見出し画像

おひなさまは誰のためか考えるお話


こんにちは!イラストレーターのトウドです。
かわいいでしょう?ヘッダーのお雛様。
これはね、tubutubupumpkinさんという香川の作家さんの作品で、わたくしが二年がかり、三度目の正直でようやく手に入れたものでございます(ホクホク)
気になる方は是非チェックしてみてくださいね。

今回は自慢から入ってしまいました。
さてさて本題。


先日デパートの催事場を通りかかりましたら、たくさんのお雛様達が愛嬌を振り撒いていらしゃいました。
ああいったものは拝見するだけでもなんだか心が潤いますねぇ。
現代のお雛様は親王飾り (お雛様とお内裏様のみのもの) 以外はとても小型化していて5段7段合わせても1mない位の大きさのものが多く驚きました。
時代に合わせ省スペース化しているのでしょうね。
気を遣ってらっしゃるのねぇ…お雛様も。
親王飾りのお雛様もお着物やポージングがバラエティー豊かで、もしもわたくしに女児がいたら選ぶの楽しかったろうな~なんて想いを馳せながら拝見しました。


・子供時代のお雛様の思い出

わたくし子供の頃には小さなアパートに似つかわしくない五段飾りのお雛様がおりました。
その頃の五段飾りは大きく当時の小さなわたくしからするとかなり圧迫感がありました。
木目込で作られたお人形は丸顔で目の細いお顔で若干怖かった記憶があります。

時代性を感じる加湿器…


そのお雛様は母が選び購入したものでした。
母は三姉妹ですが狭い実家にお雛様など無く、もしも自分に娘が生まれたら豪華なお雛様を買おうと思っていたそうです。
その思いの丈が五段飾りという形になって表れたわけですね。
そしてオフシーズンのお雛様達はタンスの上に置かれていました。
五段飾りのお雛様はたたんでもかなりの大きさで収納できるスペースがなくそこにしか置く場所がなかったのですが、今思うと震災などの防災面で考えるととてもキケンでした。

・いざ結婚、てんやわんやのお雛様もお引っ越し騒動

問題が勃発したのはわたくしが結婚した時でした。
実家には自室と言えるような部屋はなく荷物と言えばわずかな衣類や靴、鞄、それに画材や書籍くらい。
布団とパソコンデスクは処分していったので
自転車で済んでしまいました。笑
あっという間に引っ越し終了かと思いきや、兄からの衝撃のひと言。

「お雛様持って行けよ。おまえのだろう。」

いやいや、実家よりも狭い新居にあの巨大なお雛様?!
思わず母の顔を見るわたくし。
母も気まずそう。
こんなに大きなものを置くスペースはないからとその日はとりあえずアルバムだけ持たされました。
古く、ボロボロになったわたくしの赤子の頃からの思い出アルバム。
そう。昭和の時代にはメジャーだったあの「ふやせるアルバム」です。
あの時代は皆あのアルバムだったような気がします。(昭和生まれの皆様いかがでしたか??)
5冊程持たされましたかね。これって結婚する時持ってくものなの?
とは思いつつも、とりあえずお雛様だけはなんとか回避したかったので重たいアルバムを持って帰ったのを覚えています。

・「誰のため」であって「誰のもの」ではない

引っ越し後、両親と話し合い、正式にお雛様は実家で保有してもらうことになりました。
ここでやっと表題の「誰のためなのか」というお話し。
引っ越し後もずっと気になっていた兄のひと言。
あのお雛様は本当にわたくしが引き取るべきなのか?その必要があるのか?
当たり前かのように「持って行け!」と言われるとなんだか腑に落ちませんでした。
考えた結果、もし所有権を露わにするならば、それは母かなと思いました。
例えばわたくしが物心ついてから「わたしもお雛様欲しい!欲しい!」とねだって買ってもらったのなら、明らかにわたくしでしょうが、
あのお雛様は母が欲しくて、母が(一応わたくしの為に)選び購入したもの。
もし、わたくしがあのお雛様にとても思い入れがあって、譲って欲しいと頼めば母もきっと喜んで譲ってくれたと思います。
実際これを機に知人友人にアンケートしてみた結果、多くは実家に置きっぱなしだけども、たまに「お嫁に行く時に一緒に連れてきて、今は自分の娘の為に飾っているよ。」という方もいました。
それはとても素敵だなとは思うのですが、我が家のように双方もしくはどちらかがそれを望んでいないなら必ず持って行かなければならないはずもないのです。
これは前述した「ふやせるアルバム」についても同様。
アルバムは誰のために、何のためにつくるのか。
子を持つ親となった今となっては、やはり「かわいい我が子の成長の記録を残したい」という想いからなのではと思います。
そしてこれも「自分の成長記録を自分で持っていたい。」という人もいるかも知れませんが、そこはやはり自由かなと。
「お前の成長記録なんだから持って行け!」と押しつけるのはちょっと違う。
それにもし、わたくしが不慮の事故などで両親より先に死んでしまったら、両親はわたくしのことを懐かしむ写真1枚ないという事になります。
親という立場から考えるとこれはかなり辛いです。

