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ほんのちょっと

妻が買い物をすると、まず最初にやることがある。
ストックするものを除いて、すべてパッケージをはずしてしまうのだ。そのまま使うと、家の中の景色に商品の宣伝があふれてしまう。
これは、うるさい。まことに煩わしい。美しくない。
そこで、全部丸裸にするか、別のお気に入りの器へ移す。これだけで、ずいぶんと室内の雰囲気が変わる。神は細部に宿るのだ。


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ちょこちょこ器などの買い物をする妻。
下手に留守番などを引き受けようものなら、突然着払いの宅急便がやってきて支払いを立て替えさせられたりするから危険である。油断がならない。
ぞくぞくと届く荷物にあきれ顔をしていると、普段からそういった家庭の景色の細部に気を使うためなんだと妻は強く主張する。




インテリアコーディネーター、整理収納アドバイザー、ライフオーガナイザーとしてプロのご意見であるらしい。
ほんとうかしらん。少し言いくるめられているような気がしなくもないが、もとより片付けを苦手とする手前、ケチをつける訳にもいかない。そもそもケチのつけ方がわからない。そんなことで心地よく暮らせるのならば、少しくらい言いくるめられてもいいかもしれない。


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毎日を快適に過ごす、ほんのちょっとの工夫。
なるほど、そういえば我が家の景色にはメーカーのロゴがない。宣伝がない。プラスチックのパッケージがない。
否応なく家にいる時間が長くなったこのご時世。過ごす空間にメーカーの宣伝がうるさくはびこっていてはせっかくの空間が台無しだ。


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誰にでもできる、ほんのちょっと。
そのほんのちょっとが生みだす豊かな空間と時間。そこにお金と手間をかける価値はありそうだ。

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