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ひとまず一服(2023/12/01)

約2年半ぶりのnote更新です。
シンエヴァ公開時からnoteを始めた記憶があるので、シンエヴァ制作終了から3年経ったいうことになります。(シンエヴァは2020年の年末に作業終了)びっくり。時が経つのが年々早い。

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この2年半の仕事を公開順に箇条書き。

2022.10 チェンソーマン 2話 コンテ、演出
2022.12 モブサイコ100 Ⅲ 9話コンテ、原画
2023.3 EVANGELION:3.0(-46h)  監督
2023.11 鬼太郎誕生 ゲゲゲの謎 キャラクターデザイン、総作画監督

ひとつひとつ、どの仕事も己の血となり肉となるありがたいお仕事だったんですが……まさか、鬼太郎でキャラクターデザインができる日が来るとは……!と言う驚きがなかでも大きいです。映画が公開された今でも、夢なのではないだろうか?と思ってしまいます。自分はアニメーターですが、どちらかと言えば演出畑の人間なのでまさかまさかのお誘いでした。指名してくださった古賀監督、本当にありがとうございました。

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(以下「鬼太郎誕生 ゲゲゲの謎」のネタバレが若干含まれますので鑑賞後に読んで下さると嬉しいです)

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制作期間は本当に山あり谷あり、大変なことも沢山ありましたが、そんな中でも描くこと自体は楽しい!楽しい!と前向きに描けていました。ありがとう鬼太郎…

制作終盤は、映画を完成させなければいけない!もっと描く時間をくれ!という当たり前の心情は勿論あったんですが、それよりもこのキャラクター達とお別れしたくない!もっと描かせてくれ!という感情が大きかったです。子離れし難い親の心境と似てるかもと思ったり…

スタッフの皆が大変なことも耐えながら鬼太郎誕生(納品)めがけて走ってた状況が、主人公達とめちゃくちゃ感情シンクロしていたのが、また強烈な思い出になりました。

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シナリオ会議が本当に楽しかったのを思い出します。
たびたび珍しいと言われるのですが、鬼太郎誕生はシナリオ会議から参加させて頂いていて。iPadを持ち込んでその場でキャラの方向性や舞台のラフスケッチをして、色んな提案をさせて頂けたのがありがたかったです。(父のビジュアルを墓場のラストに繋がるように丸い目にしたいとか、水木の野心家設定とかとか。インタビューなどでちょこちょこ発案時のエピソードを語って頂きそれもまたありがたいです)
古賀監督も吉野さんも永富Pも、色々受け入れて下さったり面白がって下さったりで、本当にお優しい、そして年齢や立場関係なく面白い作品を目指して一緒に考えられる、恵まれた布陣だったのだなあとしみじみ思います。感謝…!!

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鬼太郎スタッフルーム、粛々と仕事をこなしつつも笑いが絶えなかったのですが、それが芸術祭や文化祭前のお祭気分のようで楽しかったです。大変だったけども。
色々限界の中で頑張って下さった各部署の皆さま、ありがとうございました…!!
リテイク中に「わしは諦めが悪いんじゃ!」と言ったらワハハハ!と笑い返して貰えたことがあって、良いチームだなぁと思いました。いつか「いい加減にしろ!」と叱られるのでは?という不安もあったのですがそんなことはなかった。(笑)
監督がいつも堂々としていて芯がブレない方なので、その安心感も大きかったです。

最後の最後までTP修正をしていたんですが、制作終わった今もその夢を見ます。「TP修正しなきゃ!」と魘されて飛び起きて「終わったんだ……」と脱力する。

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古賀監督とは6期の鬼太郎で2話数ご一緒していましたが、今回ガッツリ組めてとても光栄でした。もちろん5期の劇場も当時観に行ってましたし、その前はハピラキビックリマンも楽しんでいたので。ハピラキビックリマン見返したい。オススメです。
古賀監督が実は昭和の日本映画愛好家だったり、歴史オタクだったりな一面も知れました。シナリオ会議では日本史トークに花を咲かせていることも多かったです。皆様揃って歴史にお詳しかった。私は好きな大河ドラマや漫画の時代だけ局所的に点数が良い学生でした。

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今回色んな縁ある方でタイミングが合う方に原画のお誘い営業を初めてやったのですが、緊張しました…!お忙しい中原画取って下さった方々ありがとうございました。助かりました本当に……!
エンディング中も物語が進行するのでクレジットまで読むのは至難の業だと思いますが、(しかも文字が細かい)是非チェックしてください。

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制作終盤の追い込み時には色んな方から差し入れやら応援の言葉を頂けて、とても励みになりました。ありがとうございます。体調を心配してくださった方もありがとうございました。
水木プロさんにはお忙しい中いろいろ気遣って頂き、本当に嬉しかったです。

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映画の制作中に父が亡くなりました。
病床だった父が最後にみた私の絵が、座敷牢で背中合わせをしている第三弾キービジュアルで、言葉はもう喋れなかったけど目で笑ってくれていたのが嬉しかったです。
中学へあんまり行かずに絵を描いてた時期があったのですが、そんな自分を栃木からはるばる調布の深大寺へ連れてってくれた父、あの日々があるから今があると思います。水木先生の作品と父の思い出は自分の中で隣り合わせになっているので、鬼太郎の父親達が主役の映画にこうした形で関われたこと、感慨深いです。映画を観た母が、父が観たらなんて言ったかなあ、と感想と一緒に呟いていました。改めて父の感想が聞きたかったなあーーと思いを馳せています。
今作の主人公の1人である水木はタバコ飲みですが、偶然にも父も愛煙家で銘柄が同じPEACEだったので、まずそこはツッコミ入れただろうなとか。考察や深掘りするのも好きな人だったので、観たらきっと色々な楽しみ方をしてくれたんじゃないかと思います。いやあ、観てもらいたかった……

