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踏んだり蹴ったりなあの日のお話

こんにちは!イラストレーターのトウドです。
皆さん突然ですが交通事故に遭った経験はおありですか?
わたくしはね、実は結構あるんです。
しかも続けて…信心深くはないわたくしでさえ
あの頃は本当に何かに憑かれていたのかと思ってしまう程立て続けに遭遇しました。
災難ってなぜか続く時は続くものなんですねぇ。
今思い起こすとあんなにも事故にあったのは後にも先にもあの時だけです。
いずれも命に関わる重大事故には至らず命拾いした訳ですが、今回はその事故の中から最もコミカルな事故のお話をしたいと思います。

「事故」というとちょっとナーバスなイメージですが
笑っていいお話ですからね

・事故に遭ったあの日

思い出してみるとこの事故が事の発端でした。
あの日、わたくしは実家での所用を済ませ自転車で帰宅途中でした。
自転車の後ろのキャリアにはまだ3歳の次男坊が。
子供を乗せていますからさほどスピードを出していた訳ではありません。
ただあの頃はまだ子供らも小さく1日の激務を終える頃には精も根も尽き果てていたので若干注意力は散漫だったかもしれません。

車通りの少ないバイパス的な道路を走っていました。
わたくし自転車に乗ってはおりましたが自転車用のレーンのない道路でしたので歩道を走っていました。
左側の建物に寄せるように車が路駐してあり、その死角からスーッと軽自動車が現れたのです。
互いにほぼ同じタイミングだったと思います。
「おっ」と思って咄嗟にブレーキを踏みましたが
ギリギリの所で間に合わず、コツン
ホントに「あぁ~間に合わない~コツンッ」
それくらいの接触で自転車は倒れることさえありませんでした。

・ひとみおばあちゃんみたいなおじいさん出てきた

軽自動車の中から表れたのは補聴器を着けたおじいさんでした。
第一声震える声で「お弁済致しますので~」

これ「震える声」と言うのは事故の衝撃により動揺しているからではなく、ご年配者特有の声の震えでして
さながら志村けんさん演じる「ひとみばあさん」
改めて書きますのでここは1つひとみおばあちゃんボイスで脳内再生なさってください。

「お弁済致しますので~」
(上手に脳内再生できましでしょうか?)

・クセの強い通行人も現れた

わたくしは怪我も故障もしていないと思っていましたので「大丈夫です!」と手を振りましたがその刹那
背後から大きな声で

「今ぶつかりましたよねぇ!!」

振り返るとそこには片手に何やらプラスチック片のような物を持った配送業者さんが…

大きな声で
「今ぶつかりましたよねぇ?!」
と何度も畳み掛けるので戸惑っていると
その方の手に持っているプラスチック片はわたくしの自転車から吹っ飛んでいった物だとか…
「コツン」程度とはいえ車と自転車。
重量が違う為に衝撃をわたくしの自転車の方が受けてしまったのです。
あまりに素早くポーンと吹っ飛んで行ったので目に止まらなかったのでした。

・危うく珍回答をする所だった

そのプラスチック片は子乗せ自転車の前カゴの足乗せ部分でした。

「と、言うことは…」

わたくしは咄嗟にあることを思い出しました。

「え?あれ?足乗せが取れたって事は、芋、芋は?」

実はその日、実家で焼いてくれたけど食べれなかった焼き芋を前カゴにポンッと乗せていたのです。
母が「紙袋に入れてあげる」と言ってくれたのを面倒臭がって
「アルミホイルに包んであるし袋に入ってる大丈夫だよ」と言って断ったのでした。

辺りを見渡すと案の定、道路に横たわるわたくしの芋…
わたくしが発見するのが早いか否か、件の配送業者さんが気が付き拾って下さいました。

「どうか、どうか『これは何?』と聞かないで…」

祈る思いで芋を受けとりましたが何も聞かずに渡して下さいました。ホッ 良かった。
もし聞かれていたらわたくしはナーバスな事故現場で

「芋です」

という珍回答をする羽目になっていた訳です。

もしかしたら拾って下さった時に
「芋かな?」と思わせたかもしれませんがね…。

・引退お巡りさん登場


そんなこんなでわちゃわちゃしていると、そこへ更に
偶然、巡回のお巡りさんが通りかかりました。
「どうしたどうした!」とどんどん事態は大きくなってしまい、事情を精一杯ご説明したのですがお巡りさんに

「はい。じゃあね、警察に連絡しましょう。お巡りさん達ね、引退お巡りさんだから今は取り調べとかする権限ないのよ。だから誰か110番してくれる?」

え?権限ないの?
さっき色々と聴取っぽいことしてたけど…
脳内ハテナ(?_?)状態のわたくしをよそに
先ほどの配送業者さんが張り切って「では、私が!」
と110番通報に名乗りを上げて下さいました。

・パトカー2台と救急車がやって来た

引退お巡りさん達は通報が終わると「じゃっ!」と言って颯爽とパトロールに戻られました。
そして遠くから聞こえてきたサイレンの音。
1台?いや、2台?あれ?救急車もいる?
って事は、偶然にもここではないどこか近隣で同時刻にもっと大きな事故でもあったのかしら?
なんて思いながらひとみおじいさんとお話しておりますと、1度通り過ぎたパトカー&救急車がUターンして戻ってきて

