見出し画像

南平台の記憶・その5 南国酒家マンション

昭和40年代、渋谷区桜丘のさくらマンションが渋い存在感を放っていたという話をしたが、当時すでに、高さから言えばもっと大きなマンションができていたということは、上の写真からもわかる。

この写真は、南平台にあった社宅アパートの4階部分にあたる屋上から撮影したものの一部を拡大したものだが、奥に見えている二つのマンションは、地図から想像するに、現在もある「渋谷コープ」、「桜ヶ丘ハイホーム」あたりではないかしらんと思うのだが、どうだろう。だいたいの方向からの当てずっぽうなので、違っていたらごめんなさい。
渋谷コープは昭和35(1960)年竣工の8階建、桜ヶ丘ハイホームは昭和43(1968)年竣工の9階建。この写真は昭和44、5年ごろのものだと思う。


渋谷コープというマンションについては、中国料理店「南国酒家」のWIKIで、かなりのことがわかった。

ヴィンテージマンションのひとつで、原宿駅前のコープオリンピアというマンションはよく知られているが、それを建てた東京コープ販売株式会社が、コープオリンピアより5年も早い昭和35(1960)年に、渋谷区桜丘に建てた高級分譲マンションが渋谷コープなのだそうだ。翌年、同経営者が、マンションの一階に南国酒家をオープン。

(WIKIには書かれていないが、桜丘の南国酒家は、2011年に閉店したようだ。原宿コープオリンピアの南国酒家は現在も本店として営業中。)


桜丘の、一階に南国酒家があったマンションのことだったら覚えている。南国酒家があるから、おとなたちも「南国酒家マンション」と呼んでいたような気がするのだが、どうだっただろう。
友達が住んでいたので遊びにいったこともある。これが、わたしの人生で初めてのマンション室内への潜入体験だったかもしれない。皮製の立派な応接セットだけのための部屋(つまり応接間)があり、なんか場所がもったいない、畳の方が楽そうだな、と思った覚えがある。

それと、マンションの屋上に、「南国酒家」という大きなネオンサインがあったような気がする、のだが、これはちょっと自信のない怪しい記憶だ。

上の写真を見たとき、マンション屋上に看板があるのを見て、あれ?もしかしてネオンなんかなくて、ただの看板だった?と、非常に記憶への自信が揺らいでいる。
一階のお店入り口の「南国酒家」という文字も大きかったから、それを覚えているだけなのかもしれない。もしかしたら、写真のマンションは、南国酒家マンション(渋谷コープ)ではない可能性もあるし・・・。

まあしかし、あの看板の向きなら、渋谷、恵比寿間の山手線の中からも、東横線の中からもよく見えたことだろう。
南国酒家でなくとも、広告を出したい人はいくらでもいたに違いない。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?