つまりお雛様も、アルバムも
両親が自分と子どものために購入(作る)するのもではあるが、双方が望めば譲り受け大切にしてゆくもの。
両者に意見の相違があり、どちらかの負担になってはお雛様もアルバムもかわいそうです。

・実家のお雛様、その後。

長男氏が誕生し、我々が戸建てに引っ越した際、両親にもう一度お雛様を引き取った方が良いか確認しました。
わたくし的には結婚した時の事が忘れられずにいたからです。
心のどこかでいつも「今より広い家に引っ越したらお雛様を引き取らなければ…」と思っていたのです。
でも母は「無理に引き取らなくてもいい。いつか女の子が生まれて欲しかったらでいい。」といってくれました。

両親も年を取り、五段全ては出せなくなりましたが時々こぢんまりと親王飾りにして年中行事として楽しんでおりました。

我々は結婚後五年目にして長男氏を。その丸三年後に次男坊を授かりました。
二人とも不妊治療を経ての出産でした。
義母の希望もあり次男坊の治療の際には女児産み分けにもトライしていたのですが結果はご覧の通り、かわいい男児が生まれ(苦笑)三人目の治療もあえなく断念し、結局女児に恵まれることはありませんでした。
もし、わたくしに女児が生まれていたら、きっとあのお雛様を受け継いだと思います。

母に聞いたことがあります。
「何故あんなにも大きなお雛様を買ってしまったのか。しまう場所など考えなかったのか。」と。
やはり母は子どもの頃の憧れがあったこと、そして自分の経験からお雛様が大きければ大きいほど子どもも喜ぶと思ったのだと言っておりました。
そうだよね。母だって子どもが喜ぶと思って選んでくれたのはわかっていました。
我が家のお雛様を見にお友達が遊びに来てくれた時には、母はきっと誇らしい気持ちになって、幼少期に満たされなかった想いが満たされたのではと思います。

結局我が家にあのお雛様を飾ることはありませんでしたが心の中では大切な思い出となって残っています。

・我が家のお二人の五月人形

我が家の二人の男児には小さな焼きのものお人形と、ちりめんでできた小さな兜を購入しました。
もちろん、子ども達が大人になって実家を出て行く際には本人達が望めば譲り渡すつもりですが、男児ですのでおそらくそんなもの気にも掛けないでしょうね。こちらから聞く気もありません。

身長20㎝ほどの小さな小さな若武者
出すのもしまうのも簡単です。
昨年購入したちりめん生地の兜

アルバムに関しては、長男氏の出産祝いに小さなアルバムセットを頂いたので、次男坊にも同じようなセットを購入し赤ちゃん時代の写真をまとめました。
子ども達は時々そのアルバムを楽しんで見ています。
これも五月人形同様、親の自己満足で作っただけなので本人達が望んだり必要があって持って行きたければどうぞご自由にと思っています。
アルバムは遠方に住む祖父母に送るために作成しているという友人が何人かいました。

画像をデータで保存する時代となった現代では写真を撮ったりアルバムを作る意義も変化してきましたよね。

・結論「想い」が「重い」にならなければOK!


もちろん、この件に関して決まりなどありません。
節句人形にしせよ、アルバムにせよ、基本的には親が子を想う気持ちの込めたもの。
その「想い」が「重荷」となってしまっては本末転倒です。
そんなの悲しすぎる。
両者が話し合って決めればよいのです。

今回は自分でもちょっと理屈っぽいよな~とは思いつつ長年気になっていたことが言語化できて、わたくし的にはすっきりしました。

皆さんの節句の思い出はいかがですか?
自分の子に限らず、世界中の子ども達の健やかな成長を願う。そんな日でありたいものですね。

それではまた!
よい桃の節句を。

TOUDO YAYOI Illustration (^_^)ノ☆Thanks!








この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?