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#5 産卵のヘビ話

 前回は卵サイドの話をしたので今回はメスヘビサイドのお話を。 

◆産卵前後
 交配後のメスは約1ヵ月程度掛けて体内で卵を育てます。準備が出来ると脱皮をし、脱皮が済むと約1週間程で産卵に入ります。

産卵直前。外から見ても卵の形が分かる。

 湿度の有る所に出産したがるので、産卵床として水を含ませた水苔を入れたタッパを用意します。この時の飲み水の入れ物を小さいサイズに変えておかないと水入れに産卵→卵が全て水没死するという事件が発生します。
とは言え、産卵中は結構喉が渇く様で、水を飲みながら頑張ってくれる姿を見ると完全撤去という訳にもいかず…一時的に最低限サイズの小さな水入れの変更させて頂きます。

 産卵は個体差がありますが1日~3日で完了。
産卵後は卵をしっかりと守り、「卵を奪うヤツは敵!」とみなしてくるのでフシャ!フシャ!と呼気を荒げて威嚇してきます。…大事だよね。

首をもたげて威嚇

 餌も食べずに卵を守ろうとしてしまい、メスが痩せてしまうので卵を回収するのですが、元々が大量に生んで一部が生き残るという生態のせいか「孵化まで卵を守る!」という意識が鳥ほど強くなく、途中で飽きるのか忘れるのか…自分が動き回るうちに卵を転がしてしまったり…。
(なので床材にもくっついて塊にする事で卵が転がる可能性を少なくしているのだと思われる)
という訳で、自然下でないこちらの環境では卵を回収し、産卵床を取り除き、ケージや水入れを丸洗いする事でニオイをリセット。
戻った時には卵の事を忘れてしまってくれます。
忘れるのも大事!

 この後は10日程度で再度脱皮をして元の生活に戻っていきます。
脱皮をしてからようやく餌を食べる個体と、脱皮前から「腹減ってるねん」みたいなノリで餌を食べる個体に分かれます…食欲にも個性。
体内から卵が無くなると卵に大量の栄養素を注ぎ込むのも有って、一気に餌を与えたい所ですが食べ過ぎても吐くのでその辺りは様子を見ながら。
 その一方で、産卵前に摂取したカルシウムが多すぎると卵の表面にカルシウムが付着して結晶の様な模様を作ってしまったりします(中身や成長に影響は無い)カルシウムの適量って難しい…

表面に付着した模様がカルシウム。見た目気持ち悪い。

◆卵詰まり
 産卵時のトラブルで一番多いのは、体内で卵が詰まってしまい出て来なくなる卵詰まり。今年も1匹発生しました。
※これ以降の処置は完全自己流なので真似しないでください。

丸部分が詰まった卵、矢印部分が総排泄口

 この様に総排泄口付近で詰まり自力で体外へ排出できなくなるパターンが一番多いです。予定日を過ぎて3日以上経過しても出て来ない場合は詰まったと判断しています。
過去にも詰まった状態の卵を排出しましたが、自力で産卵出来ない時点で卵の中身は死んでしまう様で綺麗に取り出したとしても孵化した事は有りません。
…という事はもうこの時点で卵として綺麗に出す必要はない、と。

左側:卵の一番奥側  右側:矢印の白い部分が体内に残った卵

 卵は体内~総排泄口の間で動いてしまうので、卵の後ろ側から総排泄口に向けて押し出して行きます。
腹側から押すだけで総排泄口がここまで開くのは産卵時のみだと思うのですが(普段はしないのでわからない)
良い角度で押せると総排泄口からも卵が見えます。
とりあえずは外から見えればOK。
見える隙間から卵にプラモ用のインジェクター(※インクや接着剤用の注射器)を刺して卵の中身を吸い出します。

吸い出し後に押し出す

ほんの少しでも中身が吸えれば卵が潰れ、簡単に押し出せる様になります。

左:排出後。 右:吸い出した中身と取り出した卵

 卵を取り出すとメスも楽になるのか普通に水を飲んだり動いたり…。今回は写真を撮りながら処置しましたが、卵が詰まった写真から処置完了までだいたい2~3分位です。
取り出せない場合は体内で卵が腐り、親個体の方が死んでしまう可能性も有りますので迷わず病院へ!

※個人でするのは自己責任!!

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