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【140字小説】とある先生とアシスタントの日常♯11~15

♯11(2022/02/25)

「先生、お暇ですか?」
「…スケジュールに余裕はあるけど。」
「ゲームしましょう。」
「…嫌な予感しかしないよ…」
「“大好き”って10回言って下さい。」
「…大好き、大好き…大好き。」
「こっち見て下さい。」
アシスタントの顔を見ると、
「私もです。」
…ゲームになってないよ。


♯12(2022/03/05)

「先生、また盗んでもいいですか?」
「…今度は何?」
「反応薄いですね。」
「いつも、君の冗談に付き合ってるからね。」
「…冗談だと思ってます?」
「まあ、10個下の女の子の言う事だし。」
「…確かに冗談です。」
ほらね。
「唇を盗んだのは一回だけです。」
…それも冗談だよね?


♯13(2022/03/09)

「先生、お時間頂けます?」
アシスタントからの電話だ。
「どうしたの?」
「私、彼氏が出来ました!」
「は?」
「先生にノロケたくてー。」
「お姉ちゃん!私のスマホで何してるの!」
「あ、バレた。」
…彼女と僕の後輩である彼女の姉は声が似ている。


♯14(2022/03/14)

「先生、いいんですか?」
「遠慮しないで。」
今日はホワイトデー。
一緒に出かけて、有名店のマカロンを買った。
「食べてみたかったんです。」
「あ、これ。」
と小さな袋を渡す。
「これ、見てたでしょ?」
中身はJILLSTUARTのコンパクトミラー。
「…ポンコツのくせに。」
なぜ悪口?


♯15(2022/03/20)

「先生、怒ってます?」
「…困ってます。」
「嫌な仕事ですか?」
「“七海季夏先生”の新刊の推薦文だよ。」
「…姉の帯書きですか。」
「あいつ、絶対僕をおもちゃにしようとしてる…」
「…じゃあ、先生は妹をおもちゃにしてみます?」
と唇に人差し指を当てる。
…ホントに姉妹揃って…



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