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誰も教えてくれない         オイルクーラーの話し 9

■エンジンオイルクーラーの選択とポイント

ここでは、とあるメーカーが取り扱う積層タイプの空冷式オイルクーラーに焦点を当てます。
フィン付きチューブクーラーや水冷式熱交換器では、動作が少し異なりますので、勝手ながら無視させていただきます。

●オイルの流れの抵抗と冷却性能
ここでは、クーラーを選択する際に念頭に置くべき、大まかで単純化された非常に一般的な原則を紹介します。
これらはすべて "他の変数が同じであること" を前提としていることを忘れないようにしてください。

オイルクーラーには流れの抵抗があります。
目標は、この制限を最小限に抑えることです。

・積層部の長さと抵抗の間には直接的な関係があります。
積層部(段)が長いと、抵抗は大きくなります。
積層部(段)が短いと、抵抗は少なくなります。

・積層部の長さと冷却効果には直接的な関係があります。
積層部(段)が長いと、冷却効果が高くなります。
積層部(段)が短いと、冷却効果が低くなります。

・積層部の数と抵抗の間には逆の関係があります。
積層部(段)の数が多いと、抵抗は少なくなります。
積層部(段)の数が少ないと、抵抗が多くなります。

・積層部の枚数と冷却効果には直接的な関係があります。
積層部(段)が多いと、冷却効果が高くなります。
積層部(段)が少ないと、冷却効果が低くなります。

※同じような冷却面積を持つ2つのクーラーは、同じような冷却性能を持ちます。

上記内容の中で、唯一明らかに矛盾しているのは、積層部(段)の長さです。
積層部が長ければ冷却効果は高くなります(良い)が、流れが犠牲になります(悪い)。
幸いなことに、上記の最後のポイントは、良い回避策を提案しています。
つまり、失われた流れの一部を取り戻すために短いクーラーを選択し、失われた冷却の一部を取り戻すために単純に段を増やすことができるのです。
さらに良いことに、段を増やすことで同時に流れがさらに改善されます。

ここで例を挙げてみます。
例えば、約320馬力の高性能エンジン、約38リットル/分の流量があるとします。
35㎝幅/20段では、入口から出口まで0.35barの圧力損失が発生します。
(オイルラインに90度のフィッティングが1つあるだけで、それ以上の抵抗がかかることがあります。)
35㎝幅/25段では、0.18barの低下をもたらします。
20㎝幅/25段では、0.07bar以下の圧力損失となります。
ここまでくると流量抵抗は、油圧計には表示されないかもしれません。
これはあくまでも「抵抗」に絞った内容であって、冷却効果については別の話になります。


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