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声優さんや音楽、効果さんに絵で足りない部分を引き上げてもらって、凄い!と思う局面が沢山ありました。

エンディング、水木とゲゲ郎のテーマからカランコロンの歌になっていくのがたまらないですよね…!監督と川井さんすごい!と劇伴のデモが届くたび聴いていた日がつい昨日のようです。
あと鬼太郎のテーマが流れるタイミングも最高。もし2回目以降を観られる方はぜひよく聴いてみてください。

鬼太郎の父役の関さん、水木役の木内さんの声も本当にピッタリで。お仕事ご一緒出来て光栄でした。先日の舞台挨拶では木内さんが裏方の仕事にスポット当てたコメントをしてくださって嬉しかったです。関さんは本当に作品を読み込んで読み込んでお芝居される方なのだなと舞台挨拶のコメントを聴きながら納得していました。

声優さん方のアフレコ戻し音源を聴きながら作画作業するのは楽しかったです。声を聴きながら作業したカットは沢山ありますが、ツケは払わなきゃなあ!とか、ちくしょう体が…とか、どこじゃどこにおる…!とか、我が子が生まれる世界じゃ、とか、そのへんが特に印象に残ってます。後半はキャラクターに感情移入して眉間に皺寄せて描いてることが多かったです。

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今までデカい仕事をした後は絶対高熱を出して寝込んでいたのですが、今回はまだ寝込んでいない。まだハイが続いているのかもしれません。お正月あたりに倒れたらヤダな。

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ネトフリ版悪魔くんを観る機会を逃し続けています。
ネタバレを見たくなかったのでいまだにXのミュートワード設定を解除できていません!
同じ水木先生生誕100周年記念作品でしたが制作スタジオが別々だったので(鬼太郎は東映アニメーション、悪魔くんはエンカレッジフィルムズ)、制作中スタッフ同士の接点が殆どなかったのが少し寂しかった…!のですが、作品をお客さんとほぼ同じ視点で観られるというのも贅沢なことですよね。落ち着いたらゆっくり鑑賞したいなと思ってます。

思いきった黒の使い方をしていて、リムライトもシーンごとにバチバチに決めていて、挑戦的なカッコいい絵作りをしているなあと最初のPVを観たとき思っていました。

鬼太郎誕生もリムライトはところどころやっていますが、あれをシーンごとにコントロールするの結構大変だと思ったので…!!
チェンソーマン制作中に意識しはじめたリムライトですが、アニメで上手く使いこなすの、慣れが必要だと思いました。難しい…

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東映の横に東映管轄の宿泊施設・南館(生活備品が揃ってるのでほぼアパートと言ってよいワンルーム)に制作終盤数ヶ月住んでいたのですが、めちゃくちゃ良かったです。普段は海外から東映に出張に来た方が一時的に住んだりする施設らしいのですが。通勤時間は短ければ短いほど良いと思っている人間なので、会社まで徒歩1分という近場に住めて本当にありがたかったです。通勤時間が長いと「この時間で絵が●枚描けるのに…」とストレスになってしまうので…

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過去のnoteを軽く見返して、水木先生の生誕100周年記念企画楽しみ!と言っている記事にクスリとしました。この直後くらいに鬼太郎誕生に声を掛けて頂いたはず。ありがたいねえ。何度も言う。

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昨日(11月30日)は水木先生の御命日。
ゲゲゲ忌(調布で毎年開催される水木先生を偲ぶ町ぐるみの催しです)の最終日でした。映画の大ヒット舞台挨拶もあり、最後の宴会にお邪魔してきました。水木プロの尚子さんが今年のゲゲゲ忌は過去一の参加者数だったと本当に喜んでらっしゃって、なんだか私まで胸が熱くなりました。

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もっと色々振り返りたいんですが、どこから書けば良いのやら、話は尽きないので一旦このへんで。またどこかでよもやま話の続きをしたい。

しかし年内の余暇はもう冬コミ準備で限界かもしれません。
2018年冬以来のコミケです。コロナ以降のコミケは行ったことがないので不安です。とりあえずスペース配置はアニメーターサークルが集まっているブロックなのを確認して安心しました。
たぶん描き下ろしとらくがき交えた備忘録本になりそうです。間に合えば…。
今回通販は難しいと思うので、ご興味ある方は足を運んで下されば幸いです。もし万が一準備不足(※)な事態になったら夏コミに申し込もうかなと…そもそも間に合うかまだわからないですが…出せるとなったらまた告知します。
※(追記:万が一すぐに完売してしまったら次の夏コミで再頒布・再録など、なにかしら検討する予定です。) 

(追記:12月30日(土)1日目です!)


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また時間ができたら気が向いた時に更新したいなと思います。
ダラダラまとまりない日記でしたが読んでくださりありがとうございました。終わります。


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