2019年度eBASEBALL中日代表選手を語る

本日3月24日、プロ野球バーチャル開幕戦の開催が発表されました。

2019年度のeBASEBALLプロリーグが閉幕した後、楽しみにしていたはずのプロ野球がなかなか開幕せず気が滅入る一方だった私にとっては、この上ない朗報でした。
出場選手などの詳細は3月27日に発表されるとのことですが、これに先駆けて――といいますか、前回eBASEBALLに関する記事を書いた後、もう一つ書きたいなと思っていたことが未だに形にできていなかったので、これを機会に書いてみようと思います。
タイトルの通り、2019年度eBASEBALLプロリーグの中日ドラゴンズ代表だった4人の選手の皆さんについて、です。
前回同様、あくまでも私から見た選手の皆さん、という視点で書いておりますので、ご了承の上お読みいただければ幸いです。

※紹介順はドラフトの順位です。また、文章中では呼称として本名ではなくプレイヤーネームを用いています。


1.愛情深きキャプテン 菅原翔太(ぶんた)選手

勝手に付けた肩書きの「愛情」には、二つの意味があります。
一つ目の愛情は、言わずもがな中日ドラゴンズに対する「愛情」。パワプロのトップレベルのプレーヤーの中で、彼ほどドラゴンズ愛の深い選手はいないと言っても過言ではありません。
誰よりも現実とパワプロ、その両方の中日ドラゴンズを知り尽くした上で行われる采配やプレー。そんなぶんた選手の試合は、一言で言えば「安定感」のある試合です。その安定感は、ぶんた選手の投打における高い技術、そして大舞台でのプレー経験に裏打ちされています。
二つ目の愛情は、チームメイトに対する「愛情」。シーズンを見てきたファンの方ならご存知かと思いますが、彼は誰よりもチームメイトの成長、進化、その先にある勝利を喜ぶ人です。特にシーズン終盤、涙を流して喜ぶぶんた選手の姿を見る度に、私は強く心を揺さぶられました。
私がこの「愛情」を特に強く感じたのは、チームメイトのみかん選手がYouTubeのパワプロ配信で話されていた、第5節のロースター決めのエピソードを聞いた時です。
第5節のジャイアンツ戦のロースターを決める際、みかん選手は負けることを前提に、自分が強い相手と当たりに行くから他の2戦を確実に取って欲しい、と言ったそうです。けれどもぶんた選手は負けると分かっている試合に出させるなんてできない、みかん選手を何としても一勝させてやりたいという思いで、少しでも気を楽にしてプレーできるであろう第3試合に出てはどうかと提案したのだそうです。
結果、みかん選手は第1試合に出場して、見事にプロとしての初勝利を手にしました。この時みかん選手を思いきり抱き締め泣いていたぶんた選手の喜びはいかほどのものであったか――このエピソードを聞く前と後では、感じ方が全く違ったものになってくるのではないでしょうか。少なくとも私はこのエピソードを聞いた時、他の3人の選手がことあるごとに「ぶんたさんのために」「キャプテンのために」という言葉を使っていた理由が、今更ながらようやく理解できたような気がして、強い感動を覚えました。
中日ドラゴンズに対する深い愛、高い技術に裏打ちされた安定感のあるプレー、誰よりも仲間を思いやり勝利を喜ぶ姿――彼がキャプテンであったからこそ、中日ドラゴンズというチームはシーズンの中で進化を続け、それぞれが個性を遺憾なく発揮してのびのびとプレーし、これほどの快進撃を見せてくれたのだと思います。
私のお勧めの試合は第4節のカープ戦です。とにかく初回がとても楽しい! それ以降もぶんた選手らしい「安定感」のある試合展開となります。是非見てみてください。


2.生粋のエンターテイナー 岡久将吾(デジうち)選手

この肩書きは前回書いたnoteでも表現として使いましたが、個人的に気に入ったのでこちらでも使わせていただきました。でも大げさでも何でもなく、本当にデジうち選手は、(敢えて意図したものでなくとも)見ている人を楽しませる天才なんじゃないかなと思っています。
デジうち選手のプレーにおける「ひらめき」の凄さは、キャプテンであるぶんた選手もスポブルの記事の中で語っておられた通りです。


