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11/27。蜘蛛の糸

とつぜんですが、(なんとなく、察していた皆様にとっては突然でもないのかもしれないのですが、)また賞レースに出ることにしました。
12月から開催のスカパーアダルト放送大賞です。今年度は、同事務所のスーパースターな先輩が一番になったあの賞レースです。
こちらも、今まで皆さんにご協力いただいたDMMアダルトアワードと同じく、皆さんの投票によって1番が決まるイベントです。

正直なことを申し上げますと、私は今年5月に授賞式が行われたDMMアダルトアワードで話題賞を受賞した際、もうしばらくはこういう、投票をお願いして1番を決めるといった類のイベントごとには出場しないことにしようと思っていました。理由はざっくり言うと二つあって、①今、自分のペースで歩んでいることに満足しながら活動しているから。話題賞という賞は、内訳を言えば私がまさに応援してくれているみなさんの支えによって話題性を持った活動をしてこられたということの証明であり、私にとっては他のどんなトロフィーよりも美しく輝いて見えました。今の、未熟な自分で無理して1番人気の称号というある意味大げさなものを追い求める意味はたいしてないような気がしているのです。
②たとえ「No.1 AV女優」という称号を手にしたとして、自分自身がそれに見合う人気・売上・キャリアを築けているとは言い切れないから。私自身が今ここに居させてもらえているのは、他でもない皆さんの応援と、作品をそれなりにたくさんの方が買ってくださっているという事実と、面倒を見てくれているメーカーさんに少なからず愛着を持っていただいているからに他ならないのですが、それをきちんと自覚してもなお「私こそがNo.1だ」と胸を張って言うにはもう少し時間と積み重ねていく何かが必要な気がしています。なので、現時点で私が1番だから私に投票して!と言う勇気と自信が持てるかというと、なんだか今でもたまらなく情けない気持ちになるのです。先日、椎名林檎さんのライブに初めて行って、同じような情けなさを胸に抱いて涙しました。本当に美しいものを見ると、自分はもっと命を燃やして生きなければいけないのではないか、もっとやれることがあるのではないかと苦しくなるものです。

話が少しずれましたが、そのような理由から、毎回賞レースへの出場の話を頂く度に悩み悶えてまいりました。今回は、一度「もうこれ以上は、自分にちゃんと誇れるようなキャリアを積み重ねたのちに、本当に自分こそが1番だと思える時になるまでは、出場しないでおこう。」と心に誓ってしまったため、推薦してくださった先方からかなりの熱意でお願いされても、いや、まだ私は成熟していませんから、と断りたおしていたのです。

だけれど、よくよく考えてみると、今、また何か新しいことに挑戦したところで、何かを失うのは私だけでした。そして、そこで私が「失った」と感じるであろうことは、今年の5月にした自分の内部での、自分自身に対する誓いそのものだけでした。そして、そういうこだわりは、いつも自分自身の命を追い詰めるために、そして飛躍していくために、かんたんに捨てなければいけないのです。

ということで、へんな言い方にはなりましたが、自分の中の様々な頑なさを一旦窓の外にほうり投げ、みなさんにお願い事をすることにします。

そして、ポジティヴな理由だけをなるべくたくさん詰めて、またしばらく、みなさんと一緒になにか見えない大きなものと、戦っていけたらと思っています。

私はAV女優です。自分で認知している限りでは、売上もそこそこ、咎めるほど低くはないが毎作品馬鹿売れしているわけではない、たまに内容によってはぴょんと売上が跳ねる、というのを繰り返しています。SODstarというレーベルに所属していて、毎月1本作品を出しています。
このお仕事を約2年半やってきて、しみじみ嬉しいこともたくさんありました。びっくりするほど悲しいことも、緊張で冷や汗が止まらないことも、楽しくてたまらないこともありました。AV女優を始める前の人生で本気で笑った回数よりも、ここ2年半の間に本気で笑った回数の方が多いのだと思います。そうやって暮らしています。

絶対に日本一になってやる、と思わないのは、自分はどこか王道から外れているのだという意識があるからで、そもそもできないことには力や心を割かないように生きているタイプです。だけれど、どこかで、ある日とつぜん私のようなおんながこの世界の王道になったら面白いかもしれないのに。と思うこともあります。顔が70点だとか体も70点だとか失礼なことをギャグ混じりで散々言われて、それでもいつか流行が巡って私が100点な時代が来るかもしれないじゃん、とか馬鹿げたことを思いながら、自分をちゃんと好きでいられるように生きています。

私は今AV女優のお仕事、そしてそこから広がっていく可能性と色々な道の途中で出会えたみなさんのことを愛しく思っているので、これからもたくさんお仕事ができたらいいな、と思っています。
みなさん、どうか、とっくに帰れない私のことを、もっと帰ることのできない遠くまで、連れ去ってくださいませんか。
なにかしら目立つ賞などとれば、お仕事ももっと増えるでしょう。これからきっと私が、何かを書いたり、どこかに出演して発言したりするときに、注目してもらえる引っ掛かりがひとつ、ふたつ、増えるでしょう。それは、ここから生きて行く私にとって、とても大切で、ひとりでも多くの人に出会えるかもしれない、貴重で、細く、強く、美しい蜘蛛の糸のようなものです。寄り集めていかないでどうするというのでしょう。

わたしがそれを欲しがるにふさわしい人間なのだろうか。などという自責は、きっとひととして大切にするべき謙虚さだと思います。しかし、ここでは、そんなことをもしもノミネートされる全員がやっていたとしたら、ちゃんちゃらおかしい話なのです。
わたしがそれを欲しがるにふさわしい人間なのかどうかは、置いておいて、もっと遠くにいる人までもしも何か届けられるものがあるのなら、その方法のために自分を賭けてみせましょう。きらびやかなものに追いつかない自分など、もしもトロフィーを手にしてしまったならばそのとき死に物狂いで追いついてみせましょう。自分自身が、誇れる自分になるまで待っていたら取りこぼしてしまうであろうものが、それを取りこぼさないための速度こそが、本当は大切なのかもしれません。

散々能書きを垂れましたが、シンプルに言えば、もっとこの業界で頑張っていけるように、たくさんお仕事をもらえますように、何かを発信するときにもっと聞こえる範囲を拡張してくれる役割になりますように、そしてそういう私のことをあなたがたくさん見て、出会って、愛し合える世界になりますように、という願いを込めて、やるからにはきっちり、No.1というものを狙っていきたいということです。やっぱり一人で狙うのは、心細いし振り返ってしまいそうになるので、みなさんも一緒だといいなって思います。何度目かの、もう趣旨もだいぶずれた、だけれど今でも本気の、わがままでした。

投票は12/1から1/31まで。

詳しくはこちらのHPをご覧下さい。

とりあえず、これを読んでいるあなたを信じて、敬愛の思いを込めて。
このようなイベントが訪れるごとに、ぐらぐらに動く私の未熟なメンタルを見ていてくださる、世界一やさしいあなたに、いいことが山ほど降り注ぎますように。

ありがとうございます!助かります!