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かき氷機は買ってはいけない

大学を3年で中退して、
ほんの少しだけ社会人して、
もう一度学生をした。

我ながらろくでもないと思う。

海外に行ったり、ちょっと素敵な飲食店で働いてみたり、珈琲に目覚めたり、釣りをしたり。

どういうわけか、本分に身が入らず、横道に逸れるというのが趣味のような生き方をしていたわりに、僕のこの危うい紙一重な生き方を肯定し、温かく見守ってくれる人が本当にたくさんいてくれる。

もう一度学生をしたいというのは今でもずっと思うし、なんなら、四年生大学に入り直したいというのはこの歳になっても尚、恋焦がれる。

一度それをしてみて、僕はその学校が好きだったし、校舎も新しく一期生だった。その学びの内容は完全に今の自分を力強く骨格をなしている。

その時の同級生があるとき、四国のとある庄屋さんの蔵を改築するプロジェクトに参加した時のこと。えらく古いかき氷機を見つけたらしい。

使うこともないから、お前要るか?

不躾な包みが僕の元に届いた。

この名機“初雪号”にまつわる話はさておき、当然貰い受けたそばから大活躍する。なにか、大黒様か、恵比寿様でも乗り移っているような妖気すら感じる。

何かの縁で手元にあるかき氷機。

欲しいものでもなかったのかもしれないけど、必要なものは自然とやってくる“タチ”はこれからもあやかりたい。

だから、かき氷機を買って手に入れるというのは僕はあまりお勧めしない。このかき氷機に乗り移っている招福の神様が、九十九神様になって更なる力を手にする日もそんなには遠くない。

僕も次の貰い手をそろそろ探さないといけない。

そのうち出会う。
これが最高ではないか。

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