競馬連載028

「ハイペースのようなそうでないような」

「先週の重賞を回顧してみた」
編集部Kによる重賞回顧。レースをあらゆる角度から読み、
独自の視点で語ってみる。次走狙いたい馬、危険な馬を指摘しつつ、
なんとなく役に立ちそうなコーナー。ときに自らの馬券の悔恨と反省も。
基本、競馬が終わった、ちょっと寂しい月曜日に掲載。


第24回秋華賞
10月13日(日)3歳牝馬、GⅠ、京都芝(内)2000m


 「ペースってハイペースとか平均ペースってどこを見て決めるんですか?」
 そう聞かれたのは秋華賞の前々日の金曜日。聞いてきたのは馬運の強さは社内ナンバーワンの先輩。普段、あまりラップタイムには興味がないらしく、以前からそこが気になっていたよう。好きなテレビ番組は「先週の結果分析」@グリーンチャンネルというワタクシに聞くのが早いと判断されたのでしょう。で、ワタクシはなんと答えたのかといえば、
「馬場による時計差、競馬場のコースによる違いは加味しつつ、基本は前後半を半分に区切って考えます」
 仕掛け人上田先生に勝手に学んだワタクシ、基本は前後半のラップバランスを重視。流れはどこに最適だったのかを解とし、そこから出走馬の適性を見計らい予想を組み立てます。
 
 そんな意味では2000m戦はラップバランスを考えやすいですね。まあ、本当に分かりやすいのは1200m戦ではありますが、2000m戦も5ハロン(1000m)できれいに区切れますし、コーナー通過もどの競馬場もおよそ前後半で同じ回数(新潟は例外)、ちょうど半分にきれいに分かれる距離ではあります。

 秋華賞っていえば、以前は2000mGⅠのなかでもハイペース多発の難解レース。ブゼンキャンドル-クロックワークで決まった1999年(前後半5ハロン58秒4-60秒9)など思わぬ急流が多い。近年は桜花賞ですらスローペースになるので、秋華賞のハイペースも減少傾向ですが、ディアドラが勝った2017年は重馬場で前後半5ハロン59秒1-61秒1としばしば前傾ラップ(いわゆる前半が速い、つまりハイペース)が出現します。

 今年はまさかビーチサンバがペースを刻むとは思いませんでしたが、前半5ハロン58秒3で後半が61秒6といわゆる前傾ラップのハイペースではありますが、差し馬はシゲルピンクダイヤとシャドウディーヴァ3、4着がやっと。勝ったクロノジェネシスは好位の真後ろで、2着カレンブーケドールも4角ではほぼ同位置でした。

 ここがややこしく、確かに表面上はペース表記はハイなんですが、確かに前半は11秒台後半で進む息が入らない流れでした。ところが5ハロン通過直後の1000~1200mと1200~1400mで12秒7-12秒5というペースダウン。逃げたビーチサンバがバテたわけではないので、これ、恐らく3角手前から息を入れたんでしょうね。前半飛ばして急ブレーキという謎めいたラップが後半で時計を要した隠れた原因なわけなんです。これはハイペースとは言えません。って書いちゃうと、またあの先輩がこんがらがっちゃいますかねぇ。

 つまりは大事なのは前後半のラップバランスだけではなく、どこが速くてどこが遅かったのかっていう流れのなかにある落差を見極めましょうってことです。ハイペースだけど前が頑張ったわけではなく、どちらかと言えば、3角でペースダウンから再加速されたことを考えれば、むしろ差し込んできたシゲルピンクダイヤとシャドウディーヴァを見直したいところですかねぇ。普通に勝ったクロノジェネシスが強いともいえそうですが。

編集部K



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