第4節の大島選手の外野前進ファインプレーキャッチ、そして第5節の「岡久スペシャル」。
デジうち選手のプレーを語る上では特に象徴的なものですが、デジうち選手のプレーを見ていて思うのは、何より「とても楽しい」ということ。次は何が起こるんだろう? どんなことをしてくれるんだろう? 先の展開が全く予想できないワクワク感に魅せられて、いつの間にかデジうち選手の虜になっていた人も多いはず。間違いなく私もその一人で、eBASEBALLが閉幕して一番に感じたのは、もうデジうち選手のあの個性大爆発なプレーが見られなくなるのか……という寂しさであったように思います。
そしてもう一つ、デジうち選手を見ていて思うのは、とてもハートが強いということ。
猛者揃いのプロリーグで、自宅とは違い多くの観客に見られながらプレーする、というのは当然緊張するでしょうし、普段通りのプレーができないことも多々あるのではないかと思います。実際、デジうち選手も試合中緊張して震えていた、とヒーローインタビューで語っておられたこともありましたが、それを感じさせないくらいの大胆なプレーをやってのけるハートの強さが、デジうち選手の魅力の一つではないかと思います。
特に第5節のジャイアンツ戦は、その魅力を最も感じられた試合だったのではないでしょうか。
「岡久スペシャル」という奇策中の奇策もさることながら、ジャイアンツOBの王貞治選手を申告敬遠してみせたシーンが、私は強く印象に残っています。ドラゴンズが負けないための当然の策でありながらも、観客の誰もが期待している、ドラマが求められるあのシーンでその「当然」をやってのけたという点において、なんてハートが強いんだろうと感じました。
そんなプレー中のクールな表情と、ヒーローインタビューでのゆったりとした口調のギャップに心を掴まれる人も多いはず。
私のお勧め試合は上でも述べた、彼の個性が爆発している第4節のカープ戦と第5節のジャイアンツ戦です。あの奇策だけではなく、彼の魅力全てをひっくるめた「岡久スペシャル」を、是非堪能してみてください。


3.努力で夢を掴み取る新星 新井宇輝(みかん)選手

この4人の中で、実はみかん選手の肩書きをどう表現すべきか、ということに一番悩みました。というのも、みかん選手を表現する言葉が自分の中にたくさんありすぎて、選びきれないと思ったからです。
悩んで悩んでようやく上記の表現に収まりましたが、これでも彼の魅力を伝えるのに不十分のような気がしています。それくらい、みかん選手も素晴らしい魅力を持った選手です。
みかん選手は現役高校生であり、卓球という道を怪我で諦めパワプロに活路を見出した、など、おそらくチームの中では最も話題性のあった選手でした。第2節のタイガース戦では、デジタル操作で最後までしぶとく相手に食らいついていくプレーを見せるなど、話題性だけではない才能の片鱗を見せていました。
けれども、なかなか勝ちに結びつかなかった。そんな彼とチームメイトたちが取った選択肢は、シーズン中にもかかわらず、操作方法をデジタルからアナログへ変える、というものでした。
調整期間は驚きの一ヶ月未満。それでもみかん選手はアナログ操作に対応し、第5節のジャイアンツ戦で見事にプロ初勝利を手にしました。この期間、血の滲むような努力を積み重ねてこられたであろうことは、想像に難くありません。どれほど技術の高いプレイヤーであっても、一つ勝つのが本当に難しいプロリーグの中で、最後の最後にようやく掴み取った勝利。みかん選手にとって、そしてチームにとってこの上なく大きな価値を持った勝利でした。
と、ここまで初勝利の試合を熱く語ったのですが、実を言うと、私がみかん選手の魅力を真の意味で理解したのは、プロリーグが終わってから――みかん選手がYouTubeでパワプロの配信を始めてからのことだったりします。
パワプロのオンライン大会、いわゆるパワプロ杯でPR70を目指す動画が始まり、私は都合のつく限り、配信を見に行きました。最初のうちは1試合目、2試合目で負けて終わってしまっていた配信が、日を経るごとに1時間、2時間と伸びていくのを見ながら、私はすっかりみかん選手の虜になっていると気付きました。理由は一つ。上達の過程を見るのがとても面白く、ワクワクさせてもらえるものだったからです。
プロリーグの期間は、当然のことながら選手達が練習している様子、上達していく過程を外にいる人間が見ることはできません。ですがプロリーグが終わった後、みかん選手の配信を通じて、私はその過程を見せてもらうことができました。短期間に驚きのスピードで成長していくみかん選手を見ながら、シーズン中、チームメイト含めプロプレイヤーの皆さんが絶賛していた彼の才能と魅力はここにあったのかと、配信を通じて感じることができました。
なので是非、機会があれば、みかん選手のパワプロ配信を見に行ってみることをお勧めします。アーカイブにも面白い試合がたくさんありますので、興味があれば是非。


