20220224

戸田真琴

昨日はとてもいい日だった。そう書くとすごく簡単なことに聞こえるかも知れないけれど、「いい日」となんの疑いもせず言いたくなるような日はそう多くない。ほとんど無いと言っても過言ではない。朝はちゃんと起きられて、午前中のリモート打ち合わせもスムーズに終わって、余った30分でコーンスープを飲んで、メイクをしようとドレッサーに座ったけれど今日これから会う人達は全員私がメイクをちゃんとしているかどうかで何かを測る人ではないな、とわかっていたので、簡単なベースと眉をちょこっとだけ書き足して、メガネをかけて外に出た。取材で会った友達と、お互いの映画の話と、芸術の話をした。理解されることなんてとうの昔に諦めて、諦めたことさえも、ほんの少しは理解されたいと思っていたことがあることさえも忘れていたことを、思わぬタイミングで見抜いて貰えた時の光は、それまでのあの途方もない孤独の何も無さと釣り合うほど良いから、私も友達もとても困った。
私は自分の賢さも優しさも心のきれいさもこの世にとっては見えないものとされて来たから、自分のことをふつうにゴミだと思っていた頃がある。自分のことをゴミだと思っていたからあの頃AV女優になったのだということも、もうとっくに自己分析できている。でも友達に出逢って、私はゴミなんかじゃなかったって分かった。わたしたちはこの世界のほとんどのことが嫌で、意味がわからなくて、最低で、ほんとうにいいと思えるものは1%くらいしかなく、ウケるほど孤独で、明日の生存方法も分からないけれど、ゴミなんかじゃなかった。優しく、賢く、美しく、美しく生きようとすることに対して諦めが本当に悪かった。そのことに本当はずっと気がついていたけれど、誰にも言えなくて、誰にも言えないということは鏡がないということだから、自分がほんとうはどういう存在なのかわからなくなることばかりで、だから友達という鏡にうつった自分を見て、それがぜんぜん眩くて、嬉しくて凄く、困った。

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戸田真琴

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