「ルポ 大学崩壊」を読んでみた件

田中圭太郎氏の「ルポ 大学崩壊」を読んでみました。きっかけは仲の良い事務職員さんから「いつも本を借りてばかりなので、どうぞ」と。

さて、読み終わった感想は「救いがない」でした。文部科学省が推し進める大学改革と天下りで、現場はめちゃくちゃ。悲鳴しか聞こえん!という悲惨な状況がつらつらと事例と共にレポートされています。こういうレポートは、切り口によって(立ち位置によって)、起こっている現象の理解が変わるわけなので、改革側のご意見も聞かないと、大きな流れの中における小さなトラブル(当人にとっては決して小さくはないわけだが)の意味はわからないし、その正誤は歴史が語るとしか言いようがないけれども、今この渦中にいる人たちは決して幸せではないという事実を伝えるのは大切である。

誰かがトップにたって改革を進めると、多様性は失われていってしまうのも事実。大学のよさは、多様なところ、個々の大学にカラーがあること、と思っている人たちにとっては、そういうよさが失われている現状はよくないと感じるはず。私もその一人。多様であることは集団が生き残る上で最も大切な性質の一つなはず。日本国という集団が生き残る上で、多様であることは不可欠なのに、一元化しようという政策はどうなんだろう?管理側からすると、一元化は楽ちんなのだが、結局、組織ごと失うことにつながるのなら、一元化は避けた方がいいと思うのだが、管理側は(無能にも)自分達は有能と信じているから、一元化しようと奔走してしまう。

新書だし、ルポだと言っている以上、「救いがない」のは仕方がないけど、読んでいてしんどかったので、救いが欲しかった。

大学教員、大学職員になろう!と思っている若者たちは、一度この本を読んでみて、現実を知った上で、飛び込んできてくださいな。

https://www.amazon.co.jp/ルポ-大学崩壊-ちくま新書-1708-田中-圭太郎/dp/4480075399


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