『教場』を読んで

読書感想文なんていつぶりでしょう。
中学生の記憶が無いからもしかして、小学校以来?だったりしますか。
感想文って得意じゃないので不安しかないですね。


さてさて、今回私が読んだ小説はこちら。

ドラマ化にもなった『教場』です。
ドラマ自体は気になりつつも怖そうだなと思って観れなかったので、この読書感想文の機会に小説を読んでみました。
CMを観た限り教官が怖い人で生徒たちを次々と貶めていくみたいな感じかと思ってたんですけど、小説読んでみたらちょっと違ったお話でした。

教官 風間公親

主に話しの中心は警察学校に通う九十八期の生徒たち。
その生徒たちを受け持つのが、教官の風間公親。
元々植松という教官が受け持っていた学級でしたが、植松教官が病に倒れ、代理でやって来たのが彼です。
鬼のような教官ばかりの警察学校のなか、この風間だけは大きな声など一切出さず、多くを語らない。こういう先生がいたらとも思ったけどそれもそれで怖いところですよね。
なぜこの教官が来たのだろうと疑問に思いつつも生徒たちの学校生活は進んでいきます。

嫉妬と憎悪

先程、話の主人公は九十八期の生徒と述べました。
章ごとに主人公が代わります。
本当に怖かったのは風間ではなく、この生徒たちでした。 

1人の生徒を例に挙げましょう。
宮坂は憧れの存在の警官の息子、平田と同期になれた事で互いを励まし合い奮起しようとするが、平田は自分より少し優れた宮坂からの哀れみの目に耐えきれず共に心中しようとする。

平田の他にも、信じていた友だちに裏切られて相手を負傷させる者。嘘に利用され復讐をする者。
警察学校という小さな箱でこの様な事件が起きるのです。
宮坂のような"被害を受けた側"の人間が主人公で各章の話が進んでいきます。

正直、加害者側の行動にそこまでするか!?ってなったんですけど、日々の規則や鍛錬の辛さ、嫉妬、裏切り、精神面云々積み重なって極限状態の人間が起こす行動ってなったらこうなっちゃうのかなって思いましたね。
幽霊も怖いけど生身の人間も怖いってまさにこういうこと。(?)

手を差し伸べる人物

上記の加害者側の人物たちは事を起こした後に必ず自ら退校していっています。それくらいの覚悟で行動に出ているんだなって分かりますね。
残された被害者側は逆にその事件を乗り越えたことを糧に、そして自分の行いを反省しさらに努力をしていきます。
意外にも風間の存在があったからです。
彼らが被害を受けた際なぜか必ず助けに来るのが風間。そしてアフターケアをするのが風間です。
アフターケアと言っても直接的に何か彼らにしていたわけではありません。

なぜ相手がそういう行動をとったのか、風間は最初の被害者宮坂の協力を仰いで、風間学級の内部を探り真実をつきとめ当事者たちにぶつける。簡単に言えばこんな感じです。
風間が居なければ、なぜこの様なことをされたのか被害者側は疑問に思い、復讐や退校する者が増えたことでしょう。
風間は風間なりのやり方で生徒たちに手を差し伸べていたんですね。

新たな生徒たち

問題児だらけの九十八期生たちの卒業を見送って初めて最後の章で風間視点の話しが始まりました。
風間が初登場した際、「焦点の定まらない義眼のような目…。」という表現がありましたが、彼の目は本当に義眼であることが最後にわかりました。

九十九期生の受け入れの際、いきなり「退校届」を書くことを勧めるが、それは自分のようにならない為にと伝えるための風間なりの行動であることもわかりました。
また一悶着起こしそうな生徒が登場したところでこの小説は終わっています。


まとめ

あれ?意外に風間は優しい人なのか?と思うところもある反面、彼の行動は少し行き過ぎているところがあります。
いきなり「退校届」を突きつけたり、生徒を助けるのは全て事が起こってからだったり。彼は試しているのかもしれないですね。「乗り越えられる者しか警察になれない」と。宮坂や他の生徒も警察学校=篩だと述べていました。彼もまた重要な篩の役目を果たしていたのでしょうか。

風間の過去に何があったのかは今回読んだ小説には書かれていません。
『教場0』、『教場2』があるようなので今後機会があれば読みたいと思っています。
ドラマもスペシャルドラマだったので観れるかわかりませんが、機会があればぜひ。

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