競馬連載025

「個性はいろいろあるわけです」

「先週の重賞を回顧してみた」
編集部Kによる重賞回顧。レースをあらゆる角度から読み、
独自の視点で語ってみる。次走狙いたい馬、危険な馬を指摘しつつ、
なんとなく役に立ちそうなコーナー。ときに自らの馬券の悔恨と反省も。
基本、競馬が終わった、ちょっと寂しい月曜日に掲載。


【第65回オールカマー】回顧
2019年9月22日(日)3歳上、GⅡ、中山芝2200m


 神戸新聞杯のサートゥルナーリアは圧巻のひとこと。いったい日本ダービーはなんだったのかと思いたくなるワンサイド。菊花賞路線の大将格ヴェロックスをこども扱いですから、これはいったい、このあとどこに行くんでしょうか。ルメールさんはニシノデイジー騎乗らしいし、どうなるんですか?菊花賞出走ならクラシックタイトルを手中に収められそうなんですが。
 
 あ、いかん、オールカマーの回顧でした。
 
 「うーん」と固まったまま数分が経ちました。

 ウインブライトについては中山の鬼ではなく、中山内回りの鬼という可能性を戦前から探っていたので、あ、やっぱりという印象。松岡騎手は距離を敗因に挙げていますが、そもそも4角回ってから伸びる素振りすらなかったので、距離というより外回りなんだと感じました。

 中山の外回りと内回りってそんなに違うの? って方はジョッキーシミュレーションゲームの決定版『GIジョッキー』(コーエーテクモ)をやってみてください。中山内回りは3角から4角とずーっとコーナーですが、外回りは3角がおむすび型の頂点にあたる部分で、そこから4角にかけてはちょっと直線っぽい部分を走って4角を割と急に曲がります。

 コーナーでじわっと加速するタイプが内回り巧者なら、外回り巧者は緩やかな3~4角で素早くギアチェンジしてトップスピードに入れるタイプ。ステイゴールド系が強いのは、この小脚が効いたギアチェンジにあると。え、ウインブライトもステイゴールド? そうですね、ウインブライトはジワジワと加速して、短い直線で一気に伸びるタイプで、ステイゴールド系としては勝ちきれるタイプなんです。で、一気に加速しなければいけない3、4角で反応し切れなかったと。

 いや、ウインブライトじゃないでしょ、ここで振り返るのは。
 そうです、勝ったスティッフェリオはやはりこの馬場で先手を奪った丸山元気騎手の作戦勝ちです。先手を奪いたいのは2勝クラスのトニーファイブ(ここを使うあたり森厩舎は計算上手)ぐらい。馬場はCコース替わり1週目、しかも想定していた雨は降らず。後ろに差し脚で上回る馬がいる以上、先手を奪うのは最上の策です。トニーファイブでは競りかけられないわけですから、見事なマイペース。残り1000mからラップを上げて、4角から坂下を11秒2-11秒0。中山2200mの鬼ミッキースワローが迫るも、こちらは道中溜めていたからこその伸びで、捕らえられるわけがありません。早めに仕掛けて持たせる、勇気ある好騎乗でした。

 いやいや、まあ、それもそうですが、ほら、いるでしょ、他にも。
 え? ミッキースワローですか? ん? レイデオロですか。

 「うーん」

 レイデオロは、たぶんスローを動いて勝った日本ダービーがベスト。控えて外を回すのは馬の個性とも噛み合わず、いわんや今開催の中山の馬場にも合わないわけですから、4着は妥当かと。
 前半から攻めて、途中で自分で動くような競馬をとは思うんですが、ドバイの悪夢がどうもそういう競馬をさせづらそうに。

 サートゥルナーリアの進路も生産牧場、ジョッキー的に微妙なわけで、秋の中距離路線はアーモンドアイとその他って構図に落ち着いてしまいそうです。

(編集部K)

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