裏千家流 茶の湯(5)


茶湯一会集要約
先の記述で宗観の一会集で独座観念につき書出したことの思い出して、この度の要約の掲載を思い付いたものです!
過去の「茶と禅の会」でのお茶では、茶事の稽古茶をしましたが、その折に坐禅と茶書輪読をしており、この書の輪読もありました! 資料としては他流ながら高度な茶論との評価でその読書をお薦めします! 勿論、裏流とは別感性もありますが、十分に参考になると評価をします!

(前書)
*茶湯の交会は一期一会といいて、例えば幾度おなじ主客交会するとも今日の会に再びかえらざることを思えば、実に我一世一度の会なり、必ず主客とも等閑には一服をも催すまじき筈のこと、即ち一会集の極意なり!
*敷松葉は枯葉の色良きを選び良く洗いて薄く蒔くべし、地に落ちつきて見えざるよう、今梢より散り掛りたる如くすべし! 露地に松の木なくば松葉蒔くことなし! 敷松葉は春あげころまで敷きかえることはないが、汚れあって見苦しければ少しづつ敷きかえてよし!
*塵穴の内露地の落葉折れ枝を水に浸していれる! 塵箸青竹に改め立て掛けおく!
*蹲は朝に水を入替えて蓋を致しおき、客待合に揃い前に蓋取入れおく
*露地下駄は露地の入口萱門のした、寄付小座敷あればその沓脱石にもたせておく、露地中は主客とも下駄をはくこと古規なり
*水を打つこと数寄者の行にて亭主自ら鍛錬すべし、露地の打水を露という、一会の内三露なり
*客入来前に下露、内外露地一体に潤い行き届く如く水を打つこと、樹木の半ばまでも打つこと梢まで打ちかけ雫の落ちる程にするのは極暑の節のみ
*飛石には露溜まりたるを嫌う、もし露地入り時分水溜まりあれば雑巾で拭うべし
*侘びには床畳と道具畳を替え、また道具畳ばかり替えるも極侘びの一格なり!
*玉簾というは、極暑の節、簾を水にひたし、そのまま掛けて雫のように致すなり!
*道具の取合せ同物同名さし合わさざるよう、客所持の道具にさし合わさざるよう、名などもさし合わさざるよう考えるべし! 古物のうちに新物も必ず交じうべし!
*往古は掛物花入諸飾りなりしを、道安作意で初座は掛物後座は花と飾替えて利休を招いた、事後これが草庵の規定になった!
*掛物は体の道具として最も重んずること、高位高官の筆、得道大徳の墨跡を尊み、俗人の筆は用いず!
*釜は一室の主人公、この釜一口にて一会も定まる程のもの
*茶杓は流義第一とし、他流でも伝授正しきを用ひ、正からざれば細工よくても用いず
*花入は花を入れるもの、入るべき花に相当のものを出すこと肝要
*花は有為転変飛花落葉を観ずることなれば、珍花を賞するにはあらず!
*山間の客には山物を海国の人には海品を、東国の人には東国の、西国の人には西国の産物を用うるが本意なり、珍しきを出すとして引き違えるは僻事なり、料理のひねりは客の迷惑とぞ!
*口取りは手製をよしとす、菓子の名むつかしは、うるさきのもなり!
*水栗は食物の毒を消す為なれば、必ずだすべし!
*箸紙を用うるは貴客ばかりなり!
*茶を挽くは一大事なり、当日挽くが本意なれど前夜に挽いても可なり!
*掛物、はやく掛けおかねば落ち着かぬもの、二三日以前より掛るがよし!
*常釜でなくば水入替良く沸し釜の外回り注ぐべし、霰はたたくもよし、金気去り鉄色潤うものなり
*水指水次建水には前日より水をはるべし!
*青竹挽切は水にひたし、俯けておくべし!
*熨斗は結びのし用う、口切初春席披きなど、特別な茶湯のときにだす!
*勝手用の箸、青竹を改めるべし、これは炉中釜の内へ物落たる時とり上げる為なり!
*当日の暁、新たに水を汲み、釜へ七八分目入れて仕掛、他の道具にも水を改める
*炉中の下火は大切の義なり、毎暁次たる炭流れて、朝会の下火となり、会の後流れて正午会の下火となり、後ながれて夕会の下火となる、かように下火衰え釜のにえ音絶え切れた時客席入し挨拶すみて初炭、懐石、七八分にえ付たるを聞きて中立、後入点茶の時雷鳴松風に至り、水指してにえ落ち後炭となる、再にえが立てば薄茶なり、これ極上の都合なり!


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