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5/19 偽悪たち 

日記(2024.5.19)

今日はさみしい天気です
きみは深く眠って、あるいは眠れなかったりして
ぼくは知らぬ間になにもかもを指の隙間からこぼしてしまい
すべてを失った後からそれを振り返り微笑むきみの作法をまさか正しいなんて思ったりする、まだ死んでいないのに
どんな装丁にしますか?と問われて、好きな絵もすきな色も好きな字体もあんなに鮮明なわたしが口籠る。なにが好きか聞かれる瞬間に逃げてしまう天使たち、ぼくを、救ってきたすべての、あんなに触れない、ありがとうだけほんとうは渡してあなたの前から消えてしまったらとうとう良かった、すべてのものたち。
だけれどもう明朝体を辞めよう、あなたにだって読まれたいもの。傷ついたことよりも傷つけたことのほうを迎えにゆこう、なにかが折り返す瞬間にはいつだって実は気が付くものだろ。いまちょうど、映画の中で賢治さんが死んだところです。天上ではたべものや花がとても大きく膨れるから渡すのはほんの少しでいいのですって、わたしが想う時きみは生きていますか?わたしが想っているときだけ、きみはわたしの世界に、居るのだから、ずうっと寂しく想っている役がわたしならいいです。だけれどそれなら自分がやりたいですって言う、私の役をとらないでって言う、いちばん寂しい役の取り合いになってぼくら、雨も降ってきて、ずたぼろな、近所の野良猫はどうやって生きていくのかな、わたしたちよりもずうっと大丈夫だよ、なんにも悪いことしていないのだから。
ひとくちだけ残してなにそれは、結局ほんの少しだけかまって欲しいんだね。これまでしてきた我慢の数を数えて、それを全部わたしが丁寧に撫でてから星に変えよう。あなたの夜空がすこし色を増し、わすれてくれたらそれで。
そばにいようと願うほど水槽が汚れていくこと。ぜんぶ入れ替えてもみつけられるよ、って、うそばかり吐きながら、きみのなかでわたしが、きみを好きでかわいそうな永遠になりますよう。


さて物語の終わりには、いったいどちらが寂しかったろう?  配役は一人ではなく一対で、かみさまにだまされた、ふたり離れ離れなら、ちょうど同じだけ寂しかった、いいやひとつの寂しさを、ふたりで感じていたじゃあないか。


ありがとうございます!助かります!