ならざきさん企画『ものかきさんにちょうせんじょう』に挑戦♪
ならざきさんが作られた元のお話しをリミックスして、別のお話しを作ってみようという主旨です。書いていてとても楽しかったです♪ならざきさんの記事「ものかきさんにちょうせんじょう」をご一読の上、お読み下さい(◡‿◡。)
以下、tockniが一部を変えたお話し。
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お題 「夏休み」
「店長!ありました、ありましたよ!」
鼻にかけたメガネが汗でずりおちる様な暑さの中、奥の部屋からあがった声はひどく甲高くハンマーで小突いたように響く。そんな彼の叫びに、うんざりしながら私は振り返った。
「ん〜、本当かね――」
我が古書店の狭い通路を、熊の様な大男がその図体には似つかわしくないあどけない笑顔で歩いてくる。巨大な手に持たれたせいで、大きな写本も単行本の様に見えた。
「おお!これぞ、まさしく!!」
「ですよね!――ってなんでしたっけ?」
きょとんと私を見つめる彼に、私は溜め息をつく。
「知らんで探していたのかね?」
「店長のご用命とあらば!はい!なんでもするです!」
彼の答えに、私は本の埃を吹きながら微笑した。なんとも人なつこい男だ。
「まったく、君と言うヤツは…」
「はい?僕、お役に立てましたか?」
彼がそう尋ねるのにとっくりと頷いてやると、嬉しそうに奥に引っ込んでいった。
本に書かれている、不思議な内容にはちっとも興味がないようだ。
「さて、どうしたものか…」
私は一人呟くと、再び鼻からずり落ちそうなメガネを戻す。
「夏休みの自由研究が『ヴォイニッチ手稿の解釈』だなんて…やれやれ、うちの隼人も…。」
(446字)
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