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ボードゲームにおけるカードドラフト時の考え方2 ~アナログゲームマガジン~

こんにちわ、とどちゃまです。
『アナログゲームマガジン ゲーム攻略編』の『カードドラフトの考え方』の第二弾です。

今回は前回の続き、「ドラフト開始後」各項目を掘り下げていきたいと思います。

強いカードがあるかどうか

事前準備の章で、「強いカードは何か知っておく」という項目があったと思います。その基準に従って自分のドラフト用のカードプールの中に、その強い水準のカードが含まれているのかを確認していきます。

ですが、この強弱判断をやりこみ要素ですので、最初からうまくやることはできません。幸いなことに、「ドラフトゲーム」の強いカードは先人たちがネットにたくさんまとめてくれています。『アグリコラ』も『世界の七不思議』も『イッツ・ア・ワンダフル・ワールド』もそういったサイトやブログがありますので、検索してみるといいと思います。『アグリコラ』については、いつか僕がまとめてもいいかなと思ってます。

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1週して返ってくるカードを想定して完成度があがる可能性を考える

この項目は、実際の「ドラフトゲーム」を行った際に、最初に訪れる実力差がでやすいポイントです。ですが、強いカードを覚えるよりはかなり効果は薄いものとなります。それなのに、なぜ項目として掲げられているかというと、薄いけど確実に差がでてしまうため、排除できないポイントだからです。そういうわけで優先度は低いながらも、やりこんでいくなら最終的には考えてないといけないポイントとなっています。

先の記事内「事前準備」でも触れた通り、「完成形を把握・意識する」という事が「ドラフトゲーム」において大事だというのは理解していただけましたでしょうか。その観点から見たときに、1週して返ってくるカードを予想しておく事はとても有用なのです。

「ドラフトゲーム」において、隣の人から回ってくる次のカードプールの内容がわかるなんて事は絶対にありえません。しかし、今あなたが手にしているカードプールには、何のカードが含まれているか明白です。もし、そのカードプールが7枚あってプレイヤーが5人。そして1枚ずつピックするゲームだったとしましょう。そうすると、2枚のカードが1週してあなたの手元に返ってくることになります。この返ってくるであろうカードというのは、隣の人から回ってくる不確定カードプールよりは、確定情報に近いわけです。この情報も考慮して、ピック候補を考えていこうというのが、この項目の趣旨となります。

例えば『世界の七不思議』において、最初に見たカードプールに「『1金2資源』の算出カード」と2枚の科学カードがあったとしましょう。「他のプレイヤーの七不思議ボードを見る限り、みんな科学カードをピックする可能性が低そうだ」と思ったならば、初手に「『1金2資源』の算出カード」をピックせずに科学カードの1枚をピックすることで、第一世代で2枚の科学カードを確保を狙い、科学ピックパターンの完成形に1歩早く近づけるという可能性が高まるわけです。

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『イッツ・ア・ワンダフル・ワールド』において、初手に『リサイクル工場』をピックした際には、白資源がとれるカードを別途2枚確保したいと考えるでしょう。もし初手で流してしまうカードの中に、1周して返ってきそうな白資源カードがあったらどうでしょう。そうであれば、白資源カードはもう1つだけ確保すればよいなと意識して、次以降のカードピックを算段する事ができるわけです。もしこの情報を見落としていた場合、1週する間に2枚の白資源を確保する必要がでてきてしまったりして、他の強いカードを取る選択肢を奪ってしまいかねません。

このように、1週後のカードを予想しておく事は、この後のピックにも影響を与えてくる可能性があります。このような確定に近づく情報をうまく収集し利用できるかどうかが、ドラフトのやりこみ要素の1つというわけです。

(隣のプレイヤーと協調するために)下家のプレイ指針を操作する

この項目名ですが、少し語弊があるなと思ったので補足を入れました。この項目は、これからカードプールを渡す隣のプレイヤー(=下家)が、自分が渡すカードプールから何をピックしていくか予想する、という前段階からスタートします。その上で、相手に自分が想定するものをピックしてもらう事で、自分との協調関係を確保するのが目的です。決して、「下家に誤ったピックをさせる」といった攻撃的なものではないので、勘違いしないようにしてください。

「カードドラフト」というものは、他人との競合、特に隣プレイヤーとのピックパターンの競合は致命的です。これは、先の記事でも触れた、「各パターンの許容人数を把握しておく」という内容にも関係します。少なくとも自身と同じピックパターンの人数は少ないほうが好ましいし、特に隣のプレイヤーとは違うパターンであるべきです。

カードゲーム『マジック・ザ・ギャザリング』のドラフトにおいて、隣のプレイヤーと使用する色が競合してしまうと、完成形の作成に同じカードを必要としてしまうため、強いデッキができにくくなってしまいます。そのために、同色の強いカードが2枚含まれるカードプールを引いてしまった際、それらをピックせずに別の色の次善カードを選び、下家との色競合を回避しようと試みることがあります。協調関係を意識して、ピックパターンの競合が起きないように、自分のピックを調整しつつ下家のピック候補を操作するという例題です。

