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進振り概説

今日は進振りについて書きたいと思います。入試研の質問箱では、進振りに関する質問はたくさん来ます。そんな質問を見ていると、「やっぱ進振りっていうのは名前だけ有名であまり理解されていないな」と思います。

これは決して受験生の皆さんのリサーチが甘いとかそういうことではなく、進振りに関する基礎知識を示してくれるものが不足していることに起因しています。

ということで、ここでは進振りの基本的なことを書きたいと思います。

1.進振りという制度

まず、「進振りって何?」という人のための説明をします。「進振り」というのは「進学振り分け」の略で、東大に一般入試で入学した人は誰もが経験する制度です。今は公式には「進学選択」と言っていますが、学生は「進振り」という言葉を使っています。ここでは以後も「進振り」で統一します。

そもそも東大生は、最初の2年間は全員教養学部前期課程というところに所属し、文理が一緒になって総合科目を履修してリベラルアーツ教育を受けます。
(注)必修は文理別ですし、そもそも必修の科目も文理で違うので、「完全に文理同じカリキュラム」というわけでは全くありませんのでご注意ください。「総合科目」という自由に選べる科目は、文理一緒に授業を受けます。

そこでは、科目ごとに点数がつきます(ゼミ科目など、一部は合格/不合格)。その点数を使って出すのが、「基本平均点」というものです。これが、進振りの際の戦闘力になります。
(注)「その点数を使って出す」と言ったのは、算出方法に少し複雑な部分があるからです。

この基本平均点には2Sセメスター(2年前半)までの点数が参入されます。それを使って、2年9月には進路が決まることになります。

どのように決まるかと言うと、学部の志望登録をして、点数を基準に上から取っていきます。ちょうど入試と同じです。一回落ちても、第二段階・第三段階で再挑戦したり併願することもできます。
(注)第二段階・第三段階では志望理由書が必要になる場合もあります。

↓は東大HPの説明なので、あわせて参照してください。

2.進振りに関わる日程

2020年度の日程を書き出しておくと、

4月~5月      ①各学部ガイダンス
6月29日      ②第一段階定数発表
6月29日~7月1日 ③第一段階進学志望・不志望登録
7月10日      ④第一段階志望集計表発表
8月11日~9月3日 ⑤第二段階進学志望登録
8月21日      ⑥Sセメスター成績発表
8月21日~26日  ⑦第一段階進学志望登録変更
8月31日      ⑧第一段階進学選択内定者発表
9月16日      ⑨第二段階進学選択内定者発表
9月16日~17日  ⑩第三段階進学志望登録
9月24日      ⑪第三段階進学選択内定者発表

となります。詳しくは前期課程のホームページを見てください。
※2020年度はコロナウイルスの影響で試験日程にずれが生じたことでいろいろと後ろ倒しになってます。例年とは違う所がありますのでご注意ください。

二年生はまず、①のガイダンスに出席(2020年度はオンライン)し、説明を聞いて学科を決めはじめます。②では今年の募集定員が発表されます。これも大学入試と似ていますね。

そしてその日から、③第一段階進学志望・不志望登録が始まります。第一段階は「本命」にあたり、1つしか選択できません。第二段階・第三段階との大きな違いです。まだ決めかねているという理由であえて「不志望」にする人もいます。
 
この結果を受けて出されるのが④の集計表です。個人の順位も出るので、自分が今どの位置にいるのかというのがわかります。しかし基本平均点に使われるのは、先述したようにこの時期まだ授業をやっている2Sセメスターまでの成績なので、まだ自他ともに上がることも下がることもあります。

特に一年生の時にあまり単位を取らず、2Sで間に合わせる予定の人は、その分が「0点」扱いになっているためこの時点では異常に低い=参考に値しない点数になっていますので、ここで行けるか行けないか判断するのは早計です。

