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白洲アズサという少女

 ブルーアーカイブというソシャゲに出てくるキャラクターに白洲アズサという少女がいる。
 彼女は怨嗟と悪意渦巻く環境で育った。支配者にとって都合のいい手足として教育され、まともな倫理観もないような環境である。
 しかし、彼女は怨嗟を引きずることなく育った。困っている人がいたら助けたい、頑張る人を手伝いたい、やさしい人に報われてほしい、そういった「普通」を尊重できる価値観を持って育った。
 まさしく強い精神性をもった少女である。ただし、彼女の精神は決して純真というわけではない、むしろ泥臭く愚直な強さをもった精神である。折れてないのではなく、折れているからこその強さ。手折られ、虚しいことを肯定するものの、それでもと前を向く強さ。それが白洲アズサという少女である。
 ストーリーの中で彼女の強さがうかがえるシーンがある。それは友人からもらった贈り物を爆弾に偽装し、その爆弾で共に凄惨な環境で育った仲間を殺そうとするシーンだ。現に、そこで彼女は確かに折れたのだ。友人を突き放し、あまつさえ初めて境遇を共にせずとも通じ合えた友人からの贈り物を殺しの道具に変えて壊したこと、共に育ち守ってくれた仲間を殺そうとしたこと、その2つに直面して折れてもなお、それでもと立ち上がった。
 そしてその結末は、彼女の得た友情は美しかった、その一言に尽きる。彼女の友人は彼女とは反対の強さを持っていた。純真で折れたことのないような精神の持ち主だった。白洲アズサの尊重する普通を持ち合わせた友人であった。だからこそ彼女は何も失わなかったのだ、友人も仲間もその強さも。
 彼女の強さを目撃した私は、彼女が友人と普通を謳歌できていることを嬉しく思うし、願わくばもうその強さが発揮されることがないように願っている。


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