このように、そのパターンの許容人数の観点からも、「最善=最強カードというわけではない」という事が往々にしてあるわけです。

「ドラフトゲーム」において協調関係はとても大事な要素です。基本的に他人と協調していくべきなのです。お互いに、自身は不必要だけど隣人は必要なカードを融通しあう事で、この協調の枠外のプレイヤーとのカードクオリティ差がどんどん開いていき、お互いの勝率を高める事になります。

では続いて、2手目以降で追加で考える事を説明していきましょう。大前提として、この初手で考えていた事は2手目以降でも考えます。そこは忘れないようにしましょう。

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先にピックしているカードとの親和性が高いカードの選別

隣の人から2手目以降のカードプールを受け取った際に、最初にチェックする事は自身の今までのカードプールと同じピックパターンに属する強いカード完成形に必要なパーツがあるかどうかです。

基本的に同じピックパターンの完成形に含まれているカードは、親和性が高い事が多いです。最初のうちはそれらの中で強いカードを、中盤以降は最終形に不足しているパーツをピックしていくのが望ましいです。

ですが、常にそのような簡単な流れ作業で強いピックができるわけではありません。上家との競合などで、ピックがままならない事も多々あるでしょう。そういった事を感じ取って対応していく必要がある、というのが次からの項目になります。

隣から流れてきたカードの内容から上家からの意図を汲み取る

まず、状況判断を行うための項目です。

上家から流されてきたカードには、その人からの意志が込められているはずです。特に序盤であれば、その傾向は顕著です。なぜならば、プレイヤーはいくつかの強いカードの中から自分がピックするカードを選択するわけですから、残されて流れてくるカードには、ある意思がこめられているわけです。

「私はこのカードを利用するピックパターンはやっていません」

当たり前なのですが、もしその人がその強いカードを使いたければピックするわけです。流してくるということは、使わないという可能性が非常に高いわけです。

これが一番わかりやすい、上家の意図です。

もし、これに反して上家が本来そのカードを必要とするピックパターンを行っているとすれば、それはさらに上家との競合を避けようとしていたり、そのピックパターンにおいてより強いカードをその時にピックしていたということになるはずです。理由もなく競合してきていたなら、周りが見えていない、もしくはまだ見ることができないプレイヤーなんだなということになります。

完璧に読み取ることはできませんが、このような上家からの主張というものを読み取ろうとすることで、無駄な競合を回避し、下家の立場の自身から協調路線に入ることができるようになっていくはずです。

流れてきた強いカードにあわせて路線変更を考慮する

そして、判断を受けての今後の行動を考慮していきます。

上家との競合を避けるという観点から、2手目以降の最初に伝えた先のピックしているカードとの親和性を意識するより、上家の言う事に従っていたほうがデッキが強くなりそうだなって思うタイミングがあります。それはだいたい2手目から4手目くらいに起きがちです。

今まで作る予定だったデッキパターンの普通くらいのカードではなく、最初のころにピックしたカードを使わずに上家に指示された強いカードを取るほうがよさそうだな

こんな感覚です。これを実践すると勝率があがるパターンは結構あります。しかしこれを最初のころから意識してしまうと、どっちつかずになってデッキ内容が散らかってしまうだけでおススメできません。初心者のうちは意識しないでいいと思います。

今まで流れてきたカードから他プレイヤーのピック状況を想定する

ちょっと順番が前後してますが、この項目も判断の項目です。タイミング的には路線変更の判断より後に起きがちで、ここからはもう路線変更はできないなって状況での判断材料なので、この位置に書いています。

これは、『世界の七不思議』や『イッツ・ア・ワンダフル・ワールド』のような、ピック毎に公開するようなシステムのときには関係ないお話です。しかし『アグリコラ』のような、ピックしたカードがわからないゲームの際には重要な項目です。

先の判断で利用した、「2~4手目など強いカードが流れてくるかどうか」といった視点ではなく、流れてきたもっと多くのカードを見てのドラフトの詰めやゲーム進行にむけた判断材料となります。例えば、「流したカードが1周して返ってきたときの残り方」「流れてくるカードの傾向」などです。今後のピックやゲームの進行に、その情報を加味していきましょうというお話です。

例えば、『アグリコラ』において、「小麦系のカードがよく流れてたな」「3枚あったはずの鋤が一枚も返ってこなかった」とかそういう情報です。前者の場合は、「パン焼きの競合」「パン焼きの不在」どちらもありえるのですが、1ステージで小麦に向かう人がいなければ、

パン焼き不在だな

と判断することができるでしょう。ドラフト中に流れていたカードを意識していなければ、この判断はすることができません。

また、後者の場合は、

畑のアクションスペースは、鋤が早々に出てこない限り、序盤から中盤は空いているが、終盤熾烈な争いが発生するだろうな

といった予想が立ちます。これによって、自分の立ち回りの優先順位を変更することが可能です。

この他にも、「レンガの柱と葦集めがいたので葦が軽そう」「レンガ屋とレンガの柱があるのでレンガが不足しそう」「乳母がいたから増員マスは空きやすそう」などなど、多くの情報がドラフトの最中には流れています。そういう情報を覚えておく事は、ゲーム展開に大きく影響してきます。

