~あの瞬間は永遠に~【タイタニック】My Heart Will Go On【トド版和訳】
ジェームズ・キャメロン監督・脚本による傑作映画『タイタニック』。もう何度観ても泣けるわー。ちゅう訳で、今回は名曲として名高いテーマソング「My Heart Will Go On」をトド奈津子先生が超絶に訳していくでー。
タイタニック再放送を観た直後のテンションで夜中に書いとるから、あとでちょっと直すかも&解説をがっつり加えるけども、とりあえず現時点での訳をパシッと書いてくから、またしばらくたったら見に来てやー。
歌の魂
この歌はなんとゆうても、ヒロイン・ローズのジャックへの一途で不変の愛がテーマやねんけども、押さえどころは3つあんねん。
まず1つ目は、ローズ(御年101歳、タイタニック乗船当時は17歳)にとって、ジャックは今も自分の心の中で生き続けているちゅうこと。
もちろん、ローズはタイタニック沈没事故後に結婚もして、沢山の子供たち、孫たちに暮らして、幸せな人生を歩んだんやろう。きっと旦那さんにも沢山愛されたに違いない。
しやけど、しやけども、ローズの心にはいつもジャックがおったんや。旦那さんからしたら、酷い話かもやけどそれがローズ。それが女ゆうもんなんやろな。
ローズ(101)はこんな台詞ゆうてはるんや。
A woman’s heart is a deep ocean of secrets.
「女の心は、秘密が眠る深い海なのよ」
女って、、、((((;゚Д゚))))ガクガクブルブル
そして2つ目は、その二人の愛は、ジャックにヌードのデッサンを描いてもらったあの時から始まったゆうところやねん。
もちろん、ローズはヌードのデッサンを描いてもらう決心をする前から、もしかすると出会ったその時からジャックに惹かれていたかもしれへん。しやけど、二人の永遠の愛は、あの時、ローズが部屋にジャックを招き入れた時から始まったんや。
3つ目は、曲のタイトルにもなっとる「Heart」と「Go on」。普通に訳したらそれぞれ「心」と「続く」やねんけども、この歌詞の文脈の中ではそれよりも少し広い意味が含まれとるんや。ここは実際、本文で解説してくわー。
そしてもちろん、映画で重要な意味を持つ“碧洋のハート”(The heart of the ocean)にも、このHeartがかかっとることはゆうまでもない。
この3つ押さえておくと、この歌詞もますますグッとくるものになるはずやで!
ほな、いくでー!
訳と解説
歌のタイトルにもなっとる「go on」が一つのポイントや。「続く」って意味やんか。「Show Must Go On(ショーは続けなくてはならない。舞台は決して中断してはならない)」でも出てくるお馴染みの表現やろ。
でもな、今回のこの歌詞では「生き続ける」「今も旅を続けている」みたいなニュアンスでくみ取るべきところやねん。以下、度々出てくるけども、その時その時で、微妙に訳を変えとるから、そこも注目してみてやー。
ローズにっとって、ジャックは生きとんねん。
ちょっと能の世界観みたいやけど、ジャックは隔たりのある場所におるだけで、消滅したわけやない。夢の中で毎晩その姿をローズに見せてくれる。ローズにとっては、それがジャックが生きていることそのものゆうことやね。
もうひとつ。Spaces between us。
これ、なんで単数形Spaceやなくて、複数形Spacesなんやろな。
まあ複数形にすることで、単に音節と音符合わせるゆう効果もあるんやけど、実はローズとジャックの間には色んな隔たりがあんねん。
もちろん、生と死。
若さと老い。
そして、階級。
実は、そもそも映画『タイタニック』は、階級の差がある二人の恋愛というのがテーマになっとるんや。当時社会的地位の違いは今とは比べ物にならへんくらい大きかった。
乗船しとる客室も、居住スペースも、食べ物も、そもそも乗船に至るまでの人生そのものも。それが、このタイタニックゆう船の上で奇跡的に交わり、そして、奇跡的に愛が生まれたゆうことやねん。
ジャックは、そんな二人の隔たりを乗り越えて、ローズのところに来てくれた。
そして、今もまたあらゆる隔たりを乗り越えてローズの前に現れてくれる。それがローズにとってのジャック。
それがこのSpacesに込められた想いなんや。
ここがこの歌を理解する根幹のパートやで。
ここでローズがゆうとるのは、あの日、あの時、ローズの部屋にジャックが入ってきたときのこと。あの時に、二人の愛と結びつきは永遠になったんや。だからこそ、101歳になった今でも、ローズはジャックを愛し続けとんねん。
The doorは、しやからゆうまでもなく、ローズの部屋のドア。ジャックが初めてローズの部屋に入ったあのシーンは、ローズがすべてをジャックに委ね、ジャックもまたそれを受け入れたことを象徴しとったんや。
ここでのポイントは、Lastやね。
名詞としてのLastは、「最後」ちゅういみやねんけど、動詞としての意味は「ずっと続く/持続する」ちゅう意味やねん。ホンマの愛は「一度始まったら、永遠に続く」てゆうとるんや。
タイタニック号のあの一日、あの時がローズにとって、人生で唯一の真実の時、ただ一度、ほんまに愛し合った時間やったんやろなー。
そしてローズはあの時に、ずっと生きとるゆうことやね。
ここで英語的なポイントをあえて挙げるとすれば、
we'll always go on
の訳し方になる。
will のところやで。
助動詞willは、「意志未来」ちゅう言い方をすることもあんねんけど、要するに「こうありたい」「こうなるだろう」「こうしたい」みたいな自分の意思を表しとんねん。
しやから、ここの訳は
「いつまでも一緒に生きて行きましょう」「あの旅をつづけましょう」
くらいが適当やねん。
このあたりは、翻訳としては、もう新しい話は何もあらへん。
ここのmy heartは、もちろん、ローズの心、魂のことなんやけど、それはまた同時に“碧洋のハート”(The heart of the ocean)のことでもあるんや。
映画の冒険で、老いたローズが“碧洋のハート”を海に沈めたのは、これからも自分とジャックの魂が深い海の底で永遠に結ばれるためにやったんやろうな。
この歌詞の最後は、そんなローズの人生の万感が込められとる。
You are safe in my heart. (私の魂があなたを包んでいてあげる)
And my heart will go on and on(いつまでも、いつまでも)
ローズの想いに釣り合う言葉がなかなか見つからへん。ぜひ、自分自身の訳を考えてみてやー。
おしまい!
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?