試験が終わると、⑤第二段階進学志望登録が始まります。これは第一段階と違い、いくらでも登録できます。学科によっては「志望理由書」が必要ですが、これは第一段階で内定したら無駄な努力なので第一段階の発表後に書き始める人が多いです。

⑥成績発表=基本平均点確定がされると、一気に情勢は動きはじめます。集計表が最終的な基本平均点に基づいたものになり、⑦の進学志望登録変更で定員ギリギリ、あるいは完全に定員外になってしまった場合、逆に、行けないと諦めていた先が狙えそうな場合は動きます。ここは完全に心理戦ですね。定員外でも動かずにいたら上が動いて内定した、逆に定員内だと安心していたら上が増えて落ちてしまったなどはよくあることです。

そして、⑧第一段階進学選択内定者発表です。ここで失敗してしまったら第二段階や第三段階を狙うか、再チャレンジのため降年します。

3.科類選択と進学先

おそらく一番関心が高いところでしょう。「◯◯学部に行きたいのですが文科一類からは行けないでしょうか?」みたいな質問が多く来ます。これは、そういう系の質問に答えられるように情報を整備したいと思います。(各学部で学べる内容やコース詳細は自分で調べてください。)

まず、「行けるか行けないか」は、定員を見てもらいます。下のリンクから2022年度の第一段階定員を見てください。

見方を説明します。「指定科類」とは、「この科類に行けば◯◯学部に行きやすい」というのと直結するものです。下の法学部の例では、文一から267人、理科から4人採用するとあります。
「全科類」とは、科類関係なく平等に与えられている枠です。文二・文三が法学部を目指す時、全科類枠を狙うしかないわけです。

特定科類からは行けない例というのもあります。農学部の例だと、「生物素材化学」は理二以外からは行けないわけです。

※これは2020年度の第一段階定数をスクショし、例に挙げているものです。最新年度版では人数が変わっているので、必ず上のファイルを参照するようにしてください。

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では、気になる学部学科のボーダーラインです。これを底点といいます。
近年は底点が公式に公開されていないので、他のサイトを参照するしかない状況です。参考サイトを下に貼っておきます。

目安としては、東大生平均が75点、上位3割が80点です。

科類選びの参考にしていただけたらと思います。

4.進振りに関してよくある質問

Q1,◯科□類から△学部に行けますか?
A1,前章の説明を参照してください。枠が設けられていれば、システム上いけます。

Q2,△学部に行きたくて、◯科一類と◯科二類で迷っています。どちらがいいですか?
A2,まずは前章の説明を参照し、第一段階定数を見てください。定数が特に設けられている場合、「行きやすい」と言えます。(文一→法学部、理三→医学部など。)逆に、理一か理二で迷っていて、設けられている枠が「理科」「全科類」などの場合、システム上は、科類による差はありません。
ただ、点数を取りやすいかというのはあります(進振り点を大きく左右する語学などの必修はクラス単位での相対評価のため)。しかし、それは語学選択(※)や担当教員の厳しさ、クラスの雰囲気など変数が多いため、科類で取りやすさを決めることは難しいです。システム上、科類による差がない時は、合格最低点や必修科目など、自分が重視したいものを基準に科類を決めるといいでしょう。

※ドイツ語、フランス語などは真面目な人が多いため取りにくく、スペイン語は大学生活をエンジョイしている人が多いため取りやすいという俗説(あくまで俗説)があったりします。

Q3,底点は何点ですか?
A3,近年公開されていません。前章に貼ったリンクを参照してください。

Q4,〇〇を学びたいです。何科何類に入ればいいですか?
A4,「東大 〇〇」、「東大 〇〇研究(室)」、「東大 〇〇 学部」など調べてみてください。そうしたら、どこかの研究室HPなどがヒットすると思います。そこからそれが何学部何学科なのか調べ、あとはQ1やQ2と同じ手順です。我々もそんなに色々な学部のことを知っているわけではないので、自分で調べてもらう方が早いです。

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