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『遠野物語』現代語訳

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ゆっくり遠野物語。 ちくま日本文学全集『柳田國男』、青空文庫を底本としています。
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#山の神

遠野物語89

山口より柏崎へ行くには愛宕山(あたごやま)の裾を廻るなり。田んぼに続ける松林にて、柏崎の…

mikovskaja
4年前
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遠野物語91

遠野の町に山々の事に詳しい人がいる。もとは南部男爵家の鷹匠である。町の人は鳥御前というあ…

mikovskaja
4年前
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遠野物語93

これは和野の菊池菊蔵という人、妻は笛吹峠のむこうにある橋野から来た人である。この妻が親里…

mikovskaja
4年前
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遠野物語98

路のわきに山の神、田の神、塞(さえ)の神の名を彫った石を立てるのはいつものことである。ま…

mikovskaja
4年前
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遠野物語102

正月十五日の晩を小正月という。宵のほどは子供らは福の神と称して四、五人でグループを作り、…

mikovskaja
4年前
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遠野物語107

上郷村に河ぷちのうちという家がある。早瀬川の岸にある。この家の若い娘、ある日河原に出て石…

mikovskaja
4年前
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遠野物語108

山の神がのりうつったといって占いをする人は所々にいる。附馬牛(つくもうし)村にもいる。本業は木こりである。柏崎の孫太郎もこれである。以前は発狂して魂を抜かれたようになり、ある日山に入って山の神からその術を得たあとは、不思議と人の心の中を読めるのは驚くばかりだ。その占いの方法は世間の者とは全く異なる。何の書物をも見ず、頼みにきた人と世間話をなし、その中でふと立って居間の中をあちこち歩き出すと思うほどに、その人の顔は少しも見ないで心に浮かぶことを言う。はずれることはない。例えばお