4.不動のエース 脇直希(みぞれん)選手

4人の中では、一番迷うことなくこの肩書きが浮かびました。2019年のドラゴンズ代表において、みぞれん選手が不動のエースであったということはまごうことなき事実です。
特にeクライマックスシリーズファーストステージにおいて、彼という存在が試合の中でどれほど大きなものであったか、というのは、前回書いたnoteでも語らせていただきましたし、試合を見ていた人たちみんなが感じていたことであろうと思います。
私はみぞれん選手のプレーや言動を見ていて、ああ、“プロ”なんだな、と感じることが多々ありました。いかなる逆境でも諦めず上位に食らいついていこうとする気概。試合の振り返りにおいても、ネガティブなことよりもポジティブなことを拾って次へ繋げていこうとする姿。プレーにおける高い技術は当然のことながら、何よりもみぞれん選手の試合に臨む“姿勢”に、私は一番魅力を感じていたように思います。
シーズン後半になるにつれ、みぞれん選手ならどんな強いプレイヤーが相手でもやってくれるはずだ、最高の結果を残してくれるはずだと、試合を見る前から思えるようになっていきました。一ファンとして応援していて、本当に楽しいと思えたプレイヤーでした。特に第5節、eCSファーストステージにおいては、私の想像を遙かに超えたプレーを次々に見せられて、すっかり夢中になってしまいました。
それだけではありません。特にeCSの時には顕著でしたが、試合中に見せる「笑顔」が彼の魅力の一つでもありました。いかなる逆境であっても、みぞれん選手は眉間に皺を寄せることがありませんでした。点を取られたなら取り返せばいい、最後まで諦めない、そんな思いが顕著に出ていたように思います。だからこそ、eCSの試合後には、力が抜けて立てなくなってしまったみぞれん選手と同じような脱力感を味わいました。けれどもそれは、決して嫌な感覚ではなく、心地よさすら感じるような脱力感でした。最後までドラゴンズファンに希望の光を見せ続けてくれたみぞれん選手に、改めて感謝の言葉を贈りたいです。
私のお勧めの試合は第2節のタイガース戦、第3節のスワローズ戦、第5節のジャイアンツ戦、eCSの試合全てです。どの試合にも語りきれないほどみぞれん選手の魅力がたっぷり詰まっています。是非見てみてください。


5.最後に

2019年の中日ドラゴンズ代表は、私の拙い文章では伝えきれないほど、本当に本当に素敵なチームでした。
それぞれに魅力的な個性があって、試合中はその個性を存分に発揮しながら戦う。けれども決して孤立することなくまとまっていて、チーム全体で少しずつ成長しながら上を目指していく。応援していて、本当に楽しいチームでした。少しでもその魅力が伝わっていれば、これ以上嬉しいことはありません。
最後になりましたが、ここまで読んでくださった方へ。ただの一ファンの文章にお付き合いいただき、本当にありがとうございました。
バーチャル開幕戦が今から楽しみでなりません。何事もなく無事開催されますように、皆さんの熱戦がまた見られますように。祈っています。

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