は店の中に入り、フルーツたっぷりのスイーツを選んだ。テーブルに運ばれてきたスイーツを前に、大和は自分が何を話しているのかもわからないほどの状態に。一方、さくらは彼の緊張を察して、話題を提供してくれた。
「最近、クラスの友達と遊ぶことが多くてね。あ、でも、好きな人とはまだ…」
彼女はそこで言葉を止めた。大和の心はドキドキと高鳴った。
「好きな人…いるんですか?」
さくらは少し困った表情をしたが、優しく答えた。
「うん、実はいるんだ。」
食事の後、二人は大通り公園に向かった。木陰の下、小鳥たちのさえずりと子供たちのはしゃぐ声が聞こえる中、ベンチを見つけて座った。さくらは彼女の持っていたストロベリーのアイスを舐めながら、穏やかに公園を眺めていた。
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「公園って、落ち着くよね。特にこんな暖かい日に。」さくらが言った。
大和は深呼吸をして、勇気を出して言った。
「ずっと、この日を楽しみにしてました。先輩と過ごせる時間を。」
さくらは少し驚いたような目をして大和を見たが、すぐに優しい笑顔になった。
「ありがとう、大和くん。私も楽しかったよ。」
その瞬間、大和は言葉を失ってしまった。彼の心の中では、さくらへの気持ちが渦巻いていた。彼は自分の気持ちを伝えたいという想いと、さくらが好きな人がいるという現実の間で揺れ動いていた。
「実は、先輩…」大和の言葉をさくらは待った。
「あのっあの…」彼女は彼の緊張を感じ取り、優しく彼の手を取った。
「大和くん、何か言いたいことがあるんだよね?」さくらが聞いた。
大和は深く息を吸い込んだ。
「先輩が好きな人がいるのは知っていました。でも、僕は先輩のことが、あの時から、好きで好きでたまらないんです。」
さくらはしばらく沈黙し、やさしく微笑んだ。「ありがとう、大和くん。その気持ち嬉しいよ。…でも、ごめんね。」
わかっていたことだった、それでも伝えずにはいられなかった。悲しい気持ちをこらえて、
大和は残り少ないデートの時間を心に刻みつけるように過ごした。
空が紅く染まり始めた頃
さくらは深呼吸し、彼の目を見つめた。
「大和くん、私には好きな人がいるけど、今日は楽しかったよ誘ってくれてありがとうね。」
大和は微笑み返した。
「僕も先輩と一緒に過ごせた時間、僕にとって宝物です。ありがとうございました」
二人は公園のベンチにしばらく静かに座っていた。周りは静寂で、たまに吹く風や、遠くから聞こえてくる子供たちの笑い声だけが聞こえる。それぞれの胸には複雑な思いがあったが、この瞬間を大切に感じていた。
やがて太陽が沈み、公園には夜の帳が下りた。二人は手を振りながら別れた。
今日の経験は、彼の心に深く刻まれることとなる。
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