「あのぉ~この辺で事故があったって聞いてきたんですけどぉ~(まさかここじゃないよねぇ?)」

わたくし「えーっとぉー…もしかして…」

消防隊「軽自動車と自転車の…??(やっぱりここなのか?)」

わたくし「あー…もしかしたら、ここ…かな?うん。ここ…ですね」

全てを察した消防隊の皆さん
「通報者どこ?」

ですよね!ですよね!大げさですよね(焦)すいません
本当にお忙しい中駆けつけて頂いたのにっ!
誤報にも等しいですよねっ!(大焦)

通報者である配送業者さんは既にその場を後にしていたので、わたくしの方から引退お巡りさんの経緯から全てお話してやや誤報であったことを詫びました。

にしても、なんて通報したんでしょう…怪我人もいると伝えておられたんだろうか。
怪我も損害もほとんどなかったのに(汗)

・厳重注意で済んだ

怪我もなく破損もさほどでは無かったため
「これからは気をつけてね」
程度のお咎めで済み、救急隊の皆さんが
「じゃあ…我々は用がなさそうなので撤収しますね」と仰ったその瞬間
それまで黙っていた後部キャリアの次男坊が
人差し指を突き立てて

「ボクここ、いたいようなきがする…」

やっと帰れるはずだった救急隊の皆さんとわたくしの「今それ言うんですかーい!」という心の声がユニゾンするや否や

「そーーれは大変だぁ!よぉーしじゃあおじさんが診てあげよう!」とジャングルクルーズのキャストさん並みのテンションで救急隊のお1人の方が

「見た目!異常なし!一応酸素測ってみよう!よし!異常なし!うん!大丈夫だ!」

と、秒で診察を終わらせて下さり更に
「それでもね、万が一夜中に急変したらいけないから、そんな時は#7119に電話するんだよ!」
と仰ってステッカーを下さいました。

さすが…慣れてらっしゃる(拍手)
改めて「ではっ!」と帰ってゆく救急隊の皆さんに笑顔で手を振る次男坊。
お前…日頃全然しゃべらないくせにこんな時に限って…

やっとの思いで帰路につく事ができたのでした。

・後日談

帰宅後、疲れからか結膜炎を発症してしまい翌日眼科へ行きました。
眼科さんの待合室で診察を待っている時にお相手の保険会社さんからお電話を頂戴しました。
「すみません。今病院でして…」と言わんでよいことを正直に説明してしまい、オペレーターさんに
「そ、そ、それは!昨日の事故によるお怪我でしょうか?!」と気を遣わせてしまい
「違います!違います!ただの結膜炎です!」と全力でご説明する事に…つい余計な情報まで伝えてしまった
わたくしのバカたれめ

それにしても事故に遭ったその日の夜に結膜炎を発症して病院の待合室で保険会社さんからのお電話を受けるとは、冷静にテキストに起こしてみるとかなりな厄日でしたねホントに。

結局、破損した前カゴの足乗せは新品を取り寄せると時間もお金も掛かってしまう所、自転車屋さんの計らいで手元にあった中古の足乗せでその場で直してくださり修理代はたったの5000円で済んだのでお相手の保険会社さんのお世話にもならずに済んだのでした。

ひとみおじいさんの車は近隣の介護関係の会社の車で
勤務中の事故だったそうです。
後日会社の若い社長さんと共に菓子折りを持ってわざわざご挨拶に来て下さいました。

「え?介護される側ではなくて?」

とお思いかもしれませんが、実はひとみおじいさん、元1級建築士さんで数々の資格を保有する凄腕おじいさんだったのです。

わたくしの母も軽い接触に遭った事があるのですが
やはり怪我も故障もないので何も申し上げてないのに
その時のお相手は車を降りるなりずっと一貫して
「あんたが悪いんだからね!」
としか仰らなかったといいます。
その時母は歩道を歩いていました。
とにかく自分の非を認めてはならないとお思いだったのでしょうね。
母は特になんの損害もないので言い争う必要もないと
何も反論しなかったそうです。

もしわたくしの事故のお相手がその様な方であったら、現場はもっと荒れていたのだろうと思うと、開口一番「お弁済致しますから」と仰って下さったひとみおじいさんには感謝です。
こんな言い方は相応しくないかもしれませんが事故に遭ったお相手が、ひとみおじいさんで良かったなと心から思ったのでした。

コントの様にどんどん登場人物が現れては話が飛躍してしまい大事になってしまったけれど
命に関わる重大事故にはならず、本当に不幸中の幸いでした。

人生でこんなにも事故に遭い、そして濃い人物が次々現れる事はなかなかないと思うので今となってはいい思い出です(笑)

どうでしたか?
踏んだり蹴ったりなあの日のわたくしのお話
楽しんで頂けましたでしょうか?

笑っていいんですよ。事故のお話ではありますが(笑)

最後にわたくしから皆様へ一言

路駐による死角にはくれぐれもお気をつけ下さいね。
安全第一。
それから、芋などの食品はしっかりしまって乗りましょうね。決して自転車の前カゴに直接乗せたりなどしてはいけませんよ。

それではまた!

 Illustrator トウド ヤヨイ (^_^)ノThanks!☆









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