他プレイヤーのピック状況にに合わせて路線変更を想定する

さて、「もう路線変更するには遅いな」というタイミングでも、それを意識しないといけない事があります。ゲームの中盤くらいに競合が判明するパターンです。これは強いカードがきっかけに路線変更をするわけではないのでタイミングが難しく、難易度がかなり高いです。ですが、例えば小麦が重そうだなって時にパン焼きピックを続けたりしたら、競合で負けてしまいます。こういうときに、「初手の小麦プランはサブプランに降格して、増員増地区を目指すパターンに切り替えようかな」といった考慮をする必要があるわけです。

他人の重要そうなカードをカットする

他人のピック状況を想定できるようになってくると、その人が必要なピックパーツも判明していきます。もちろん自分に必要なパーツがあれば、それをピックすることが最優先です。ですが、そんなカードもなくなってしまっているなら、他人の必要なパーツを使えないようにカットする事も必要になってくるでしょう。

カジュアルで楽しんでる人達には嫌われる概念ですが、勝つためには必要な要素です。

保険、サブプランを用意する

ドラフト中に他人の見えていないカードが何かわかるという事はほとんどありません。わからないからこそ、ゲーム中に自分のプランとはかけ離れたイレギュラーな事が起きてしまったりします。そんなときのために、ゲーム進行を助けてくれるサブプランを用意しておくのも、良い事が多いです。

『アグリコラ』では、職業7枚、小進歩7枚のうち、ゲームで使用するのは各3~4枚ずつです。もし残りのカードでサブプランが用意できていたら、ピンチのときに駆けつけてくれるかもしれません。例えば、自分がパン焼き小麦プランだったのに、ドラフトで見ていなかった「てき屋」がでてきて、他のプレイヤーのパン焼きモチベーションがあがってしまった時に、ちょっと弱いけど家畜プレイを助けてくれるカードがあれば、そちらに舵を切る事ができる、みたいな事です。

このように、普段なら利用しない余った枠に予備プランを用意しておくと、ゲームが崩壊してしまうのを防ぐ事ができるかもしれません。この余った枠というのは、先述のカットにも利用する枠になりますね。ただうまくやらないと、一貫性という強いポテンシャルを減らす行為になってしまうので、むやみやたらに用意すればいいってもんじゃありません。

まとめ

「ドラフトゲーム」をやりこんでいくにはとても要素が多いです。さらに言えばゲームごとに覚えるべき内容も変わってきます。しかし、考え方のいくつかは共通のものですので、その部分を実践していけるようになるだけでも、勝率があがってくると思います。

特に意識しづらい上に大事なのは、

ピックパターンの最高形に向けてのパーツ集める作業
隣と協調する

この2点です。「強いカードを覚える」などは最初に意識しやすい部分なので、意識しにくいこの2つをしっかりと考え「ドラフトゲーム」に臨んでみてください。

おまけ~ドラフトの情報で色々わかる…こともある~

『アグリコラ』で、相手が隠し持ってるカードがわかる事があります。

上家から『葦集め』が流れてきて、他のカードがぱっとしてなかったとしましょう。『葦集め』はかなーり強いカードなのに何でだろう、と思いますよね。それと同時に「それより強いカードピックしたんだろう」となります。

ところがそのプレイヤーは序盤に職業を出せるのも関わらず、『葦集め』よりも強いであろう『炭焼き』や『イチゴ集め』がでてきませんでした。中盤で『葦集め』より強いカードも出てきませんでした。

と、このあたりで、上家のもっている初手ピックカードは想定できるくらいの択数に絞られています。ゲーム進行に囚われて忘れがちですが、情報の振り返りというものを行ってみると、これがまた大事な情報だったりするんです。

ここで想定できる事は、

『葦集め』より強い終盤に出すカードを持っている

という事です。まあ概ね、『ほら吹き』『収入役』『畑守り』のいずれかでしょう。これらの強力カードを持っているという事は、それ相応の点数をこちらも確保しないと勝てないかもしれません。『ほら吹き』だとしたらやりたい事を潰していかないと勝てないレベルかもしれませんね。

その時にそのプレイヤーが持ってる資源、進歩の状況、畑や作物の状況を見れば、この3択からさらに絞る事もできるでしょう。

このように、ドラフトの情報はゲームのプレイにも大きく影響してきます。「そろそろあれを使ってスタプレが打たれるな」「あの職業が出てくるはずなのに出てこない!それより強いプランってあれじゃ……」などなど。

「ドラフトゲーム」は情報の宝庫です。この情報を駆使してゲームに反映させるゲームといっても過言じゃないかもしれませんね。

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